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ファーストブラザーズ Research Memo(5):2016年11月期は自己勘定投資の成長が寄与する構図

注目トピックス 日本株
■業績動向

(2) 2016年11月期連結業績の見通し

ファーストブラザーズ<3454>の2016年11月期会社業績予想は、売上高12,482百万円(前期比2.7倍)、売上総利益4,354百万円(同9.1%増)、営業利益3,052百万円(同7.8%増)、経常利益2,778百万円(同4.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,681百万円(同1.2%増)。純利益は過去最高を更新する見込みだが、EPSは232.8円(同3.9%減)と微減予想。2015年11月期中にIPOを行ったため期中平均発行済株式数が2015年11月期よりも5.3%増加する予想であったことによる。後述のように2016年1月22日に発行済株式数の3.0%を上限とする自社株買いを発表しており、EPSの減少幅は若干縮小する見込み。

大幅増収予想なのは、2015年11月期にはなかった自己勘定投資物件の売却を70億円弱(取得価格ベース)見込んでいることによる。これに伴い、投資銀行事業の売上総利益が3,330百万円(前期比2.4倍)と急伸見込み。2015年12月17日に港区の収益ビル(延床面積2,296平方メートル)を売却した旨のリリースが出されている。当該物件は2014年11月に取得。中長期保有を予定していたが、優良テナントによる満室稼働を実現するなどバリューアップを完了させたことから、1年1ヶ月での売却となった。売却価格は守秘義務により非開示だが、決算説明会資料によるとエクイティ・マルチプルは4.2倍。売却価格は取得価格より3割弱高かったと推測される。なお、この物件売却の開示は、売却金額が前期の売上高の10%以上に相当し適時開示基準に該当したため。2015年11月期の売上高が4,557百万円と少なかったため、2016年11期については自己勘定投資物件の売却の都度、開示されることになるはずであり、物件売却の進捗をある程度把握することができるだろう。

一方、投資運用事業の売上総利益は1,023百万円(前期比60.4%減)と急反落見込み。2015年11月期は物件売却の促進からインセンティブフィー、ディスポジションフィーが膨らんだ反動と、AUM減少に伴うAMフィーの減少による。不動産市況は高値圏にあるとの認識のもと引続き売却を促進する方針のため、今期もインセンティブフィー、ディスポジションフィーは相応に発生するとみられ会社予想は保守的と考えられる。2016年11月期も業績上方修正の可能性が高いだろう。

ソーシングに関しては、投資対象の流通量が豊富である自己勘定投資は安定収益獲得のため引続き積極的に推進する方針で、業績予想上は160億円の物件取得(2015年11月期の取得は121億円)、約100億円の自己勘定投資残高の純増を想定している。社内目標は純増200億円とさらに高く、これが達成できれば賃料収入で固定費をほぼカバーできる見込み。ファンドにおける投資は、不動産売買市場が過熱しているため高値つかみに注意しながら慎重に進める姿勢。

年初から世界の金融・資本市場は大きく動揺しており、実物の不動産売買市場への影響が懸念されるところだが、足元では特段の変化はうかがわれない。同社が運営する私募ファンドは基本的にオポチュニスティック型であり、市場の波乱はピンチではなく、むしろチャンスであると言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)



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