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ソーバル Research Memo(5):人材確保、販路拡大、特定顧客依存などの課題克服

注目トピックス 日本株
■2015年2月期連結決算

(3)進む課題の克服

このような着実な成長戦略を展開するなかで、一層の飛躍を実現するための課題克服も進んだ。以下は、これについて説明する。

(a)人材確保
ソーバル<2186>の得意とするファームウェアは、電機製品の性能競争が激しくなればなるほど、重要性が増す。このため、仕事はいくらでも確保できる環境にある。したがって、仕事をこなすための人員さえ確保できれば、比例して事業が拡大できる。

さらに、利益率の高い大型案件を獲得するためにも、人員は必要である。同社は、社員数が数十人程度の企業のM&Aも含めて、連結ベースでの社員数を1,000人(2015年3月末時点では約900人)以上にする方針を打ち出している。1,000人以上が確保できれば、1件当たり数十億円以上の大型案件も恒常的に請け負う体制が整うためである。

しかし、人材の確保は容易ではない。ファームウェアの開発は他のソフトウェア開発と違う特殊性があり、通常のエンジニアよりも高いスキルが求められ、それだけのスキルを持つエンジニアの絶対数がそもそも少ない。自社で育成するにしても、景気の回復に伴い、新卒の優秀な学生の確保が困難になってきている。このような背景から、人材確保は足元での最も大きな課題となっている。

一方、同社はこの課題の克服を地道に進めている。かつては人材紹介会社などを通じて採用をしていたこともあり、採用の費用だけでも多額の支出をしていた。しかし、2014年2月期までに自ら採用活動ができる体制を整えることができた。さらに、2015年2月期からは、新たにインターンシップ制度を開始した。スマホアプリなどWebサイト開発を体験する1日コースと、組み込みソフトの開発を体験する3日コースの2つを設定。Webサイトのコースは、2016年春に卒業予定の大学生を対象に文系理系を問わず、募集した。組み込みソフトのコースは、2015年秋から2016年春に卒業予定で、C言語プログラミングの経験を持つ大学生を対象に実施した。

新本社も新卒確保の重要な“アイテム”になっている。JR山手線の大崎駅から徒歩10分程度の交通の便がよいインテリジェントビルで、これによって学生の同社への興味が増すことも期待している。

「人を何よりも大切にする」という推津社長の経営姿勢も人材確保の大きなポイントといえる。エンジニアのワークライフバランスを充実するため、残業時間を極力減らす運営を行っている。また、東洋経済新報社が調べた「有給休暇取得率」ランキングでは、サービス業では2013年から3年連続で2位を獲得している。同じく社員に優しい「ホワイト企業」ランキングの最新版では、2011年卒業の新卒社員が3年間に1人も辞めなかった企業のひとつに挙げられている。

これらの克服策によって、学生の就職希望が増加したという。その結果、2015年春の新入社員は72人を確保できた。目標の80人には1割程度、足りなかったものの、前年に比べると、23人も増えた。目標に届かなかった理由は、学生に高い能力を求め、採用のハードルを下げなかったことが原因という。採用には決して妥協を許さない姿勢を堅持しながらの人材確保としては、ほぼ満足できる結果だったと言えよう。

同社は2016年2月期から新卒を毎期100人ずつ恒常的に採用する計画を打ち出している。恒常的に採用できれば、定年退職などでの減員分を除いた純増数は、毎年おおよそ10人程度になるという。ただ、目標をクリアできるかはまだ、見通せない。学生の採用期間が後ろ倒しになったことも人材確保をさらに難しくする要因になりそうである。同社は、対策として、会社説明会の回数を増やしたり、選考方法の見直しなど行うとしている。

とはいえ、仮に100人の新卒が確保できなかった場合でも、業績が悪化するわけではない。本社移転による業務の効率化はまだまだ加速できる水準であり、15年4月入社の新卒社員の早期の戦力化も十分に見込める。したがって、人材確保は同社にとって最大の課題ではあるものの、質を落としてまで人数を確保するつもりはまったくないとしている。

また、人員の確保という面では、パートナー不足も2014年2月期に引き続いて課題となっている。同社は、事業バランスを考えて、売上高の5%をパートナー企業に外注するのを基本としている。ところが、景気回復によりパートナー企業のほうも忙しくなり、ソーバルからの発注に十分に応えられなくなってしまっている。2015年2月期の売上に占める外注の割合は3%程度だったという。

