ソフト99 Research Memo(2):自動車用、家庭用ケミカル用品の製造販売会社
[16/07/06]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■事業概要
(1)事業内容
ソフト99コーポレーション<4464>は1954年(昭和29年)創業の自動車用、家庭用ケミカル用品の製造販売会社である。事業セグメントとしてはファインケミカル事業、ポーラスマテリアル事業、サービス事業、不動産関連事業の4つのセグメントで区分している。連結子会社は7社で、M&Aを活用しながら業容を拡大してきた。直近では2015年1月にTPMS(タイヤ空気圧監視装置)の企画・開発・販売を手掛ける(株)オレンジ・ジャパンの全株式を取得し、連結子会社化している。
直近5期間の事業別構成比をみると売上高、セグメント利益ともに大きな変動は無く、ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業が主力事業となっている。その他の事業に関しても期によって多少の変動はあるものの、総じて安定した収益を上げており、バランスのとれた事業ポートフォリオになっている。各事業の内容については、以下のとおり。
○ファインケミカル事業
ファインケミカル事業は大きく分けて、コンシューマ向けに販売されるカー用品(ボディケア、ガラスケア、リペアグッズ等)、業務用カー用品(自動車美装業者向けコーティング剤等)、家庭用品(メガネケア製品、クリーナー等)、海外事業(主にカー用品)、そして2016年3月期から新たに加わったTPMS事業の5つに区分される。2016年3月期の売上構成比を見ると、コンシューマ向けカー用品が全体の71%を占め、次いで業務用カー用品が12%、海外事業が9%、家庭用品等が5%、TPMSが1%となっている。
コンシューマ向けカー用品の市場シェアを見ると、カーワックスを中心としたボディケア分野で約4割とトップとなっている。参入企業は多いが、競合大手としてはウィルソンやシュアラスターなど同社を含めて4〜5社の争いとなっている。また、ガラスケア分野では約7割のシェアを握っている。雨天でも視界を確保するガラスコーティング剤「ガラコ」シリーズが高い支持を集めている。競合は綿之堂やシーシーアイなどがある。また、リペアグッズ(補修材)では約6割のシェアを持ち、市場は同社と武蔵ホルトの2社での寡占市場となっている。
業務用に関しては自動車美装業者向けを中心にコーティング剤などを販売しているほか、自動車メーカーやディーラー向けのOEM製品も製造している。また、ここ数年では飲料用自動販売機や船舶、鉄道車両など、自動車業界以外の市場開拓も進めている。
海外事業では中国やロシア、東南アジア向けが売上の中心で、現地代理店経由でコンシューマ向けカー用品や業務用製品の販売を展開している。また、近年では中国、台湾を中心に業務用製品の販売を通じた自動車美装サービスの展開を現地パートナー企業と協業で進めている。
2016年3月期より新たに加わったTPMS事業では、TPMSの開発販売を国内の運送事業者向けに行っている。TPMSとは、タイヤ内の空気圧や温度をセンサで常時監視し、異常が発生した場合に運転者に通知するシステムのことである。仕組みとしてはエアバルブと一体化したセンサ付き発振器をタイヤホイールに組み付け、運転席に設置される受信機に無線によって信号を送信、モニタに情報を表示する仕組みとなっている。トラック運送事業者などは、運行前点検の厳格化が指導されており、TPMSを搭載すればタイヤに起因する事故や、燃費悪化の防止につながるだけでなく、点検作業が省力化されるといったメリットがあり、普及が進み始めている。
ファインケミカル事業の営業利益率は、直近で8〜11%と安定して推移している。コンシューマ市場で高いシェアを獲得できていること、利益率の高い業務用製品の販売が安定していることが要因とみられる。海外事業の収益性に関してはまだ低水準だが、現地専売品など付加価値の高い製品の投入によって改善を図っている。
○ポーラスマテリアル事業
子会社のアイオン(株)で展開するポーラスマテリアル事業は、1999年にカネボウ(株)から譲り受けた事業で、ポリビニルアルコール(PVA)素材をベースとしたスポンジ(機能性多孔質吸収体)のパイオニア企業として知られている。高い吸水性能を生かして、産業資材や生活資材の開発製造を行っている。主な用途としては、産業資材で半導体、液晶、HDDの製造ライン用(洗浄・吸水工程)が、コンシューマ向け生活資材で洗車用タオルやスポーツ用タオルなどがある。2016年3月期の売上構成比で見ると、産業資材が72%、生活資材が28%の比率となっている。また、海外売上比率が52%と高くなっているのも特長で、特に半導体分野では世界大手の半導体メーカーを顧客に持つなど、その性能は業界でも高く評価されている。一方で、ハイテク業界の需要に左右されない事業体を構築すべく、近年では新用途への展開にも注力しており、医療用途などの販路開拓をすすめている。
