萩原電気 Research Memo(8):19年3月期に売上高110,000百万円、営業利益3,500百万円へ
[14/12/12]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■中長期展望
萩原電気<7467>は中期経営計画として、2019年3月期に売上高110,000百万円、営業利益3,500百万円を掲げている。この目標達成のためのカギとなるのが、次の取り組みである。
○ワンストップ・ソリューションサプライヤーへの取り組み
同社はデバイスからシステムまでを提供するワンストップ・ソリューションサプライヤーを目指しているが、今後もこの取り組みを継続していく。うちデバイスに関しては、これまでの部品単体を扱うビジネスから、複数のデバイスが組み合わさったモジュールへとビジネスの重点をシフトする。またトータルソリューションの提供に向けて各事業の連携・融合を一段と進め、シナジー効果を追求していく。ソリューションビジネスユニット事業においては、以下に述べるような「ITと計測」を軸に事業を拡大していく計画だ。
○デバイスビジネスユニット事業:長期的には成長ドライバー
現在のデバイスビジネスユニット事業の業績はトヨタを中心とした自動車メーカーの生産台数に左右されやすい。しかし、同社では長期的視点から、社会インフラにおける必需品としてのクルマの位置付けがさらに高まり、その過程で電子化や電装化の比率が一段と拡大すると予測している。そのような環境は同社にとって大きなビジネスチャンスであり、最適なデバイスを開発・提供していくことで持続的な成長を達成できるとみている。
○ソリューションビジネスユニット事業:短期的な成長ドライバー
今後の同社の事業拡大におけるもう1つの成長エンジンが非製造業の顧客拡大を図るソリューションビジネスユニット事業であり、同社では短期的な成長エンジンとみている。特にIT、計測関連を大きく伸ばす計画だ。
【ITソリューション】
同社は一般的なIT企業と同様に、顧客に対して最適なITインフラを企画から導入、運用サポート・保守まで提供することができる。足下、Windows Server 2003のマイグレーションを中心としたSI案件(高度プラットフォーム構築、生産・物流システムでのアプリ開発等)を積極的に拡大していく計画だ。
【計測ソリューション】
同社ではトヨタグループとの長年の付き合いによって蓄積された技術力、開発力を生かし、製造業における生産設備や検査工程などのシステム構築(ソリューション)も手掛けている。なかでも計測関連の技術力は多くの顧客企業から高く評価されている。今後は自動車部品メーカーをターゲットとして、開発から生産における計測ニーズ(電気特性、性能検査、耐久試験等)に対して豊富な計測技術で最適システムを提案していく計画だ。これらのソリューションは海外メーカー向けにも通用するため、次に述べる海外展開のためのツールとしても役立つ。
これらの各種計測ソリューションの中でも同社が特に期待しているのが、PCボード計測だ。PCボード計測とは、PCボードと開発ソフトを使って各種の計測を行うもの。同社では、この分野のトップメーカーであるNational Instruments社とパートナーを組んでおり、NI社製の計測ボードに、同社のノウハウを組み込むことで様々な計測が可能なソリューションを提供している。これらを含めた現在の計測ソリューションの売上高は約2,500百万円だが、同社では3年後には倍増の5,000百万円を見込んでいる。
○海外展開
2014年12月からタイ現地法人が営業を開始した。これにより海外拠点は米国、中国、韓国、シンガポール、タイ、インド(駐在事務所)、ドイツの7ヶ所となった。主要顧客のグローバル化への対応を推進することで同社も成長を持続させる計画で、現在約6%(顧客先のノックダウン等の間接を含めた実質ベースでは15%程度)の海外売上比率を早急に30%まで高める計画だ。
この目標を実現するために重要な施策として、「ローカル化=現地人材を中心とした運営」を進めている。例えば、ドイツにおいて日本人スタッフが中心だと、トヨタ自動車など日系メーカーの現地法人には売り込みは可能だが、ダイムラーやフォルクスワーゲンへの売り込みは容易ではない。これをローカルスタッフ(ドイツ人)中心にすることで、現地のメーカーへの販売も可能になってくる。そのため当面は、これら海外への人材投資を積極的に行う計画だ。
○新中期経営計画:来年度に発表予定
また同社では、現在の中期経営計画を修正する形で、新しい中期経営計画を策定中である。これは、事業環境や同社の事業内容の変化に合わせて、より現実的な計画を打ち出そうとの意図からである。現時点では定量的な目標だけでなく、それを達成するための定性的な内容も不明ではあるが、2015年度の第1四半期には発表されるようであり、その内容が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<FA>