Eストアー Research Memo(6):ストック収入は下落トレンドから底打ちして上昇トレンドへ転換が視野に
[17/09/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
2. ストック収入の成長戦略
ストック収入は前述のようにEストアー<4304>が提供するEC支援のASPサービスであるショップサーブの月次利用料収入だ。ストック収入について同社はここ数年、構造改革に取り組んできた。
最初のステップは、ショップサーブの契約顧客の中で、低収益となっているOEM契約の解消だ。これは同社の草創期において外部の企業と業務提携を結び、それらを通じて獲得した顧客契約のことだ。同社と顧客の間に提携先企業を挟むため、同社にとっては収入と費用のバランスが取れていなかった。同社はこれらOEM契約の積極的解消に努め、2014年3月期中にすべて解消した。
第2のステップは現在取り組んでいるもので、顧客単価の引き上げだ。言わば、プラス方向への改革と言うことができる。具体的には、“良品良店へのシフト”をスローガンに掲げ、新規顧客獲得において、競争力のある商品を扱う店舗や、収益成長性の高い店舗、あるいは、売上規模が大きく、高い月額利用単価が見込める中堅企業などに重点を置くことを徹底している。
こうした構造改革の取り組みの結果、契約店舗数は減少基調をたどっている。全契約数は、2013年3月期末の時点で28,865件だった(ピークは2010年3月期末の48,333件)が、過去4年間で41.0%減少し、2017年3月末には17,018件となった。過去4年間、あるいはピークからの減少幅が大きすぎる印象を抱くかもしれないが、これは収益にはむしろプラスだ。前述のOEM契約の占める割合が大きいためだ。
一方、同社の収益においてより重要なのは直販のショップサーブの契約だ。こちらも前述の“良品良店へのシフト”の一環で減少基調をたどっている。契約顧客数の一定割合は解約していくが、解約数に対して(厳選された)新規顧客数が少ないためだ。ただ、ショップサーブの減少ペースは全契約ベースと比べれば緩やかだ。ショップサーブ契約数のピークは2014年3月期第2四半期末の14,489件だ。2017年3月末の契約件数は11,590件で、この間20.0%減少した。同社は、注力事業のショップサーブの契約件数について、構造改革の過程で契約件数1万店割れも想定しているが、足元の動きからはそこまで落ち込むことなく契約数がボトムアウトする可能性があるとしている。
ストック収入における構造改革のポイントは、契約顧客の質の改善であり、ストック収入を減らすことではない。顧客の質的構成が同社の想定どおりになり、かつ、ストック収入が成長軌道に戻って初めて改革が目的を果たしということができるだろう。2017年3月期の実績を見ると、契約件数はショップサーブが1年前から8.0%減少し、全契約数も同じく8.9%減少となったが、ストック収入は1,967百万円で前期比3.9%の減少にとどまった。これは同社が目指す良品良店シフトが順調に進捗し、同社の目指す構造改革が順調に進捗している1つの証左と弊社では評価している。
最大の関心事は、ストック収入がいつから増収に転じるかだ。前述の様に、契約件数の減少幅に比べてストック収入の落ち込み幅の方が小さい状態が続いている。新規契約企業の収益規模は既存客に比較して明確に大きい。ストック収入は月間のシステム利用料であるため、企業規模に比例して大きくことなるということはないが、オプション契約などで単価が高めという傾向にはある。2018年3月の契約件数の低下がさらに鈍化してくれば、2019年3月期にはストック収入がプラスに転じる可能性は十分にあると弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<TN>
2. ストック収入の成長戦略
ストック収入は前述のようにEストアー<4304>が提供するEC支援のASPサービスであるショップサーブの月次利用料収入だ。ストック収入について同社はここ数年、構造改革に取り組んできた。
最初のステップは、ショップサーブの契約顧客の中で、低収益となっているOEM契約の解消だ。これは同社の草創期において外部の企業と業務提携を結び、それらを通じて獲得した顧客契約のことだ。同社と顧客の間に提携先企業を挟むため、同社にとっては収入と費用のバランスが取れていなかった。同社はこれらOEM契約の積極的解消に努め、2014年3月期中にすべて解消した。
第2のステップは現在取り組んでいるもので、顧客単価の引き上げだ。言わば、プラス方向への改革と言うことができる。具体的には、“良品良店へのシフト”をスローガンに掲げ、新規顧客獲得において、競争力のある商品を扱う店舗や、収益成長性の高い店舗、あるいは、売上規模が大きく、高い月額利用単価が見込める中堅企業などに重点を置くことを徹底している。
こうした構造改革の取り組みの結果、契約店舗数は減少基調をたどっている。全契約数は、2013年3月期末の時点で28,865件だった(ピークは2010年3月期末の48,333件)が、過去4年間で41.0%減少し、2017年3月末には17,018件となった。過去4年間、あるいはピークからの減少幅が大きすぎる印象を抱くかもしれないが、これは収益にはむしろプラスだ。前述のOEM契約の占める割合が大きいためだ。
一方、同社の収益においてより重要なのは直販のショップサーブの契約だ。こちらも前述の“良品良店へのシフト”の一環で減少基調をたどっている。契約顧客数の一定割合は解約していくが、解約数に対して(厳選された)新規顧客数が少ないためだ。ただ、ショップサーブの減少ペースは全契約ベースと比べれば緩やかだ。ショップサーブ契約数のピークは2014年3月期第2四半期末の14,489件だ。2017年3月末の契約件数は11,590件で、この間20.0%減少した。同社は、注力事業のショップサーブの契約件数について、構造改革の過程で契約件数1万店割れも想定しているが、足元の動きからはそこまで落ち込むことなく契約数がボトムアウトする可能性があるとしている。
ストック収入における構造改革のポイントは、契約顧客の質の改善であり、ストック収入を減らすことではない。顧客の質的構成が同社の想定どおりになり、かつ、ストック収入が成長軌道に戻って初めて改革が目的を果たしということができるだろう。2017年3月期の実績を見ると、契約件数はショップサーブが1年前から8.0%減少し、全契約数も同じく8.9%減少となったが、ストック収入は1,967百万円で前期比3.9%の減少にとどまった。これは同社が目指す良品良店シフトが順調に進捗し、同社の目指す構造改革が順調に進捗している1つの証左と弊社では評価している。
最大の関心事は、ストック収入がいつから増収に転じるかだ。前述の様に、契約件数の減少幅に比べてストック収入の落ち込み幅の方が小さい状態が続いている。新規契約企業の収益規模は既存客に比較して明確に大きい。ストック収入は月間のシステム利用料であるため、企業規模に比例して大きくことなるということはないが、オプション契約などで単価が高めという傾向にはある。2018年3月の契約件数の低下がさらに鈍化してくれば、2019年3月期にはストック収入がプラスに転じる可能性は十分にあると弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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