営業利益率は10%台前半の水準で安定して推移している。コンシューマ向け生活資材の利益水準が比較的安定していることと、産業資材では、半導体業界・ハードディスク業界向けともに競合が少なく、ほぼ寡占的な業界環境にあるためだ。なお、海外向けに関しては円建て取引のため、為替変動の直接的な影響は受けない格好となっている。
○サービス事業
サービス事業は、子会社で展開しているオートサービス、自動車教習所、生活用品企画販売が含まれている。2016年3月期の売上構成比で見ると、オートサービスが47%、教習所が17%、生活用品企画販売が35%となっている。
オートサービス事業は主に、鈑金塗装や各種コーティング施工サービスを行っており、損保会社やカーディーラー経由で入庫される事故車両などの修理や車検整備を行っている。また、最近ではメイクアップ用のカーラッピングサービスや塗装面を飛び石や虫などによるキズや汚れから守るプロテクションフィルムの施工サービスにも注力している。サービス拠点は関西5ヶ所、首都圏で1ヶ所の体制となっており、主に関西が売上の中心となっているが、2013年9月に東京・江東区に新工場を稼働させており、首都圏の営業強化を進めている。
生活用品企画販売では、生活協同組合向けを中心に家庭用品・雑貨の企画販売を手掛けている。また、幅広い調達先を活かしたインターネット販売も拡大しており、今後はグループのネット販売のノウハウを集約し、この分野での事業拡大を目指していく方針となっている。
○不動産関連事業
不動産関連事業は不動産賃貸事業と温浴事業、介護予防支援事業が含まれる。2016年3月期の売上構成比で見ると、「極楽湯」(3店舗)を運営する温浴事業が73%、不動産賃貸事業が25%、介護予防支援事業が2%となっている。不動産賃貸事業に関しては本社ビルと東京・秋葉原にある自社ビルなどの賃貸を行っている。介護予防支援事業については、「極楽湯」(尼崎店)の同社敷地内の有効活用と温浴事業の付加サービスを目的としたもので、2014年11月よりサービスを開始している。
(2)経営理念・ビジョン
同社の経営理念は「生活文化創造企業」、また、経営ビジョンとしては、「未来の『あたりまえ』を発見する」ことを目指していくことを掲げている。『あたりまえ』とは一過性のブームに終わらない、お客様に長く愛される製品・サービスを意味している。顧客目線を常に意識し、創意工夫を持って、『あたりまえ』となるような製品・サービスを創出し続けることで、成長を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
(1)事業内容
ソフト99コーポレーション<4464>は1954年(昭和29年)創業の自動車用、家庭用ケミカル用品の製造販売会社である。事業セグメントとしてはファインケミカル事業、ポーラスマテリアル事業、サービス事業、不動産関連事業の4つのセグメントで区分している。連結子会社は7社で、M&Aを活用しながら業容を拡大してきた。直近では2015年1月にTPMS(タイヤ空気圧監視装置)の企画・開発・販売を手掛ける(株)オレンジ・ジャパンの全株式を取得し、連結子会社化している。
直近5期間の事業別構成比をみると売上高、セグメント利益ともに大きな変動は無く、ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業が主力事業となっている。その他の事業に関しても期によって多少の変動はあるものの、総じて安定した収益を上げており、バランスのとれた事業ポートフォリオになっている。各事業の内容については、以下のとおり。
○ファインケミカル事業
ファインケミカル事業は大きく分けて、コンシューマ向けに販売されるカー用品(ボディケア、ガラスケア、リペアグッズ等)、業務用カー用品(自動車美装業者向けコーティング剤等)、家庭用品(メガネケア製品、クリーナー等)、海外事業(主にカー用品)、そして2016年3月期から新たに加わったTPMS事業の5つに区分される。2016年3月期の売上構成比を見ると、コンシューマ向けカー用品が全体の71%を占め、次いで業務用カー用品が12%、海外事業が9%、家庭用品等が5%、TPMSが1%となっている。
コンシューマ向けカー用品の市場シェアを見ると、カーワックスを中心としたボディケア分野で約4割とトップとなっている。参入企業は多いが、競合大手としてはウィルソンやシュアラスターなど同社を含めて4〜5社の争いとなっている。また、ガラスケア分野では約7割のシェアを握っている。雨天でも視界を確保するガラスコーティング剤「ガラコ」シリーズが高い支持を集めている。競合は綿之堂やシーシーアイなどがある。また、リペアグッズ(補修材)では約6割のシェアを持ち、市場は同社と武蔵ホルトの2社での寡占市場となっている。
業務用に関しては自動車美装業者向けを中心にコーティング剤などを販売しているほか、自動車メーカーやディーラー向けのOEM製品も製造している。また、ここ数年では飲料用自動販売機や船舶、鉄道車両など、自動車業界以外の市場開拓も進めている。
