EMシステムズ< Research Memo(8):介護事業者向けシステム事業、医療・介護情報連携の推進を進める
[16/12/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中期経営戦略
(1)中期経営計画の概要
EMシステムズ<4820>は2016年3月期決算の発表と同時に中期経営計画(2016年4月−2019年3月)を策定・発表した。今回、現在の中期経営計画の最終年度(2017年3月期)の終了を待たずに新しい中期経営計画を1年前倒しで策定したのは、2018年4月に予定されている介護報酬・診療報酬の同時改定で同社の主力ユーザーである調剤薬局の経営状態が一段と厳しくなり、それにつれてそのシステムを取り扱うシステム事業者も厳しい状況に置かれることになると予想。同社はこれをビジネスチャンスと捉え、市場シェアのアップとストックビジネスによる収益基盤の更なる盤石化を狙ったことによる。
その基本戦略として、事業領域を調剤・医科・介護の3領域とし、それぞれの領域でソリューションの強化と販路の拡大、事業間の相乗効果によるユーザー数の増加と、調剤・医科・介護情報連携を実現することを挙げている。同社では今年4月から組織の権限と責任を明確化する組織変更(従来の5本部制を再編し、調剤システム事業部、医科システム事業部、医療介護連携事業部及び営業・サービス事業部の4事業部を新設)を行い、それぞれが戦略を実行することにより、調剤システムのマーケットシェア40%、医科システムのマーケットシェア10%、介護事業者向けシステムのマーケットシェア5%を確保し、2019年3月期に売上高14,670百万円、営業利益2,280百万円を達成することを目標としている。
(2)事業部別の施策
a)調剤システム事業
調剤システム事業では、1)調剤薬局チェーン店へのアプローチ強化による他社リプレース、及び新規開局案件の獲得を図る、2)ユーザー訪問の強化によるCSの向上、3)EHR※のメリットを最大限に生かし、医科ユーザーの門前薬局へのアプローチを推進、4)事業規模拡大に資するM&Aの積極的な検討、5)次世代製品の開発、を重点施策として挙げている。これらを推進することで、2019年3月期の売上高9,025百万円、営業利益2,060百万円の達成を目指す計画だ。
※EHR:Electronic Health Recordの略。電子健康記録。異なる医療機関・健康関連組織で別々に管理されている個々人の健康・医療情報を地域/国レベルで集約・統合して共同利用する仕組みのこと。医療構造改革を達成する手段として期待されている。
b)医科システム事業
医科システムについては、1)同社と(株)ユニコンの営業体制を一元化することによるシナジー効果を追求する、2)新規販売チャネルの拡充、3) EHRのメリットを最大限に生かし、調剤薬局ユーザーの処方元医院・クリニックへのアプローチを推進、4)事業規模拡大に資するM&Aの積極的な検討、などを行うことで、2019年3月期に売上高1,560百万円、営業利益100百万円の達成を目指している。
c)その他事業
その他事業については、調剤・医科以外の事業をその他事業とし、1)新製品リリースにより介護事業者向けシステム事業への本格参入と立ち上げを図る、2)調剤・医科・介護情報連携システムの構築、3)大阪本社ビルにおけるヘルスケア産業事業の更なる展開、などにより、2019年3月期に売上高1,370百万円、営業利益200百万円の達成を目指す。
弊社では、2017年1月にリリースが予定されている診療所・薬局・介護サービス事業者向け「医療介護連携ソリューション」により同社は医療と介護の情報連携サービスを提供できるオンリーワン企業になることを評価。同時に、調剤薬局向けシステムの基本料金の値下げを開始する予定となっており、調剤システム市場における同社の優位性は一段と強固になると予想する。「医療介護連携ソリューション」の開発面で若干の遅れはあるものの、概ね中期経営計画に沿った戦略が着実に展開されており、介護システム事業本格参入のシナジーにより調剤・医科・介護システムそれぞれの事業における同社のシェアアップが進むと見ている。このため、「医療介護連携ソリューション」リリース後の調剤・医科・介護システムのそれぞれの受注動向を注目している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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