カイオム Research Memo(2):創薬事業と創薬支援事業からなる
[16/06/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(1) ADLib®システムとは
カイオム・バイオサイエンス<4583>のコア技術であるADLib®システムは、理研で2002年に開発した抗体作製技術で、現在は同社と理研で特許を持っている。ADLib®システムによる抗体作製法を簡単に説明すると、ニワトリ由来の培養細胞株であるDT40細胞が持つ様々な抗体を生み出すメカニズムをトリコスタチンAという薬剤で人為的に活性化させて、多種多様なモノクローナル抗体を試験管内において短期間で創出する技術である。
現在、上市されている抗体医薬品は、既存の抗体作製技術であるマウスハイブリドーマ法やファージディスプレイ法で作製された抗体によるもので、これら既存技術に対してADLib®システムが持つ主な優位点は、困難抗原への対応が可能であるということと、抗体作製にかかる期間が短いという点にある。
完全ヒト抗体の作製に関して、2014年3月に実用化レベルでの技術が完成したことを発表している。完全ヒトADLib®システムとは、DT40細胞の持つニワトリ抗体の遺伝子をヒトの抗体遺伝子に置換し、DT40細胞から直接ヒト抗体の取得が実現可能な技術である。この完全ヒト抗体の実用化に関しては、既存法との比較で遅れていた部分でもあるだけに、今後の事業展開に向けて意義の大きい一歩であったと評価できる。現在は、完全ヒトADLib®システムの技術導出に向けて、アンメットニーズの高い疾患領域での新規ターゲットや開発ステージにある先行品により、治療薬につながることが期待されているターゲットに対しての抗体作製実績を蓄積している段階にある。
(2)事業概要
同社の事業は創薬事業と創薬支援事業の2つのセグメントに分けられている。
創薬事業は、同社が開発した医療用抗体作製のための基盤技術やリード抗体等の知的財産を活用したライセンスの導出にかかる一時金収入、マイルストーン収入及びロイヤルティ収入と、共同研究等にかかる収入等を獲得する事業となる。現在、リード抗体としては「LIV-1205」「LIV-2008」「LIV-2008b」「抗セマフォリン3A抗体」などがあり、導出実績としては、「LIV-1205」及び「LIV-2008b」のADC開発用途を目的としたオプションライセンス契約を、スイスのADCT社と締結している。
創薬支援事業は、製薬企業等で実施される創薬研究を支援するための抗体作製に必要な関連業務の受託サービスのほか、研究用並びに診断用抗体の作製のための基盤技術を提供し収入を獲得する事業となる。基盤技術の導出実績としては、富士レビオと2010年にADLib®システムの実施許諾及び共同研究契約を締結している。富士レビオでは同技術を用いて、「ビタミンD測定用の抗体を含む診断キット」(くる病患者の診断用等に使用)を開発、2014年に欧州で販売を開始している。
なお、ADLib®システムの特許権は日本、米国、欧州、中国でそれぞれ成立しており、権利保有者は理研と同社で50%ずつとなっている。また、同社は理研に対して特許使用料を支払っている。特許の有効期限は日本、欧州と中国が2023年、米国が2025年となっているが、完全ヒトADLib®システムを始めとする関連特許も出願中であり、特許切れ以降においてもADLib®システムにおける同社の優位性を保持するための施策は打たれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1) ADLib®システムとは
カイオム・バイオサイエンス<4583>のコア技術であるADLib®システムは、理研で2002年に開発した抗体作製技術で、現在は同社と理研で特許を持っている。ADLib®システムによる抗体作製法を簡単に説明すると、ニワトリ由来の培養細胞株であるDT40細胞が持つ様々な抗体を生み出すメカニズムをトリコスタチンAという薬剤で人為的に活性化させて、多種多様なモノクローナル抗体を試験管内において短期間で創出する技術である。
現在、上市されている抗体医薬品は、既存の抗体作製技術であるマウスハイブリドーマ法やファージディスプレイ法で作製された抗体によるもので、これら既存技術に対してADLib®システムが持つ主な優位点は、困難抗原への対応が可能であるということと、抗体作製にかかる期間が短いという点にある。
完全ヒト抗体の作製に関して、2014年3月に実用化レベルでの技術が完成したことを発表している。完全ヒトADLib®システムとは、DT40細胞の持つニワトリ抗体の遺伝子をヒトの抗体遺伝子に置換し、DT40細胞から直接ヒト抗体の取得が実現可能な技術である。この完全ヒト抗体の実用化に関しては、既存法との比較で遅れていた部分でもあるだけに、今後の事業展開に向けて意義の大きい一歩であったと評価できる。現在は、完全ヒトADLib®システムの技術導出に向けて、アンメットニーズの高い疾患領域での新規ターゲットや開発ステージにある先行品により、治療薬につながることが期待されているターゲットに対しての抗体作製実績を蓄積している段階にある。
(2)事業概要
同社の事業は創薬事業と創薬支援事業の2つのセグメントに分けられている。
創薬事業は、同社が開発した医療用抗体作製のための基盤技術やリード抗体等の知的財産を活用したライセンスの導出にかかる一時金収入、マイルストーン収入及びロイヤルティ収入と、共同研究等にかかる収入等を獲得する事業となる。現在、リード抗体としては「LIV-1205」「LIV-2008」「LIV-2008b」「抗セマフォリン3A抗体」などがあり、導出実績としては、「LIV-1205」及び「LIV-2008b」のADC開発用途を目的としたオプションライセンス契約を、スイスのADCT社と締結している。
創薬支援事業は、製薬企業等で実施される創薬研究を支援するための抗体作製に必要な関連業務の受託サービスのほか、研究用並びに診断用抗体の作製のための基盤技術を提供し収入を獲得する事業となる。基盤技術の導出実績としては、富士レビオと2010年にADLib®システムの実施許諾及び共同研究契約を締結している。富士レビオでは同技術を用いて、「ビタミンD測定用の抗体を含む診断キット」(くる病患者の診断用等に使用)を開発、2014年に欧州で販売を開始している。
なお、ADLib®システムの特許権は日本、米国、欧州、中国でそれぞれ成立しており、権利保有者は理研と同社で50%ずつとなっている。また、同社は理研に対して特許使用料を支払っている。特許の有効期限は日本、欧州と中国が2023年、米国が2025年となっているが、完全ヒトADLib®システムを始めとする関連特許も出願中であり、特許切れ以降においてもADLib®システムにおける同社の優位性を保持するための施策は打たれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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