Pウォーター Research Memo(1):19/3期は売上320億円、黒字転換予想。以降、黒字漸増ステージへ
[18/06/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して生まれた企業グループである。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切った。強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長し、顧客保有数を661千人(2018年4月末時点)まで増やし、宅配水業界で売上高トップを走る。
1. ビジネスの特長
同社の強みは、「製販一体型経営」、「高い水質基準」、「圧倒的な顧客獲得力」の3点である。「高い水質基準」に関しては、山梨県の富士吉田・島根県の金城・熊本県の南阿蘇の3ヶ所の工場において、成分や安全性には厳しい基準を設定している。特に、硝酸および亜硝酸は毒性が指摘されているため、同社独自の高い基準を設けて管理する。2018年モンドセレクション金賞及び優秀味覚賞を受賞(6年連続)。富士吉田工場が食品安全に関するマネジメントシステムの国際規格であるFSSC22000の認証を取得している。
事業特性は「投資回収型ストックビジネスモデル」であり、ウォーターサーバーの原価やデモンストレーション販売の費用(1顧客当たり数万円)を会社側が最初に負担し、天然水の売上で徐々に回収していく。定期配送契約を結ぶため、ストック利益(毎月の水代などから得られる収入から顧客維持コストや提供サービスの原価などを除いた利益分のこと)は安定して継続する。新規顧客を一気に増やす時期は赤字になるが、その後回収が進んでくると大きく黒字に転換するという事業特性である。
2. 業績動向
2018年3月期通期の売上高は27,716百万円(前期比38.9%増)、営業損失1,179百万円(前期は569百万円の損失)、経常損失1,559百万円(前期は704百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失1,493百万円(前期は1,217百万円の損失)となり、大幅な増収とともに損失計上となった。売上高に関しては、新規顧客獲得が前期より大幅に上がり、それに伴い保有顧客数が順調に積み上がった2018年3月末の保有顧客数は650,676件(前年同月末は472,830件)となり、中期経営計画の目標数値650,000件を達成した。損失計上に関しては、2018年3月期をより大きな成長のために新規顧客を獲得し先行投資をする時期と位置付けてきたため、想定通りと言える。宅配水ボトルの内製化をはじめとする製造体制の強化により一定のコスト削減効果はでているものの、ハイペースで顧客数を伸ばしたことに伴う販売促進費等の増加、人件費の増加、主要運送会社の運賃値上げなどが利益を押し下げた要因である。四半期毎の推移では、2018年3月期第1四半期から第4四半期にかけて損失額は確実に減少しており、黒字化が近いことが確認できる。
3. 業績見通し
2019年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比15.5%増の32,000百万円、営業利益は10百万円(前期は1,179百万円の損失)、経常利益で10百万円(前期は1,559百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は10百万円(前期は1,493百万円の損失)と、待望の黒字化を達成する見込みだ。売上高の成長率が15.5%予想(前期実績は38.9%)とやや低下するが、これは新規顧客獲得数の成長を300千件(前期実績は292千件※)と戦略的にペースダウンさせることと関係する。同社の事業特性から、新規顧客の獲得ペースを下げると獲得コストがかからないため収益は向上する。利益面では、黒字転換にチャレンジする年となる。ストック型のビジネスモデルが確立されており、大きく予想がはずれることは考えにくい。外部環境での懸念点は、物流費の更なる値上がりである。
※月次概況発表値の合算
4. 成長戦略、トピック
同社は、2019年3月期に始まり、2023年3月期を最終年度とする5ケ年の中期経営計画を発表した。2023年3月期の売上高は54,000百万円であり、5年間の年平均成長率は14.3%と安定成長を予想する。2023年3月期の営業利益は3,000百万円、売上高営業利益率は5.6%まで上がっていく予想だ。同社のビジネスモデルである「投資回収型ストックビジネスモデル」において、2019年3月期からは黒字転換し、それ以降は黒字が漸増するステージに入る。2017年5月に発表された中期経営計画からの変更点としては、売上高及び利益の達成が約1年遅れることとなった。これは昨今の物流費の値上げがどこまでいくのかが見通せないためである。
■Key Points
・宅配水業界トップ。天然水の製販一体経営に強み
・「投資回収型ストックビジネスモデル」が特徴
・2018年3月期は中期経営計画目標の保有件数65万件を達成、大幅増収。想定通り損失計上。
・2019年3月期通期は売上320億円、黒字転換予想
・黒字漸増ステージに入る。5年後(2023年3月期)に保有契約件数147万件、営業利益30億円目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
