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ビジョン Research Memo(4):グローバルWiFiサービスの業界シェアは約5割とトップシェアを確立

注目トピックス 日本株
■ビジョン<9416>の会社概要

4. 強みとリスク
(1) 強み
グローバルWiFi事業における強みは、業界最多クラスとなるサービスエリアで高品質・高速大容量の通信サービスを、各国の通信キャリア(通信事業者)と直接連携することでリーズナブルな料金で提供していること、また、利便性の面においても業界最多クラスとなる15空港で引き渡しカウンターを設置しているほか、待ち時間ゼロを実現した「スマートピックアップ」を5空港で導入するなど、手軽にサービスを利用できる環境を業界に先駆けて整備していることが強みと言える。同社の利用ユーザーの過半がリピート顧客で占められるのも、こうしたサービス面での充実が要因と考えられ、高成長につながっている。

一方、情報通信サービス事業における強みは、「Webマーケティング」×「営業」×「CLT(カスタマー・ロイヤリティ・チーム)」による三位一体の体制を構築し、高い営業効率を誇っていることが挙げられる。Webマーケティングにより確度の高い顕在需要を獲得し、CLT(テレマーケティング)によって顧客のニーズや課題を抽出、これらの情報を営業部隊と共有することで、営業部隊は直接訪問時において最適な提案を行い、成約率を高めることを可能としている。結果として、業界水準より高い販売量、高い獲得手数料というポジティブなスパイラルを生み出している。また、事業部間で顧客紹介を積極的に行う体制を構築していることも強みで、市場の成熟化と競争激化が進む環境下で競争力を維持する原動力になっている。加えて、メインターゲットがスタートアップ企業で、これら企業の成長に合わせて受注を積み上げていく継続型ストックビジネスモデルであることが、同事業の安定的な成長につながっている。

(2) 競合
グローバルWiFi事業に関しては、携帯電話レンタル事業も手掛けているエクスコムグローバル(株)や(株)テレコムスクエアなどが競合企業として挙げられる。海外向けWi-Fiレンタルサービスに関して同社は後発ながら、現在トップシェアの地位を確立していると見られる。なお、競合他社がテレビCMを積極的に展開しているが、同社はテレビCMの費用対効果は低いと見ており行う予定はない。ただ、2018年秋よりANAの国際線旅客機内でCMを試験的に放映している。視聴者すべてが潜在ユーザーとなるためだ。今後、費用対効果を検証して効果があると判断すれば続ける可能性がある。

なお、海外でのインターネット接続手段はグローバルWiFi(Wi-Fiルーターレンタル)だけでなく、携帯キャリアが提供する国際ローミングサービスや現地でのプリペイドSIM調達、フリーWi-Fiスポットでの利用が選択肢として挙げられるが、価格や利用範囲、通信速度、管理、セキュリティなどいずれかの面で劣っており、現状ですべてのニーズを満たせるサービスはグローバルWiFiのほかには見当たらない。

一方、情報通信サービス事業における競合は多く、上場企業では大塚商会<4768>、光通信<9435>、フォーバル<8275>などが挙げられる。ただ、同社のように主な顧客ターゲットをスタートアップ及びベンチャー企業に絞り、Webマーケティング、テレマーケティングと直接訪問営業のハイブリッドによる事業展開を実現しているところはほとんどなく、こうした観点では直接競合する企業はない。

(3) 事業リスク
事業リスクについて見ると、グローバルWiFi事業では予期せぬテロ、自然災害、疫病等により、特定の国・地域への渡航の動きが一時的に停滞するようになった場合に、業績にマイナス影響を受ける可能性がある。また、世界各国の通信キャリア等からデータ通信サービスを仕入れているため、通信キャリア等の事業方針の変更により、同社グループが従前より不利な仕入条件に変更を余儀なくされる可能性があることもリスクとして想定される。ただ、取引量が拡大するなかでボリュームディスカウントなど仕入条件が有利になることはあっても、不利になる可能性は極めて低いと言える。

情報通信サービス事業では、通信サービスへの加入契約の取次ぎ等において、光通信のグループ子会社である(株)メンバーズモバイルなどを一次代理店とした契約形態となっている。光通信グループへの依存度は、ここ数年低下傾向になっているとはいえ、依然一定水準以上となっていることから、光通信グループの経営施策が変更になった場合に影響を受ける可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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