ただ、これに関しても、幸い、MCTECが収益に貢献できるまでに構造改革ができたことで、幾分かは、パートナー不足を緩和できる可能性がある。

(b) M&Aなどによる販路拡大
同社は、エンジニアリング事業の拡大のために既存の事業領域とは違った新しい領域のビジネスへの進出を成長戦略の柱の1つにしている。同社はこれをM&Aによって実現しようとしており、「新機軸のM&A」と位置付け、買収先を探している。今までは、買収条件として(1)事業継承者がいない、(2)営業力が不足している、(3)従業員30〜60人で年商3〜20億円規模、(4)買収金額は100〜300百万円程度−を基本とし、医療、自動車、航空宇宙分野を具体的なターゲットとしていた。そして、2015年2月期は、前述のようにアンドールシステムサポートの買収が実現した。

本来は、「1年に1件の割合での買収」という姿勢を示していたが、2012年のMCTEC以来のM&Aとなる。景気の回復に伴い、買収に競合が生じ、買収価格が上昇、この結果、なかなか決まらなかったのだという。そういう意味で、アンドール社は久々に条件にぴったり合った案件だったようである。ただ、今後は、さらにM&Aの競合先が増えて行く可能性が高い。そこで同社は、今後は600〜700百万円程度にまで引き上げて買収候補探しを進めるとしている。

また、買収先の事業分野に関しても、自動車分野への進出がかなったため、新たに介護・災害向けロボットと、金融サービス分野を対象に加える。今後は、従来の医療、航空宇宙と併せて4分野でのM&Aを進めて行く。なお、介護・災害向けロボット分野に関しては、介護施設の職員や災害救助および復興に携わる人々が装着して作業しやすくするタイプのもののソフトウェア開発を対象にしているという。

同時に、新領域への事業拡大をM&Aだけに頼るのではなく、グループ内で新ビジネスを生み出すことによって実現しようという戦略も進めている。2015年2月期には、医療分野への進出を果たした。X線デジタル撮影装置制御システム、眼底カメラ制御アプリ、新薬の治験データ統計解析などの開発を進めている。まだ、規模は小さいものの、同分野でのM&Aも併せて今後の成長に期待がかかる。

さらに、今後は新領域への事業拡大と並行して事業の選択と集中も進める。RFIDの売却に見られるように、同社にとってより成長性の高い分野を強化する構造改革も進めて行く方針である。

(c)特定顧客依存からの脱却
売上高の約60%以上をキヤノングループに依存している点はリスクと言えよう。しかし、顧客層の拡大は着実に進んでいる。同社が連結決算となった2012年2月期は売上高の70.7%をキヤノングループへ依存していた。既に触れたとおり、2015年2月期は63.3%まで低下している。キヤノン依存からの脱却は着実に進んでいると考えてよかろう。

ただ、キヤノングループからの受注が急激に細る恐れも極めて低い。例えば、デジタルカメラは、スマートフォンの普及で需要が減少していると言われているが、キヤノンの主力である一眼レフに関して言えば、写真のプロや愛好家向け、新興国富裕層などに根強い人気があり、消費者の要求に対応するためにより高度なファームウェアの開発が引き続き行われており、開発費も維持されているという。

したがって、今後もキヤノングループからの受注は横ばい傾向が続き、営業社員や子会社の努力によってキヤノングループ以外の顧客からの受注拡大が少しずつ進んでいくと見るのが妥当であろう。

(d)高齢化対策
同社の社員の平均年齢は35歳程度で、決して高齢化が進んでいるわけではない。しかし、同社は、離職率が5%程度と、競合他社の半分程度の低さである。離職率が低いのは、有給休暇の取得を推進し、残業も極力抑え、報酬体系も明確な内容になっているためである。また、ファームウェアという電機製品の中核を担うビジネスをしているため、特にエンジニアにとっては非常にやりがいのある仕事であるという面も離職率の低さの一因となっている。しかし、離職率の低さは、一方で、将来の高齢化につながる恐れもある。

高齢化対策としては、社員の若返りを進めるしかない。そのためにも、同社の最大の課題として挙げた新卒採用の確保は重要になる。また、高齢化した社員への対応としては、退職を促すのではなく、定年まで活躍できる社内体制の構築や、労働集約型のビジネスに頼らない収益の柱を確保することなどを模索している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)



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