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サムティ Research Memo(6):2018年11月期上期の業績も順調に拡大。通期計画に対しても高い進捗率で推移

注目トピックス 日本株
■業績動向

2. 2018年11月期上期決算の概要
サムティ<3244>の2018年11月期上期の業績は、売上高が前年同期比22.9%増の46,317百万円、営業利益が同31.5%増の9,112百万円、経常利益が同29.3%増の7,908百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同31.3%増の5,655百万円と大幅な増収増益を実現した。通期計画に対する進捗率でも、売上高が70%超、各利益が80%超と高い水準に達している。

売上高は、物件の販売が好調であった「不動産事業」が大きく拡大した。特に、都内を中心に外資系ファンド等からの強い投資需要が続く開発流動化(自社開発ブランド「S-RESIDENCE」の販売)や再生流動化(既存の収益不動産等の再生・販売)の販売物件数が増加したことに加え、想定よりも高い価格で販売できたことが大幅な増収に寄与したようだ。また、安定収益源である「不動産賃貸事業」やホテル事業を中心とした「その他の事業」についても堅調に推移した。

利益面では、販売価格の上振れ等により売上原価率が大きく改善(前年同期比1.8ポイントの低下)した。一方、広告宣伝費(知名度向上を目的としたテレビCMやデジタルサイネージ等)や人件費(人員増のほか、好業績を背景としたベースアップや賞与水準の引き上げ等)の増加などにより販管費は拡大したものの、増収効果や売上原価率の改善により営業増益を実現。営業利益率も19.7%(前年同期は18.4%)に上昇した。

また、今後の成長につながる仕入れの状況についても開発用地11物件(想定売上高約140億円/取得価額約49億円)、収益不動産15物件(取得価額約115億円)を取得しており、今後の取得予定物件を含めて、おおむね計画どおりに進捗している。

財政状態は、保有物件の販売が順調に進んだことから「販売用不動産」(流動資産)及び「有形固定資産」(固定資産)が減少し、総資産は前期末比7.0%減の154,859百万円に縮小した。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同12.3%増の43,797百万円に拡大したことから、自己資本比率は28.3%(前期末は23.4%)に改善している。また、有利子負債も前期末比14.1%減の98,560百万円に縮小するとともに、そのうち長期負債の比率は81.1%を占めており、財務の安全性に懸念はない。

各事業の業績は以下のとおりである。

(1) 不動産事業
売上高は前年同期比25.1%増の41,869百万円、セグメント利益は同34.6%増の9,608百万円と順調に拡大した。そのうち、「開発流動化」が「S-RESIDENCE」11物件(前年同期は3物件)の売却により前年同期比231.5%増の16,250百万円と大きく伸長した。特に、外資系ファンドからの強い投資需要が続いており、販売価格の上振れも業績の伸びに寄与した。また、「再生流動化」も39物件※(前年同期は19物件)を売却したが、こちらは事業法人を中心とした販売等により利益面での貢献が大きかったようだ。そのうちSRRへの供給は24物件となっている。一方、「投資分譲」が減収となっているのは、開発物件について一棟での購入ニーズが強く販売効率や採算性が高い「開発流動化」物件として売却していることが影響しており、両方を合算して評価するのが妥当であろう。また、「アセットマネジメント」が伸びているのは、前述したSRRへの物件供給(取得手数料)やSRRの資産残高の伸び(運営及び管理手数料)によるものである。

※販売した39物件のうち、売上高に計上される「販売用不動産」(流動資産)からの売却は21物件、売却損益(特別損益)だけが計上される「有形固定資産」(固定資産)からの売却は18物件となっている。


利益面でも、販売価格の上振れのほか、外資系ファンドへの直接販売が増えたこと(販売効率の向上)によりセグメント利益率は22.9%(前年同期は21.3%)と改善し、大幅な増益を実現した。

(2) 不動産賃貸事業
売上高は前年同期比2.2%増の3,616百万円、セグメント利益は同7.0%増の1,046百万円と堅調に推移した。保有物件の売却が順調に進んだことにより賃料収入は僅かな伸びにとどまったものの、収益不動産の取得のほうも順調に進んだこと※や稼働率も高い水準を維持したこと、大型商業施設「ピエリ守山」の業績の伸び(テナント売上の連動した賃料の上昇)などにより増収増益を確保した。

※固定資産は18物件を売却した一方、15物件を取得したことから期末の保有物件数は82物件(賃貸マンション71、オフィスビル2、商業・物流施設等9)となっている。


(3) その他の事業
売上高は前年同期比3.0%増の946百万円、セグメント損失は42百万円(前年同期は155百万円の利益)と増収ながら減益となり、セグメント損失を計上した。売上高はホテル事業の伸びが増収に寄与。「センターホテル東京」は改修工事の実施に伴い稼働率が一旦低下したものの、前期に取得した「GOZAN HOTEL」(京都)が期初から寄与したことなどにより増収を確保した。また、2018年3月28日にオープンした「エスペリアホテル博多」(自社開発ホテル第1弾)も順調に立ち上がったようだ※。

※現状では85%以上(計画は75%)の稼働率を確保しているもよう。


一方、利益面では、「エスペリアホテル博多」の開業費用のほか、「センターホテル東京」の改修工事費用や進行中のホテル開発費用など、先行費用の拡大によりセグメント損失となった。

3. 開発計画(パイプライン)の状況
「S-RESIDENCE」シリーズの開発状況は、2017年竣工分が1棟(43戸)、2018年竣工分が5棟(435戸)となっているほか、現在仕入れを進めている2019年竣工分は10棟(893戸)、2020年竣工分は1棟(105戸)を既に確保しており、合計17棟(1,476戸)、販売予定価格では推定240億円が順調に積み上がっている。地域的には、首都圏5棟(東京2、神奈川1、千葉2)、関西5棟(大阪)のほか、愛知6棟(名古屋)、北海道1棟(札幌)となっている。

一方、投資分譲の開発案件の状況は、2017年竣工分が1 棟(96戸)、2018 年竣工分が3棟(188戸)、2019年竣工分が11棟(575戸)、2020年竣工分が6棟(298戸)と合計21棟(1,157戸)、販売予定価格では推定250億円が進行しており、前述した「S-RESIDNCE」と合わせると38棟(2,633戸)、販売予定価格は推定390億円が積み上がっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



<NB>

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