アジア投資 Research Memo(9):収益拡大期に転換したことを契機として新体制(社長交代)に移行
[17/06/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の方向性
日本アジア投資<8518>は、再建期を抜け、収益拡大期に転換したことを契機として、新体制に移行(社長交代)した。但し、目指す方向性に大きな変更はない。今後の収益ドライバーとして、1)プライベートエクイティ事業の拡大(投資領域の拡大を含む)、2)再生可能エネルギー事業の拡大、3)第3の収益の柱となる新規投資事業の立ち上げに注力し、引き続き、安定的な収益構造と健全な財務バランスの確立を目指していく。また、ガバナンス強化(執行と監督の分離)を目的として、社外取締役を1名増員し、取締役会議長に選任している。
(1)プライベートエクイティ事業の拡大
基幹事業であるプライベートエクイティ事業は、2020年3月期までに投資残高を1.5倍に拡大するとともに、ファンド設立により投資資金を確保することで、財務リスクの抑制(同社の出資持分の残高は現在の50%まで圧縮)を図る。また、事業規模拡大に当たっては、アジアとの交流や連携を通じた成長機会も獲得するほか、ベンチャー投資で培ったバリューアッドのスキルやIPO後の投資先との信頼関係を活かして、スモールキャップグロースや事業承継型バイアウトなど、投資領域の拡大にも取り組む。
(2)再生可能エネルギー投資事業の拡大
軌道に乗ってきた再生可能エネルギー事業(メガソーラープロジェクト)については、継続的な事業拡大が見込まれることから、安定収益源及び流動性の高い資産として、売却と新規投資を並行して行いながら、一定の投資規模を維持していく方針である。すなわち、一部のプロジェクトは長期保有する一方で、一部のプロジェクトは早期に利益や投資資金を回収し、その回収資金で新規投資することで、資金効率及び収益性を追求するとともに、期間収益の安定化を図る方針である。また、低下する固定買取価格(FIT価格)への対応策については、低コストの開発方法の研究※のほか、太陽光よりもFIT価格の高い風力、バイオマスへの試験的投資も行っている。
※例えば、香川県さぬき市野間池ソーラー発電所は、ため池の上にパネルを浮かべる方法により、遮蔽物が少なく日照条件のよい場所に建設することができ、また、造成コストの削減や過熱による発電効率の低下を防ぐこともできるため、地上に建設する場合に比べ採算性が高い。
(3)新規投資事業の立ち上げ
第3の収益の柱となる新規投資事業の立ち上げにも注力する方針であり、市場拡大が予想されている介護施設への投資のほか、周辺事業のM&Aなど複数案を検討中である。特に、介護施設については、前述のとおり、前期に投資実行した1号案件(複合型高齢者施設「勝どき駅前複合ビル」)が5月に完工し、早朝の売却にむけて動いている。今後も個別事例を積み上げることで新規投資事業としての可能性を追求していく。
(4)財務方針
安定収益で販管費と支払金利をカバーする収益構造を目指す。安定収益とは、期間収益としての安定性のほか、資産としての流動性の高さも含む。すなわち、管理報酬に加えて、再生可能エネルギー投資事業及び新規投資事業による安定収益の拡大を図るとともに、プライベートエクイティ事業におけるキャピタルゲインの拡大によりアップサイドの利益を狙う方針である。
また、財務バランスについても、不確実性の高いプライベートエクイティの同社持分は純資産の範囲に収める一方、借入金は流動性の高い再生可能エネルギー投資事業や新規投資事業の資産で運用する方針である。また、デット・エクイティレシオ1倍に向けて借入金削減と利益による資本増強を進める。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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日本アジア投資<8518>は、再建期を抜け、収益拡大期に転換したことを契機として、新体制に移行(社長交代)した。但し、目指す方向性に大きな変更はない。今後の収益ドライバーとして、1)プライベートエクイティ事業の拡大(投資領域の拡大を含む)、2)再生可能エネルギー事業の拡大、3)第3の収益の柱となる新規投資事業の立ち上げに注力し、引き続き、安定的な収益構造と健全な財務バランスの確立を目指していく。また、ガバナンス強化(執行と監督の分離)を目的として、社外取締役を1名増員し、取締役会議長に選任している。
(1)プライベートエクイティ事業の拡大
基幹事業であるプライベートエクイティ事業は、2020年3月期までに投資残高を1.5倍に拡大するとともに、ファンド設立により投資資金を確保することで、財務リスクの抑制(同社の出資持分の残高は現在の50%まで圧縮)を図る。また、事業規模拡大に当たっては、アジアとの交流や連携を通じた成長機会も獲得するほか、ベンチャー投資で培ったバリューアッドのスキルやIPO後の投資先との信頼関係を活かして、スモールキャップグロースや事業承継型バイアウトなど、投資領域の拡大にも取り組む。
(2)再生可能エネルギー投資事業の拡大
軌道に乗ってきた再生可能エネルギー事業(メガソーラープロジェクト)については、継続的な事業拡大が見込まれることから、安定収益源及び流動性の高い資産として、売却と新規投資を並行して行いながら、一定の投資規模を維持していく方針である。すなわち、一部のプロジェクトは長期保有する一方で、一部のプロジェクトは早期に利益や投資資金を回収し、その回収資金で新規投資することで、資金効率及び収益性を追求するとともに、期間収益の安定化を図る方針である。また、低下する固定買取価格(FIT価格)への対応策については、低コストの開発方法の研究※のほか、太陽光よりもFIT価格の高い風力、バイオマスへの試験的投資も行っている。
※例えば、香川県さぬき市野間池ソーラー発電所は、ため池の上にパネルを浮かべる方法により、遮蔽物が少なく日照条件のよい場所に建設することができ、また、造成コストの削減や過熱による発電効率の低下を防ぐこともできるため、地上に建設する場合に比べ採算性が高い。
(3)新規投資事業の立ち上げ
第3の収益の柱となる新規投資事業の立ち上げにも注力する方針であり、市場拡大が予想されている介護施設への投資のほか、周辺事業のM&Aなど複数案を検討中である。特に、介護施設については、前述のとおり、前期に投資実行した1号案件(複合型高齢者施設「勝どき駅前複合ビル」)が5月に完工し、早朝の売却にむけて動いている。今後も個別事例を積み上げることで新規投資事業としての可能性を追求していく。
(4)財務方針
安定収益で販管費と支払金利をカバーする収益構造を目指す。安定収益とは、期間収益としての安定性のほか、資産としての流動性の高さも含む。すなわち、管理報酬に加えて、再生可能エネルギー投資事業及び新規投資事業による安定収益の拡大を図るとともに、プライベートエクイティ事業におけるキャピタルゲインの拡大によりアップサイドの利益を狙う方針である。
また、財務バランスについても、不確実性の高いプライベートエクイティの同社持分は純資産の範囲に収める一方、借入金は流動性の高い再生可能エネルギー投資事業や新規投資事業の資産で運用する方針である。また、デット・エクイティレシオ1倍に向けて借入金削減と利益による資本増強を進める。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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