アンジェス Research Memo(1):2017年内に重症虚血肢向けHGF遺伝子治療薬の承認申請を行う可能性あり
[17/06/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
アンジェスMG<4563>は、1999年に設立された大阪大学発の創薬ベンチャー。遺伝子医薬に特化した開発を進めている。新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況等によって得られるマイルストーン収益、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルとなる。2017年7月より社名をアンジェス株式会社に変更する。
1. 2017年12月期第1四半期業績は研究開発費の減少により営業損失額が縮小
2017年4月24日付で発表された2017年12月期第1四半期の事業収益は前年同期比0.1%増の83百万円、営業損失は1,035百万円(前年同期は1,183百万円の損失)となった。研究開発費が前年同期比で115百万円減少したことが損失額の縮小要因となった。ただ、特別損失として投資有価証券評価損476百万円を計上したことで、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,511百万円と前年同期比で281百万円拡大した。
2. 2017年12月期は国内で1つの製造販売承認申請を、海外で2つの臨床試験開始を目指す
主要パイプラインの今期の開発スケジュールとして、国内では重症虚血肢向けHGF遺伝子治療薬について2017年中に「条件及び期限付承認制度」を活用した承認申請を行うことを目指している。2017年5月10日付で目標としていた6例目となる被験者への投与が開始されたと発表しており、順調にいけば秋頃には承認申請する可能性が出てきた。米国では、2017年4月にFDAより椎間板性腰痛症を対象としたNF-κB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)デコイオリゴDNAの第1b相臨床試験開始について承認が下り、準備が整い次第、臨床試験に入る予定となっている。また、重症虚血肢向けHGF遺伝子治療薬については、第3相臨床試験開始に向けた試験計画の策定を進めている段階にある。さらには、高血圧DNAワクチンの第1相臨床試験を、オーストラリアで2017年半ばにも開始する方向で現在、準備を進めている。新規プロジェクトとしては、2017年4月に米Vical Incorporated(米NASDAQ上場、以下、Vical)と慢性B型肝炎の治癒を目指した遺伝子治療薬の共同開発で合意し、契約締結したことを発表した。今後1年程度をかけて動物実験でその効果を確認していく予定となっており、その動向が注目される。同社は日本での開発・販売に関する優先交渉権を獲得している。
3. 当面は開発ステージのため、株式市場から資金調達するフェーズが続く可能性
2017年12月期の業績は、ライセンス契約一時金やマイルストーン収益などの計上予定がなく、営業損失で3,400百万円(前期は4,763百万円の損失)が見込まれる。前期よりは損失額が縮小するものの依然、費用が先行する状況に変わりない。2017年12月期第1四半期の現預金は890百万円の水準となっているため、今後は2017年1月に発行した第3者割当による新株予約権の行使によって事業活動資金を調達していくことになる。2018年以降は既存パイプラインのライセンス契約やマイルストーン収益の獲得などで、財務状況も改善に向かう可能性はあるものの、引き続き損失が続く状況に変わりはなく、株式市場から資金調達を行う可能性がある点には留意しておく必要がある。
■Key Points
・大阪大学発のバイオベンチャーで、遺伝子医薬に特化した開発を進める
・HGF遺伝子治療薬の医師主導型臨床研究で目標としていた6例目の投与が開始される
・研究開発費の減少により2017年12月期の損失額は縮小見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<TN>
アンジェスMG<4563>は、1999年に設立された大阪大学発の創薬ベンチャー。遺伝子医薬に特化した開発を進めている。新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況等によって得られるマイルストーン収益、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルとなる。2017年7月より社名をアンジェス株式会社に変更する。
1. 2017年12月期第1四半期業績は研究開発費の減少により営業損失額が縮小
2017年4月24日付で発表された2017年12月期第1四半期の事業収益は前年同期比0.1%増の83百万円、営業損失は1,035百万円(前年同期は1,183百万円の損失)となった。研究開発費が前年同期比で115百万円減少したことが損失額の縮小要因となった。ただ、特別損失として投資有価証券評価損476百万円を計上したことで、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,511百万円と前年同期比で281百万円拡大した。
2. 2017年12月期は国内で1つの製造販売承認申請を、海外で2つの臨床試験開始を目指す
主要パイプラインの今期の開発スケジュールとして、国内では重症虚血肢向けHGF遺伝子治療薬について2017年中に「条件及び期限付承認制度」を活用した承認申請を行うことを目指している。2017年5月10日付で目標としていた6例目となる被験者への投与が開始されたと発表しており、順調にいけば秋頃には承認申請する可能性が出てきた。米国では、2017年4月にFDAより椎間板性腰痛症を対象としたNF-κB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)デコイオリゴDNAの第1b相臨床試験開始について承認が下り、準備が整い次第、臨床試験に入る予定となっている。また、重症虚血肢向けHGF遺伝子治療薬については、第3相臨床試験開始に向けた試験計画の策定を進めている段階にある。さらには、高血圧DNAワクチンの第1相臨床試験を、オーストラリアで2017年半ばにも開始する方向で現在、準備を進めている。新規プロジェクトとしては、2017年4月に米Vical Incorporated
3. 当面は開発ステージのため、株式市場から資金調達するフェーズが続く可能性
2017年12月期の業績は、ライセンス契約一時金やマイルストーン収益などの計上予定がなく、営業損失で3,400百万円(前期は4,763百万円の損失)が見込まれる。前期よりは損失額が縮小するものの依然、費用が先行する状況に変わりない。2017年12月期第1四半期の現預金は890百万円の水準となっているため、今後は2017年1月に発行した第3者割当による新株予約権の行使によって事業活動資金を調達していくことになる。2018年以降は既存パイプラインのライセンス契約やマイルストーン収益の獲得などで、財務状況も改善に向かう可能性はあるものの、引き続き損失が続く状況に変わりはなく、株式市場から資金調達を行う可能性がある点には留意しておく必要がある。
■Key Points
・大阪大学発のバイオベンチャーで、遺伝子医薬に特化した開発を進める
・HGF遺伝子治療薬の医師主導型臨床研究で目標としていた6例目の投与が開始される
・研究開発費の減少により2017年12月期の損失額は縮小見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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