GTS Research Memo(1):複数のバイオシミラー開発品上市が視野に入り、更なる事業拡大に向けた取り組み開始
[18/08/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ジーンテクノサイエンス<4584>は、北海道大学発の創薬ベンチャー。バイオ医薬に特化し、バイオ後続品(以下、バイオシミラー)ではフィルグラスチムで日本のバイオシミラー・ガイドラインの下で国内初の上市実績を持つ。2016年にノーリツ鋼機(株)<7744>のグループ会社となり、バイオシミラー、バイオ新薬に続く新規バイオ事業として再生医療分野にも進出している。バイオで価値を創造するエンジニアリングカンパニーを標榜している。
1. 2018年3月期業績概要
2018年3月期の業績は、売上高が前期比2.7%減の1,059百万円、営業損失が913百万円(前期は1,184百万円の損失)となった。売上高はフィルグラスチムBS(バイオシミラー)が前期比3.6%増の852百万円とほぼ計画どおりに推移したほか、知的財産権等収益が同41.1%増の121百万円と増加した。費用面では、研究開発費が前期比22.7%減の1,107百万円と減少し、営業損失の縮小要因となった。開発パイプラインの進捗については、眼科治療領域のバイオシミラー(加齢黄斑変性治療薬)の第3相臨床試験を、2017年11月より共同開発先である千寿製薬(株)が開始している。また、新規バイオ事業として札幌医科大学が研究を進めている自己骨髄間葉系幹細胞を用いた糖尿病性腎症の治療法に関して、(株)ミネルヴァメディカを設立(2017年5月)し、同社を通じて共同研究を開始した。
2. 開発パイプラインの動向
バイオシミラー事業における主要開発パイプラインの動向について見ると、ダルベポエチンアルファBS(腎性貧血治療薬)は、共同開発先である(株)三和化学研究所で進めている第3相臨床試験が2018年中に終了する見込みで、2019年3月期中に製造販売承認申請を行い、2020年前半の国内上市を目指している。また、眼科治療領域のバイオシミラーは第3相臨床試験を2020年頃に終え、2021年頃の上市を目指すほか、海外での契約締結も2019年3月期中にまとめたい考えだ。また、ペグフィルグラスチムBSも、2020年代の製造販売承認を目指す。
3. 今後の事業戦略
バイオシミラー事業において2020年以降、複数のパイプラインの上市が視野に入ってきたことから、更なる成長に向けてバイオ新薬事業や再生医療分野等を中心とした新規バイオ事業の育成に取り組んでいく方針を明らかにした。また、ターゲット領域としては従来の難病・希少疾患領域に加えて、小児疾患領域にも対象を広げていく方針だ。バイオ新薬に関しては眼科疾患、がん領域をターゲットとしたGND-004の導出活動を行っているほか、複数の開発候補品でアカデミアとの共同研究を進めている。また、再生医療分野では共同研究先である(株)日本再生医療で心臓内幹細胞を用いた小児先天性心疾患に対する細胞治療の臨床試験を実施しており、国内で2020年代の早い時期での上市を目指しているほか、欧米市場への展開も進めていく計画となっている。
4. 業績見通し
2019年3月期の売上高は前期比横ばいの1,060百万円、営業損失は1,180百万円となる見通し。フィルグラスチムBSは前期並みの売上高を見込んでおり、研究開発費の増加が営業損失の拡大要因となる。当面は研究開発費が先行するため営業損失が続く見通しだが、眼科治療領域のバイオシミラーの上市が見込まれる2021年頃より売上高も拡大期に入り、黒字転換が視野に入ってくるものと見られる。
■Key Points
・北海道大学発のバイオベンチャーで、日本のバイオシミラー開発で先駆
・バイオシミラー、バイオ新薬事業に続く第3の事業として新規バイオ事業(再生医療分野)への取り組みをスタート
・複数のバイオシミラーの上市が見込まれる2020年代に営業利益の黒字化が見込まれる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ジーンテクノサイエンス<4584>は、北海道大学発の創薬ベンチャー。バイオ医薬に特化し、バイオ後続品(以下、バイオシミラー)ではフィルグラスチムで日本のバイオシミラー・ガイドラインの下で国内初の上市実績を持つ。2016年にノーリツ鋼機(株)<7744>のグループ会社となり、バイオシミラー、バイオ新薬に続く新規バイオ事業として再生医療分野にも進出している。バイオで価値を創造するエンジニアリングカンパニーを標榜している。
1. 2018年3月期業績概要
2018年3月期の業績は、売上高が前期比2.7%減の1,059百万円、営業損失が913百万円(前期は1,184百万円の損失)となった。売上高はフィルグラスチムBS(バイオシミラー)が前期比3.6%増の852百万円とほぼ計画どおりに推移したほか、知的財産権等収益が同41.1%増の121百万円と増加した。費用面では、研究開発費が前期比22.7%減の1,107百万円と減少し、営業損失の縮小要因となった。開発パイプラインの進捗については、眼科治療領域のバイオシミラー(加齢黄斑変性治療薬)の第3相臨床試験を、2017年11月より共同開発先である千寿製薬(株)が開始している。また、新規バイオ事業として札幌医科大学が研究を進めている自己骨髄間葉系幹細胞を用いた糖尿病性腎症の治療法に関して、(株)ミネルヴァメディカを設立(2017年5月)し、同社を通じて共同研究を開始した。
2. 開発パイプラインの動向
バイオシミラー事業における主要開発パイプラインの動向について見ると、ダルベポエチンアルファBS(腎性貧血治療薬)は、共同開発先である(株)三和化学研究所で進めている第3相臨床試験が2018年中に終了する見込みで、2019年3月期中に製造販売承認申請を行い、2020年前半の国内上市を目指している。また、眼科治療領域のバイオシミラーは第3相臨床試験を2020年頃に終え、2021年頃の上市を目指すほか、海外での契約締結も2019年3月期中にまとめたい考えだ。また、ペグフィルグラスチムBSも、2020年代の製造販売承認を目指す。
3. 今後の事業戦略
バイオシミラー事業において2020年以降、複数のパイプラインの上市が視野に入ってきたことから、更なる成長に向けてバイオ新薬事業や再生医療分野等を中心とした新規バイオ事業の育成に取り組んでいく方針を明らかにした。また、ターゲット領域としては従来の難病・希少疾患領域に加えて、小児疾患領域にも対象を広げていく方針だ。バイオ新薬に関しては眼科疾患、がん領域をターゲットとしたGND-004の導出活動を行っているほか、複数の開発候補品でアカデミアとの共同研究を進めている。また、再生医療分野では共同研究先である(株)日本再生医療で心臓内幹細胞を用いた小児先天性心疾患に対する細胞治療の臨床試験を実施しており、国内で2020年代の早い時期での上市を目指しているほか、欧米市場への展開も進めていく計画となっている。
4. 業績見通し
2019年3月期の売上高は前期比横ばいの1,060百万円、営業損失は1,180百万円となる見通し。フィルグラスチムBSは前期並みの売上高を見込んでおり、研究開発費の増加が営業損失の拡大要因となる。当面は研究開発費が先行するため営業損失が続く見通しだが、眼科治療領域のバイオシミラーの上市が見込まれる2021年頃より売上高も拡大期に入り、黒字転換が視野に入ってくるものと見られる。
■Key Points
・北海道大学発のバイオベンチャーで、日本のバイオシミラー開発で先駆
・バイオシミラー、バイオ新薬事業に続く第3の事業として新規バイオ事業(再生医療分野)への取り組みをスタート
・複数のバイオシミラーの上市が見込まれる2020年代に営業利益の黒字化が見込まれる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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