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ビジョン Research Memo(1):海外旅行者数拡大等を追い風に、2019年12月期も高成長が続く見通し

注目トピックス 日本株
■要約

ビジョン<9416>は、モバイルインターネット環境を提供するWi-Fiルーターのレンタルサービスを国内外で行うグローバルWiFi事業と、スタートアップ、ベンチャー企業向けを中心に各種通信サービスの加入取次ぎ、情報通信機器の販売、ホームページ制作等のサービスを行う情報通信サービス事業の2つの事業を主軸に展開する。

1. 2018年12月期の業績概要
2018年12月期の連結業績は、売上高で前期比22.5%増の21,503百万円、営業利益で同38.9%増の2,484百万円と2ケタ増収増益となり、過去最高業績を連続更新した。主力のグローバルWiFi事業の需要が個人、法人問わず旺盛で、売上高で同30.0%増の13,505百万円と高成長が続いたことに加え、利益面では、増収効果に加えてボリュームディスカウントによる通信原価の低減や、クラウドWi-Fiルーター※の比率向上(2017年12月51%→2018年12月88%)並びに空港でのスマートピックアップ(自動受渡しロッカー)増設などによるオペレーションコスト低減が増益要因となった。また、情報通信サービス事業もアップセル/クロスセル戦略により着実に成長しており、なかでも電力サービス「ハルエネでんき」の加入取次ぎが好調で利益増に貢献した。なお、2018年夏から首都圏でサービスを開始した「ProDrivers(プロドラ)」(ハイヤータイムシェアリングサービス事業)については、先行投資段階であるものの、不動産会社やテレビ局など当初想定していたターゲット以外からの引き合いが増えており、今後の展開が期待できる滑り出しとなっている。

※クラウド上でSIMを管理する次世代型の通信技術搭載Wi-Fiルーターで、2017年3月より投入を開始。SIMの物理的な交換作業が不要となるため、オペレーションコストが改善するほか、通信回線の使用効率も向上するなど収益性向上に寄与している。


2. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期は売上高で前期比13.8%増の24,470百万円、営業利益で同21.2%増の3,012百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。引き続きグローバルWiFi事業が売上高で同15.3%増、セグメント利益で同10.3%増とけん引役となる。利益率が若干低下する見込みとなっているが保守的な印象が強い。クラウドWi-Fiルーターの比率は9割程度とほぼ上限に達しているものの、前期は平均で7〜8割の水準であり引き続きオペレーションコストの抑制効果が期待でき、通信原価もボリュームディスカウントが見込めるためだ。売上高についても2019年はゴールデンウィークが10連休と大型連休となるため、海外渡航者数増加により計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。ストック型ビジネスモデルである情報通信サービス事業は増収増益が続くほか、「ProDrivers」についても下期からの収益貢献を見込んでいる。

3. 成長戦略
同社は中期的な成長戦略として、グローバルWiFi事業で業界圧倒的No.1(生産性、シェア、利益)を維持し更なる成長を目指していくほか、ストック型ビジネスである情報通信サービス事業はクロスセル/アップセル戦略による着実な成長に取り組んでいく。これら既存事業に加えて成長を加速していくため、顧客基盤を生かした旅行関連サービスプラットフォーム事業の育成を推進していく。海外渡航者の課題解決に役立つ情報・サービスの提供、訪日外国人をターゲットにした広告メディアサービスなどに取り組んでおり、なかでも「ProDrivers」の成長が期待される。グローバルWiFi事業の顧客だけでなく情報通信サービス事業の20万社を超える顧客企業が見込み顧客となるだけに潜在需要は大きい。現在はドライバーの採用と育成に注力しており、先行投資段階であるものの、想定していなかった顧客層からの引き合いも増えている。今後は事業会社でもカーシェアリングが普及していくことを考えれば同事業の成長ポテンシャルは大きいと見られ、今後の展開が注目される。

4. 株主還元策
株主還元については、事業の成長期にあるとの判断から財務体質の強化と事業拡大のための投資を優先し、更なる企業価値の向上を目指すことが株主に対する最大の利益還元につながると考えている。このため、配当に関しては当面無配を継続する可能性が高く、収益成長に伴う株価上昇や自社株買い等で株主に報いていく方針としている。

■Key Points
・法人顧客の開拓や「スマートピックアップ」の増設等、利便性向上施策の強化により更なる成長を目指す
・主力2事業の拡大に加えて新たな旅行関連サービスプラットフォームを育成することで、成長を加速していく方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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