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アジュバン Research Memo(3):非正規流通経路への商品流出を防止、全商品をトレース

注目トピックス 日本株
■業績の推移

(2)非正規流通対策の進捗

非正規流通問題とは、一部の代理店やサロンから、スキンケアやヘアケア製品が第三者に流れ、インターネット上で販売され、正規販売店たる同社の登録サロン(A・C・S登録サロン)における対面販売が機会損失を被っていることを言う。アジュバンコスメジャパン<4929>の販路は、美容サロンにおいて美容師がカウンセリングを行いながら対面で販売することを基本にしている。これは製品の持つ安全と安心を最終消費者に確実に届けるため、同社が最もこだわりを持つポイントの1つだ。同社にとって非正規流通は経済的な影響だけでなく、レピュテーション・リスク(ブランド力の低下リスク)をもはらんでいる大きな問題だ。

非正規流通対策の第1歩として、同社は流通元の特定を進めて来た。その結果、主として2つの代理店が関与していることを突き止め、2015年6月末までに、その2つの代理店との契約を打ち切った。これにより、非正規に流通する商品の歯止めの一助となった。なお、流出元の根絶対応のため、商品のトレーサビリティ(流通経路の追跡)のシステム構築と、そのためのインフラ整備(工場の生産ライン手直し、倉庫の確保など)を完了させた。これらが2016年3月期第2四半期末までの実行された内容だ。2016年3月期第3四半期からは、全商品にトレースするためのQRコードを付与しての出荷が実行されている。

非正規流通問題の経済的影響の詳細は明らかにされていない。今回の一連の過程において、同社は代理店2社との契約を解除したが、これらは有力代理店であったとみられ、それらが扱っていた正規流通品としての売上もすべて失った形となる。それにもかかわらず、2016年3月期第2四半期決算ではスキンケア、ヘアケア製品ともに前年同期比増収となったことの意味は大きい。これはインターネットで非正規流通品を購入していた利用者層が正規品を求めてサロンに戻って来たことを意味しており、同社のサロンを通じた販売力と、同社製品の魅力とが、ともに高いままであることが実証されたと言えるからだ。

同社が非正規流通対策に投じた直接的な費用は数千万円程度の模様で、今後のコストアップも実質的にはほとんどないとみられるため、今後は売上高の回復とともに利益面での回復もついてくるものと弊社では考えている。弊社では、同社の進める非正規流通対策は一旦の解決を見たと考えている。今後は非正規流通問題の再発に留意しつつ主力製品の売上高成長に専念するステージに戻ったと言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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