<TN>
プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して生まれた企業グループである。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切った。強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長し、顧客保有数を661千人(2018年4月末時点)まで増やし、宅配水業界で売上高トップを走る。
1. ビジネスの特長
同社の強みは、「製販一体型経営」、「高い水質基準」、「圧倒的な顧客獲得力」の3点である。「高い水質基準」に関しては、山梨県の富士吉田・島根県の金城・熊本県の南阿蘇の3ヶ所の工場において、成分や安全性には厳しい基準を設定している。特に、硝酸および亜硝酸は毒性が指摘されているため、同社独自の高い基準を設けて管理する。2018年モンドセレクション金賞及び優秀味覚賞を受賞(6年連続)。富士吉田工場が食品安全に関するマネジメントシステムの国際規格であるFSSC22000の認証を取得している。
事業特性は「投資回収型ストックビジネスモデル」であり、ウォーターサーバーの原価やデモンストレーション販売の費用(1顧客当たり数万円)を会社側が最初に負担し、天然水の売上で徐々に回収していく。定期配送契約を結ぶため、ストック利益(毎月の水代などから得られる収入から顧客維持コストや提供サービスの原価などを除いた利益分のこと)は安定して継続する。新規顧客を一気に増やす時期は赤字になるが、その後回収が進んでくると大きく黒字に転換するという事業特性である。
2. 業績動向
2018年3月期通期の売上高は27,716百万円(前期比38.9%増)、営業損失1,179百万円(前期は569百万円の損失)、経常損失1,559百万円(前期は704百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失1,493百万円(前期は1,217百万円の損失)となり、大幅な増収とともに損失計上となった。売上高に関しては、新規顧客獲得が前期より大幅に上がり、それに伴い保有顧客数が順調に積み上がった2018年3月末の保有顧客数は650,676件(前年同月末は472,830件)となり、中期経営計画の目標数値650,000件を達成した。損失計上に関しては、2018年3月期をより大きな成長のために新規顧客を獲得し先行投資をする時期と位置付けてきたため、想定通りと言える。宅配水ボトルの内製化をはじめとする製造体制の強化により一定のコスト削減効果はでているものの、ハイペースで顧客数を伸ばしたことに伴う販売促進費等の増加、人件費の増加、主要運送会社の運賃値上げなどが利益を押し下げた要因である。四半期毎の推移では、2018年3月期第1四半期から第4四半期にかけて損失額は確実に減少しており、黒字化が近いことが確認できる。
3. 業績見通し
2019年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比15.5%増の32,000百万円、営業利益は10百万円(前期は1,179百万円の損失)、経常利益で10百万円(前期は1,559百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は10百万円(前期は1,493百万円の損失)と、待望の黒字化を達成する見込みだ。売上高の成長率が15.5%予想(前期実績は38.9%)とやや低下するが、これは新規顧客獲得数の成長を300千件(前期実績は292千件※)と戦略的にペースダウンさせることと関係する。同社の事業特性から、新規顧客の獲得ペースを下げると獲得コストがかからないため収益は向上する。利益面では、黒字転換にチャレンジする年となる。ストック型のビジネスモデルが確立されており、大きく予想がはずれることは考えにくい。外部環境での懸念点は、物流費の更なる値上がりである。
※月次概況発表値の合算
4. 成長戦略、トピック
同社は、2019年3月期に始まり、2023年3月期を最終年度とする5ケ年の中期経営計画を発表した。2023年3月期の売上高は54,000百万円であり、5年間の年平均成長率は14.3%と安定成長を予想する。2023年3月期の営業利益は3,000百万円、売上高営業利益率は5.6%まで上がっていく予想だ。同社のビジネスモデルである「投資回収型ストックビジネスモデル」において、2019年3月期からは黒字転換し、それ以降は黒字が漸増するステージに入る。2017年5月に発表された中期経営計画からの変更点としては、売上高及び利益の達成が約1年遅れることとなった。これは昨今の物流費の値上げがどこまでいくのかが見通せないためである。
■Key Points
・宅配水業界トップ。天然水の製販一体経営に強み
・「投資回収型ストックビジネスモデル」が特徴
・2018年3月期は中期経営計画目標の保有件数65万件を達成、大幅増収。想定通り損失計上。
・2019年3月期通期は売上320億円、黒字転換予想
・黒字漸増ステージに入る。5年後(2023年3月期)に保有契約件数147万件、営業利益30億円目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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