明豊ファシリ Research Memo(4):成長機会は企業モラルやコンプライアンス意識の高まり
[15/12/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
(5) SWOT分析
明豊ファシリティワークス<1717>の経営を取り巻く外部環境と経営の現状について、SWOT分析を行う。SWOT分析とは、強み「Strength」、弱み「Weakness」、機会「Opportunity」、脅威「Threat」の4つに区分して、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する、経営分析の一般的な手法である。
外部環境面での成長機会としては、対建設投資において品質、コストとスピードへの顧客側の意識が高まること、また、企業モラルやコンプライアンス意識の高まりによって、発注プロセスやコストを明確に開示し、建設費用の削減に資するCM事業者へ発注するケースが増えていくことが想定される。ただしCM事業者にとっては、設計から工事入札、施工管理まで高度かつ全体を網羅する専門能力に加えて、発注者と工事業者との利害調整能力も必要となる。また、一般的なCM事業者は設計工程が完了した段階でプロジェクトに参画するケースが多いが、同社はさらに上流工程となる建設の基本構想段階から参画し、品質、スケジュール、コストを施主要求内で竣工させるケースが全体の7割以上を占めるようになってきており、これがCM事業者の中における強みの1つとなっている。
一方、外部環境面でのリスク要因としては、既存建設業者との競争激化や建設投資循環の影響が挙げられる。ただ、CM手法の採用割合はまだ低く、今後は地方自治体など公共分野での普及拡大も見込まれており、影響は限定的と考えられる。また、足元における建設投資は震災復興需要や東京オリンピック需要などもあり、当面は旺盛な需要が続くと想定される。
内部環境における「強み」としては、独立系であり「フェアネス」と「透明性」において既存顧客から高い信頼を獲得し、それが今では企業風土として新規顧客の開拓においてもプラスになっている点が挙げられる。また、同社は情報の可視化等を目的に開発したプロジェクト予算管理システムを使って、受注プロジェクトごとのコスト管理を従業員一人ひとりのマンアワーコストで管理しており、フィービジネスにおける生産性向上に対する意識が会社全体で高いことも強みと言える。ワークスタイル面でも、早くからテレワークを全社導入しており、社内のフリーアドレス化、ペーパレス化を実現している。建築業界においては、顧客との折衝において建築図面など関係書類が膨大となるが、同社ではこうした対外折衝でもすべてペーパレスで行っており、生産性向上に寄与している。
一方、内部的な「弱み」としては専門性の高い人材がプロジェクト数に比例して必要となるために、成長を持続していくためには優秀な人材の継続的な確保と組織力の強化が必要となってくることが挙げられる。ここ数年で業界の中での同社のブランド力、知名度は格段に上昇しており、大手企業や設計事務所などからも優秀な人材が集まるようになるなど、採用は年間増減率10%程度で、純増はそれを若干下回る年5%程度となるが、採用に関しては専門性の高いスキルを持つだけでなく、複数の専門的業務に従事できる人材を獲得することで、1人当たり生産性をさらに向上していくことを目指している。また、組織力についても大手企業で人材育成や組織管理の分野を専門に携わってきた人材を2015年に役員として招聘しており、マネージャーの人材育成などを含めて取り組んでおり、既にその効果も出始めている。CM業務ではプロジェクトごとに複数のメンバーが集まって業務を遂行することになるが、メンバーを束ねるマネージャーの資質によって、プロジェクトの品質にも差が出てくる。マネージャーとしての能力を見出すこと、あるいは育成することで組織力の強化が進み、全体の生産性向上にもつながっていくことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(5) SWOT分析
明豊ファシリティワークス<1717>の経営を取り巻く外部環境と経営の現状について、SWOT分析を行う。SWOT分析とは、強み「Strength」、弱み「Weakness」、機会「Opportunity」、脅威「Threat」の4つに区分して、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する、経営分析の一般的な手法である。
外部環境面での成長機会としては、対建設投資において品質、コストとスピードへの顧客側の意識が高まること、また、企業モラルやコンプライアンス意識の高まりによって、発注プロセスやコストを明確に開示し、建設費用の削減に資するCM事業者へ発注するケースが増えていくことが想定される。ただしCM事業者にとっては、設計から工事入札、施工管理まで高度かつ全体を網羅する専門能力に加えて、発注者と工事業者との利害調整能力も必要となる。また、一般的なCM事業者は設計工程が完了した段階でプロジェクトに参画するケースが多いが、同社はさらに上流工程となる建設の基本構想段階から参画し、品質、スケジュール、コストを施主要求内で竣工させるケースが全体の7割以上を占めるようになってきており、これがCM事業者の中における強みの1つとなっている。
一方、外部環境面でのリスク要因としては、既存建設業者との競争激化や建設投資循環の影響が挙げられる。ただ、CM手法の採用割合はまだ低く、今後は地方自治体など公共分野での普及拡大も見込まれており、影響は限定的と考えられる。また、足元における建設投資は震災復興需要や東京オリンピック需要などもあり、当面は旺盛な需要が続くと想定される。
内部環境における「強み」としては、独立系であり「フェアネス」と「透明性」において既存顧客から高い信頼を獲得し、それが今では企業風土として新規顧客の開拓においてもプラスになっている点が挙げられる。また、同社は情報の可視化等を目的に開発したプロジェクト予算管理システムを使って、受注プロジェクトごとのコスト管理を従業員一人ひとりのマンアワーコストで管理しており、フィービジネスにおける生産性向上に対する意識が会社全体で高いことも強みと言える。ワークスタイル面でも、早くからテレワークを全社導入しており、社内のフリーアドレス化、ペーパレス化を実現している。建築業界においては、顧客との折衝において建築図面など関係書類が膨大となるが、同社ではこうした対外折衝でもすべてペーパレスで行っており、生産性向上に寄与している。
一方、内部的な「弱み」としては専門性の高い人材がプロジェクト数に比例して必要となるために、成長を持続していくためには優秀な人材の継続的な確保と組織力の強化が必要となってくることが挙げられる。ここ数年で業界の中での同社のブランド力、知名度は格段に上昇しており、大手企業や設計事務所などからも優秀な人材が集まるようになるなど、採用は年間増減率10%程度で、純増はそれを若干下回る年5%程度となるが、採用に関しては専門性の高いスキルを持つだけでなく、複数の専門的業務に従事できる人材を獲得することで、1人当たり生産性をさらに向上していくことを目指している。また、組織力についても大手企業で人材育成や組織管理の分野を専門に携わってきた人材を2015年に役員として招聘しており、マネージャーの人材育成などを含めて取り組んでおり、既にその効果も出始めている。CM業務ではプロジェクトごとに複数のメンバーが集まって業務を遂行することになるが、メンバーを束ねるマネージャーの資質によって、プロジェクトの品質にも差が出てくる。マネージャーとしての能力を見出すこと、あるいは育成することで組織力の強化が進み、全体の生産性向上にもつながっていくことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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