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アールテック・ウエノ Research Memo(7):世界初の生物製剤のドライアイ治療薬、過去5年で市場は2倍

注目トピックス 日本株

■新薬開発動向

(2)重症ドライアイ治療薬「遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液(RU−101)」

「ウノプロストン(UF-021)」に続く有望新薬として「遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液(RU-101)」がある。同点眼液は世界初の生物製剤によるドライアイ治療薬として開発中で、遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤のため、感染症のリスクがないというメリットがある。ドライアイ治療薬の市場規模としては、グローバルで150,000百万円の市場があると推定されており、過去5年間で市場は2倍に成長、今後も年率10%の成長が見込まれている。

現在、ドライアイの治療に対しては様々なアプローチがなされている。抗炎症薬として唯一米国で承認されている米アラガン社の「Restasis(R)(シクロスポリン)」は、2013年の売上高で940百万ドル(940億円)の規模となっている(欧州、日本は未承認)。また、保湿・水分補給薬ではヒアルロン酸ナトリウムやメチルセルロースなどを使った医薬品が、米国では大衆薬品として、日本でも処方箋薬として販売されている。ムチン/水分分泌促進点眼液を使用するケース(日本のみ承認、参天製薬「ジクアス(R)」、大塚製薬(株)「ムコスタ(R)」)もある。

こうしたなかで、アールテック・ウエノ<4573>は生物製剤で感染リスクゼロのアルブミン製剤で参入を図っていく。効能としては保湿、ムチン分泌による上皮保護、経度の抗炎症作用があり、抗炎症薬(Restasis)との併用でより効果が高まることが期待されている。

同社では、2014年11月に米国の重症ドライアイ患者(52症例、1日6回点眼)を対象とした前期第2相臨床試験の終了と結果を発表している。それによれば、点眼開始から4週後、8週後、12週後の薬効を調査した結果、統計学的に有意に改善が認められた。ただ、同様の条件で調査したプラセボ(薬剤を含まないもの)投与患者との比較では、4週後、8週後では有意差があったものの、12週後においては有意差がみられなかったとしている。

試験結果については、ベストな結果ではなかったものの、少数例での試験であるにもかかわらず治療効果を確認できたこと、また、そのなかでも重症度の高い例においては有効である可能性がみられたこと、安全性が確認できたことなどから、同データを以って当初の予定通りライセンスアウトに向けた交渉を複数の企業と開始する見通しである。

ただし、試験結果により、さらに適切な点眼回数や濃度の検討などが必要となることから、ライセンスアウトの時期に関しては当初よりも半年程度遅れて2015年秋ごろを目標としている。

適応領域としては重症型のドライアイ患者を対象として市場の開拓を進めていく方針。米国ではドライアイの患者数が約500万人いるが、このうち重度の患者が約3割、中程度の患者が4割程度と推定されており、中程度以上の患者も含めると市場規模はピーク時で500億円程度となる。このうち、同社の収益としては売上高に応じてライセンス供与先から受け取るロイヤリティ収入(売上高の10%以上)のほか、受託製造サービスによる利益が見込まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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