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SDエンター Research Memo(3):ネットキャッチャーやボウリング教室、トレーニングサポートなど新たに注力

注目トピックス 日本株

■業績の推移

(2) 2016年3月期第2四半期までの注目点

a) GAME事業:ネットキャッチャー
GAME事業における各種施策の中で特に注目されるのが遠隔操作型クレーンゲームだ。これはスマホやPCから遠隔操作でクレーンゲーム(“UFOキャッチャー”が代表的)を楽しむというものだ。事業者は郊外や山中の倉庫のような施設に機械を設置すれば良いので、不動産コストを限りなく圧縮することができ、一方、利用者は景品の種類の多さ、外出不要、24時間利用可能といったメリットを享受できる。課金・回収モデルは通常の有料アプリやモバイルゲームと同様になっている。SDエンターテイメント<4650>は遠隔操作型クレーンゲーム事業を2016年1月25日にローンチする計画で準備を進めている。

遠隔操作型クレーンゲームは2013年頃から市場に出始め、現在、「ネッチ」、「トレバ」、「どこでもキャッチャー」、「モバクレ」、「ぷらこれ」、「クラウドキャッチャー」などの名称で複数の事業者がサービスを行っている。同社はそのいずれかの会社よりシステムを購入し、「ぽちっとクレーン」の名称でサービス開始する予定だ。

ゲームセンター事業とスマホとは消費時間及び消費金額の両面で競合関係にあるが、ネットキャッチャーのビジネスモデルはスマホを味方につけることができる点でこれまでのゲーム機との大きな違いだ。さらに、ゲームセンター事業の収益性を低くしている要因である不動産コストが、この事業モデルでは問題ではなくなる。さらに、現状のゲームセンター事業における収益源がクレーンゲーム等のプライズゲームであるという現実だ。これらの点で弊社は、遠隔操作型クレーンゲーム事業に大いに注目している。

懸念としてはリアル店舗と遠隔操作型クレーンゲームとのカニバリズムが考えられる。この点について同社では、リアル店舗の客は飲食の帰りなどの「ついで」需要や友人同士での来店など、リアル店舗ゆえの顧客層が一定割合存在する一方、遠隔操作型の場合は景品獲得を追求するタイプがメーンの顧客層になるとみられるため、両者は棲み分けが可能だとしている。

b)フィットネス事業:TSS(トレーニングサポートシステム)
フィットネス事業では先頃発表された新ダイエットプログラム「FIVE」に期待がかかるが、他方、同社はKPI(重要経営指標)の改善に地道に取り組んでいる。KPIの中でも「見学入会率」など明確に改善が見られるものと、目標に対してまだ差があるものと、ばらつきがあるのが現状だ。そのなかで、今後の同社のKPI向上に大きく貢献すると期待される施策がTSS(トレーニングサポートシステム)だ。

TSSはすべての入会者に、入会から3ヶ月後まで無料で提供されるもので、(カウンセリング、測定)⇒(運動プログラム提案)⇒(効果測定)⇒(新たなプログラム提案)といった、PDCAサイクルに沿った内容で構成されている。利用者はこれによって目的に合った運動を効率的に行うことができる。同社のメリットは入会者の初期定着率の向上だ。フィットネス事業のビジネスモデルでは長く会員でいてもらうことが重要だが、特に初期定着と言われる入会から3ヶ月目までの施設利用頻度は、その後の在籍期間にも影響している。そこで同社はTSSを通じて会員とのコミュニケーションや成果の提供を強化し、新規入会者の来館意欲促進を目指している。また、フィットネス業界では入会金や当初数ヶ月の会費無料などの入会キャンペーンを行うことが多い。このようなキャンペーンで入会した会員は、定着率が低い傾向があるが、TSSにより定着率向上の効果も期待される。

c)ボウリング事業:LTB
同社は需要低迷が続いていたボウリング事業で地道な集客努力を積み重ねてきたが、その中の1つがLTB(Learn to Bowling)と呼ぶボウリング教室だ。これは昼間の閑散時間帯に高齢者や有閑者を呼び込むための施策として始めたものだが、これが軌道に乗ってきた。今秋の秋季コースでは258名の受講者を集め、受講率は定員の93%に達した。

LTBは初心者を対象としているが、同社はさらに固定化を図るために、ワンランクアップのボウリング教室も開催している。それがプロボウラーによるグループレッスンだ。料金設定はLTB教室に比べて高額となっているが、プロの指導をより細やかに受けられるということで出だしから好評の模様だ。

ボウリング教室を通じた新たなボウリング顧客層の“掘り起こし”⇒“育成”⇒“固定”の流れは、ほぼ確立したと言え、これが後述する今期のボウリングの復調へとつながっている。同社は今後も中高年層の掘り起こしを進める一方、ファミリー層や若年層への訴求を強め、ボウリング事業の収益の底上げと持続的成長を図っていく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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