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アールシーコア CORPORATE RESEARCH(4/10):生活空間を十分にイメージしてもらう感性マーケティング

注目トピックス 日本株
営業姿勢

アールシーコア<7837>の営業姿勢は、合同住宅展示場にモデルハウスを構える同業他社のアプローチと全く異なる。単独展示場に足を運んだ家族が、その家の中での暮らし、生活というものを十分にイメージして「ここで暮らしたい」と思い、営業員に相談したところからそれは始まる。同社の2014年度の契約客調査によると、「BESS」契約者の42%が同社の展示場を訪れた時点では「(住宅購入の)計画はあるがかなり先」と考えていたという。また、「計画はないが関心あり」も18%、つまり、およそ6割の契約者は具体的な購入計画のないままに“展示場に遊びに来た人”であったということになる。

また、RCC社の契約に至るリードタイムはとても長い。同じく2014年度の契約客調査によると、初めて展示場を訪れてから成約までに至るリードタイムが2年以上かかった契約者が21%、1年超〜2年以内の契約者が14%いたという。「初めて展示場を訪れてから1ヶ月が勝負」と考えている他社では考えられないこのリードタイムの長さをRCC社自身は何も問題としていない。同社の別の調査によると、初めて単独展示場を訪れた人に対して商談を行うよりも、2回目以降に訪れた人に対して行った方が契約率で2.5倍も高かったという。「感性マーケティング」、「農耕型営業」と同社が掲げる営業スタイルの有効性がこの数字に表れている。また、このことが単独展示場に拘る理由であるとも考えられる。

ログハウスなどBESSの自然派個性住宅を木々や草花が取り囲む展示場は、テーマパークのような趣(おもむき)がある。その中に建つBESSの提唱する家を好きになるかどうかという「感性」の判断が全てであると同社は考えている。

合同展示場とはつまるところ、「住宅の比較をしに行く場所」である。そのため、営業員はその機能性、細部の他社との差別化をアピールすることに注力する。しかし、RCC社は他社との相対的な比較や細部の機能説明というアプローチを行うことは同社の営業スタイルではないということを、教育を通じて営業員に教えている。単独展示場は比較をする場所ではない。そこに流れる全体的な雰囲気・時間を訪問者が好きになれるか、この家で暮らしを楽しむイメージが湧いてくるかが最も重要なことになる。実際に2014年度の同社の調査によると約6割の契約者が、「(住宅購入に際して)他社と比較しなかった」と答えている。

この営業スタイルは結果的に営業員一人あたりの高い生産性に結びついている。同社の資料に掲載されている住宅産業研究所の調査によると、2013年度の住宅販売メーカーの営業1人あたりの平均契約棟数は5.0棟となっているが、「BESS」の数字は2013年度が7.0棟、2014年度が6.2棟と、それを上回るものとなっている。

ビジネス・フレームワーク

ここに、(1)単独の拠点(展示場)を増やし、新規来場者数を増加させる→(2)そこで「農耕型営業」を行う→(3)RCC社が提唱する「機能主義ではなく、生活を楽しむという価値観」に共感する人間が新規来場者数の中に一定割合で存在し、契約に結びつく、という非常にシンプルなビジネス・モデルが確立していることが窺える。事実、同社の資料によると2013年度では約6割、2014年度では約5割の契約者がメンテナンスに手間のかかる薪ストーブをオプションで購入しているという。これは同社が提唱するスタイルに共感した結果が契約に結びついていることを示す好例と思われる。また、拠点に展示されているログハウス、住宅に契約者が非常に満足していることが、2013年度、2014年度ともに、カタログに掲載されている標準モデルの採用率が99%と高いことから分かる。

BESSの家は、商品ラインナップそれぞれが土地の広さに応じられるよう、3〜5種類のバリエーションがあるが、それらの標準価格がカタログに記されている。他のハウスメーカーにおいても「規格商品」として土地の間取りに合わせたさまざまなバリュエーションを坪当たりの価格別に分けてカタログに載せているところが多い。しかし、標準仕様からフローリング、壁紙、キッチンや浴室回りを変更することにより、結局は予定していた金額を大きく超過してしまう場合が多いが、同社の商品は、商品カタログのラインナップの中からユーザーに選んでもらう規格商品が中心(「ワンダーデバイス」についてはデバイスの組み合わせが可能)であり、「標準モデル」の採用により、変更の余地があまりない。そのため、予定していた金額と最終の出来上がり価格に差が生じないという価格の透明性が非常に高いカタログとなっている。この標準仕様の採用率が高いということは、展示場のログハウス、住宅に対する満足度が高いことの表れである。


スプリングキャピタル株式会社 井上 哲男





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