ソーバル Research Memo(1):主力のファームウェアを中心に業績は順調に伸長
[16/04/20]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
ソーバル<2186>は、2016年4月12日に2016年2月期の連結決算を発表した。売上高・利益ともに業績予想を上回り、前期比2ケタ増を達成した。
2016年2月期は、事業の安定性をより一層盤石にし、更なる成長の加速を図るという同社の基本戦略・戦術が大きく進んだ年と言えるだろう。主力のファームウェアを中心に受注が引き続き順調に伸びた。既存顧客からの受注は堅調に伸び、富士通<6702>グループなどから大型受注も獲得した。さらに、医療や自動車分野など新規分野における新規顧客も獲得した。医療分野に関しては、社内に専門部署を新設、眼底測定機器の付随ソフトの開発や、治験の統計解析分野(SASプログラミング)など、既存の得意技術を応用したソフト開発の受注を伸ばした。自動車分野に関しては、2015年5月1日に車載システム・生産ライン及び物流搬送設備の制御システム開発・製造のアンドールシステムサポート(株)(以下、アンドール)を連結子会社化したほか、2016年3月には日立製作所<6501>グループと新規の取引を始め、自動車の次世代技術分野でのソフト開発をスタートさせた。2015年4月入社の新卒社員の育成も順調で、早期に収益貢献した。
これら順調な事業拡大の理由は、ファームウェアがデジタル機器の性能向上を担う中核のソフトウェアであると同時に非常に参入障壁が高い分野であり、同社はそのような分野で高度な技術力を有しているからというのはもちろんである。しかし、それだけではない。非常にレベルの高いプロジェクト管理体制が構築されている点も、顧客からの厚い信頼を維持し、事業・収益拡大を支えている。具体的には、2014年6月の本社の移転に伴い、今まで分散していた技術者が本社オフィスに集約されたことによってノウハウの共有化がさらに進み、工数が削減され、より多くの受注を効率的にこなせるようになった。ソーバル単体内はもとより、子会社を含めたグループ全体としても受注案件を相互に融通し合うといった柔軟な作業体制も実現している。その成果として、例えば、不採算案件は年に2〜3回程度の案件でしか発生しないという。
一方、安定性をより盤石にするための最重要課題のひとつである特定顧客からの売上依存度低下は着実に進んだ。また、もう1つの最重要課題である優秀な人材確保に関しても、セミナーやイベントの開催によって着実に成果を挙げたほか、社員を大切にすることを社是として掲げている面も評価され、2016年4月の新卒採用は目標の70人対し、65人を確保できた(連結ベース)。アンドールのM&Aも含めて、連結で社員数は1,052人となり、大型案件を安定して受注できる目安となる1,000人を超えた。
2017年2月期も、増収・増益予想となっているが、自動車分野での売上高を保守的に見積もるなど、同社ならではの慎重な見通しに基づいた予想となっている。しかし、業績予想が上振れる潜在的な可能性は十分にある。例えば、具体的な動きはまだないようであるが、既存顧客の中で最も取引が多いキヤノン<7751>が東芝<6502>から子会社の東芝メディカルシステムズ(株)を買収したことから、医療分野での売上高増加が期待できそうである。2番目に取引が多いソニー<6758>グループとは2020年の東京オリンピックに向けて撮影機材関連のソフトウェアの新規開発案件が今後、増加しそうである。
好業績と安定成長に支えられた株価上昇期待と併せて、株主還元策にも積極的に取り組んでいることから、中長期的な投資先として引き続き目の離せない銘柄と言えるだろう。
■Check Point
・自動車と医療機器分野での新規顧客獲得が着実に進展
・2017年2月期の年間配当金は42円を予想
・2017年2月期は増収増益予想ながら、保守的な業績予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
<HN>
2016年2月期は、事業の安定性をより一層盤石にし、更なる成長の加速を図るという同社の基本戦略・戦術が大きく進んだ年と言えるだろう。主力のファームウェアを中心に受注が引き続き順調に伸びた。既存顧客からの受注は堅調に伸び、富士通<6702>グループなどから大型受注も獲得した。さらに、医療や自動車分野など新規分野における新規顧客も獲得した。医療分野に関しては、社内に専門部署を新設、眼底測定機器の付随ソフトの開発や、治験の統計解析分野(SASプログラミング)など、既存の得意技術を応用したソフト開発の受注を伸ばした。自動車分野に関しては、2015年5月1日に車載システム・生産ライン及び物流搬送設備の制御システム開発・製造のアンドールシステムサポート(株)(以下、アンドール)を連結子会社化したほか、2016年3月には日立製作所<6501>グループと新規の取引を始め、自動車の次世代技術分野でのソフト開発をスタートさせた。2015年4月入社の新卒社員の育成も順調で、早期に収益貢献した。
これら順調な事業拡大の理由は、ファームウェアがデジタル機器の性能向上を担う中核のソフトウェアであると同時に非常に参入障壁が高い分野であり、同社はそのような分野で高度な技術力を有しているからというのはもちろんである。しかし、それだけではない。非常にレベルの高いプロジェクト管理体制が構築されている点も、顧客からの厚い信頼を維持し、事業・収益拡大を支えている。具体的には、2014年6月の本社の移転に伴い、今まで分散していた技術者が本社オフィスに集約されたことによってノウハウの共有化がさらに進み、工数が削減され、より多くの受注を効率的にこなせるようになった。ソーバル単体内はもとより、子会社を含めたグループ全体としても受注案件を相互に融通し合うといった柔軟な作業体制も実現している。その成果として、例えば、不採算案件は年に2〜3回程度の案件でしか発生しないという。
一方、安定性をより盤石にするための最重要課題のひとつである特定顧客からの売上依存度低下は着実に進んだ。また、もう1つの最重要課題である優秀な人材確保に関しても、セミナーやイベントの開催によって着実に成果を挙げたほか、社員を大切にすることを社是として掲げている面も評価され、2016年4月の新卒採用は目標の70人対し、65人を確保できた(連結ベース)。アンドールのM&Aも含めて、連結で社員数は1,052人となり、大型案件を安定して受注できる目安となる1,000人を超えた。
2017年2月期も、増収・増益予想となっているが、自動車分野での売上高を保守的に見積もるなど、同社ならではの慎重な見通しに基づいた予想となっている。しかし、業績予想が上振れる潜在的な可能性は十分にある。例えば、具体的な動きはまだないようであるが、既存顧客の中で最も取引が多いキヤノン<7751>が東芝<6502>から子会社の東芝メディカルシステムズ(株)を買収したことから、医療分野での売上高増加が期待できそうである。2番目に取引が多いソニー<6758>グループとは2020年の東京オリンピックに向けて撮影機材関連のソフトウェアの新規開発案件が今後、増加しそうである。
好業績と安定成長に支えられた株価上昇期待と併せて、株主還元策にも積極的に取り組んでいることから、中長期的な投資先として引き続き目の離せない銘柄と言えるだろう。
■Check Point
・自動車と医療機器分野での新規顧客獲得が着実に進展
・2017年2月期の年間配当金は42円を予想
・2017年2月期は増収増益予想ながら、保守的な業績予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
<HN>