海外事業では中国やロシア、東南アジア向けが売上の中心で、現地代理店経由でコンシューマ向けカー用品や業務用製品の販売を展開している。また、近年では中国、台湾を中心に業務用製品の販売を通じた自動車美装サービスの展開を現地パートナー企業と協業で進めている。
2016年3月期より新たに加わったTPMS事業では、TPMSの開発販売を国内の運送事業者向けに行っている。TPMSとは、タイヤ内の空気圧や温度をセンサで常時監視し、異常が発生した場合に運転者に通知するシステムのことである。仕組みとしてはエアバルブと一体化したセンサ付き発振器をタイヤホイールに組み付け、運転席に設置される受信機に無線によって信号を送信、モニタに情報を表示する仕組みとなっている。トラック運送事業者などは、運行前点検の厳格化が指導されており、TPMSを搭載すればタイヤに起因する事故や、燃費悪化の防止につながるだけでなく、点検作業が省力化されるといったメリットがあり、普及が進み始めている。
ファインケミカル事業の営業利益率は、直近で8〜11%と安定して推移している。コンシューマ市場で高いシェアを獲得できていること、利益率の高い業務用製品の販売が安定していることが要因とみられる。海外事業の収益性に関してはまだ低水準だが、現地専売品など付加価値の高い製品の投入によって改善を図っている。
○ポーラスマテリアル事業
子会社のアイオン(株)で展開するポーラスマテリアル事業は、1999年にカネボウ(株)から譲り受けた事業で、ポリビニルアルコール(PVA)素材をベースとしたスポンジ(機能性多孔質吸収体)のパイオニア企業として知られている。高い吸水性能を生かして、産業資材や生活資材の開発製造を行っている。主な用途としては、産業資材で半導体、液晶、HDDの製造ライン用(洗浄・吸水工程)が、コンシューマ向け生活資材で洗車用タオルやスポーツ用タオルなどがある。2016年3月期の売上構成比で見ると、産業資材が72%、生活資材が28%の比率となっている。また、海外売上比率が52%と高くなっているのも特長で、特に半導体分野では世界大手の半導体メーカーを顧客に持つなど、その性能は業界でも高く評価されている。一方で、ハイテク業界の需要に左右されない事業体を構築すべく、近年では新用途への展開にも注力しており、医療用途などの販路開拓をすすめている。
営業利益率は10%台前半の水準で安定して推移している。コンシューマ向け生活資材の利益水準が比較的安定していることと、産業資材では、半導体業界・ハードディスク業界向けともに競合が少なく、ほぼ寡占的な業界環境にあるためだ。なお、海外向けに関しては円建て取引のため、為替変動の直接的な影響は受けない格好となっている。
○サービス事業
サービス事業は、子会社で展開しているオートサービス、自動車教習所、生活用品企画販売が含まれている。2016年3月期の売上構成比で見ると、オートサービスが47%、教習所が17%、生活用品企画販売が35%となっている。
オートサービス事業は主に、鈑金塗装や各種コーティング施工サービスを行っており、損保会社やカーディーラー経由で入庫される事故車両などの修理や車検整備を行っている。また、最近ではメイクアップ用のカーラッピングサービスや塗装面を飛び石や虫などによるキズや汚れから守るプロテクションフィルムの施工サービスにも注力している。サービス拠点は関西5ヶ所、首都圏で1ヶ所の体制となっており、主に関西が売上の中心となっているが、2013年9月に東京・江東区に新工場を稼働させており、首都圏の営業強化を進めている。
生活用品企画販売では、生活協同組合向けを中心に家庭用品・雑貨の企画販売を手掛けている。また、幅広い調達先を活かしたインターネット販売も拡大しており、今後はグループのネット販売のノウハウを集約し、この分野での事業拡大を目指していく方針となっている。
○不動産関連事業
不動産関連事業は不動産賃貸事業と温浴事業、介護予防支援事業が含まれる。2016年3月期の売上構成比で見ると、「極楽湯」(3店舗)を運営する温浴事業が73%、不動産賃貸事業が25%、介護予防支援事業が2%となっている。不動産賃貸事業に関しては本社ビルと東京・秋葉原にある自社ビルなどの賃貸を行っている。介護予防支援事業については、「極楽湯」(尼崎店)の同社敷地内の有効活用と温浴事業の付加サービスを目的としたもので、2014年11月よりサービスを開始している。
(2)経営理念・ビジョン
同社の経営理念は「生活文化創造企業」、また、経営ビジョンとしては、「未来の『あたりまえ』を発見する」ことを目指していくことを掲げている。『あたりまえ』とは一過性のブームに終わらない、お客様に長く愛される製品・サービスを意味している。顧客目線を常に意識し、創意工夫を持って、『あたりまえ』となるような製品・サービスを創出し続けることで、成長を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>