USENNEX Research Memo(3):BtoBビジネス及びランニング収益ビジネスを軸に6事業を展開
[19/07/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■USEN-NEXT HOLDINGS<9418>の事業概要
1. 事業セグメント
事業セグメントは、店舗サービス事業、通信事業、業務用システム事業、コンテンツ配信事業、エネルギー事業、メディア事業の6つであり、主としてBtoBビジネスで構成されている。店舗サービス事業では、飲食店など業務店や各種施設に対して音楽配信サービスの提供や配信機器の販売・施工、音楽著作権の管理業務のほか、IoT商材など店舗経営のためのソリューションサービスを提供している。エネルギー事業やメディア事業では、そうした顧客に対し電力やガスの販売、ヒトサラなどメディアによる集客支援サービスを行っている。通信事業では法人向け通信回線や個人向けモバイル通信(MVNO)、通信事業者が提供するインターネットサービスの取次などのサービスを提供、業務用システム事業ではホテルや病院などに自動精算機やフロント管理システムを販売している。コンテンツ配信事業では個人向けに映像や電子書籍といったデジタルコンテンツを配信している。尚、収益面においては月次で利用料を収受するランニングモデルがメインとなっている。
店舗や施設に快適性・効率性を提供
2. 事業内容
(1) 店舗サービス事業
店舗サービス事業は、音楽配信事業と店舗運営ソリューション事業に分けられる。音楽配信事業は50年以上の歴史を持つ同社の祖業で、J-POPや洋楽などの専門チャンネルからリクエストチャンネルまで、全国の様々な店舗や施設へ向けて音楽や情報などを放送する「USEN」サービスを提供している。顧客の大多数は業務店で、特に飲食、小売、理美容、クリニックの割合が高く、チェーン店は全国チェーンから地域密着チェーンまでと幅広い。当然だが、提供する音楽はすべて著作権に関して適切な処理を行っている。受信端末機(チューナー)をレンタルし、専用の同軸ケーブルや通信衛星、インターネット回線といったインフラを使用している。グループで全国150支店、営業職1,000人、技術職750人というサポート体制を擁し、設置施工からアフターケアまで万全の態勢を取っている。こうした品ぞろえや品質、サポート体制に加え、月額4,000〜5,000円でCDプレイヤーの導入や継続的なソフト購入や選曲の手間、面倒な著作権処理などが解消されることを考えると、同事業の根強い人気の理由が分かる。このため現在、75万に上る強固な顧客基盤と店舗・施設用BGMで90%超という圧倒的なシェアを誇り(2018年10月に100%子会社化した業務店向け音楽配信サービス業界2位で顧客数13万、売上高50億円強、営業利益4億円のキャンシステムを含む)、グループの戦略を支えるキャッシュを生み出す収益性の高い事業となっている。
店舗運営ソリューション事業では、開業支援から業務環境構築、販売促進まで、業務店に対して店舗運営に関するソリューションサービスを提供している。近年、小売・サービス業でもIT化が進んでいるが、中小零細業務店が対応するにはハードルが高い。このため、同社は中小零細業務店に代わって最先端の機器やシステムをワンストップで届けるサービスを行っている。メニューはタブレットPOSレジ「Uレジ」、事業者向けテナント総合保険「お店のあんしん保険」、店舗のキャッシュレス決済を実現する「USEN PAYGATE」、店舗アプリ作成サービス「UPLink」、業務店向けWi-Fiサービス「USEN SPOT」など種々あり、人気が高いためさらに拡張中である。
(2) 通信事業
通信事業では、法人向けICTソリューション「USEN GATE 02」、法人向けブロードバンドインターネット回線「USEN光」、個人向けMVNOサービス「U-mobile」、個人向けブロードバンドインターネット回線「U-NEXT光01」を提供している。ICT事業としては、「USEN GATE 02」ブランドのインターネット回線や専用線など法人向けのネットワークサービス、Googleやサイボウズ<4776>などのクラウドサービス、データ通信やMDMといったモバイルサービス、データセンターサービスといったICT商材を販売している。光ファイバーによるインターネット接続サービスを世界で初めて開始したのが同社で、常に変化し発展し続けるICT業界で、これまで4万社を超える企業にサービスを提供してきた。同事業の強みはサービスラインナップの幅の広さにあり、ネットワーク環境に関するあらゆるニーズに対応しているが、一方で取引窓口を一本化できるなど高い利便性を誇る。
(3) 業務用システム事業
業務用システム事業は子会社の(株)アルメックスが行っており、ビジネスホテルやシティホテル、レジャーホテル向けに自動精算機や宿泊施設管理システム、総合病院など医療機関向けに自動精算機や再来受付機、ゴルフ場向けに自動精算機やチェックイン機などを提供している。飲食店向けにオーダー端末やオペレーティングシステムの販売も行っている。自動精算機と言うと大手電機メーカー製をイメージしやすいが、同社の国内シェアはレジャーホテル85%、ビジネスホテル65%、大規模医療機関65%、ゴルフ場70%と非常に高率である。ファブレスメーカーとして機器やシステムの開発から販売、メンテナンスまでを独自で行っているためメーカー色が強く、グループ内では異色な存在と言える。しかし、施設利用者のホスピタリティまでも念頭に置いたビジネスは、その他の事業と同様で、大きな差別化要因になっている。
(4) コンテンツ配信事業
「U-NEXT」では、VOD(ビデオ・オン・デマンド)と呼ばれる映像配信サービスを提供している。映画やテレビといった映像コンテンツから電子書籍、音楽までを、インターネットによってテレビやPC、スマートフォンなどで視聴することができる、個人向けの月額課金型の有料サービスである。90,000本以上の映像コンテンツが見放題の上、有料とはいえ最新作も充実している。また、大手で唯一成人向け作品を手掛けているが、成人向けが需要拡大のカギを握るのは、レンタルビデオの成長期に(株)TSUTAYAが米国大手ブロックバスターに圧勝したことからも理解できる。同社の月額利用料は1,990円と一見高く見えるが、14万本超というコンテンツの充実度や1アカウントで4人まで視聴できること、毎月付与される1,200円分のポイントの範囲内であれば有料課金の最新作も実質無料となることなどを考えれば、決して高いとはいえない。このため、巨大企業のサービスであるAmazonプライムビデオやNetflixなど競合が多い中で、同社の成長性は特に高いと言われている。
(5) エネルギー事業
エネルギー事業では、業務提携している東京電力ホールディングス<9501>のテリトリー外にある業務店や商業施設向けに、高圧及び低圧の電力や都市ガスを販売、省エネなどのコンサルティング・サービスを提供している。電力販売の自由化を背景に2016年9月に立ち上げたばかりの事業だが、同社の厚い顧客基盤に対して価格の安さを訴求できるため人気が高く、契約者数は急増を続けている。発電供給体制の違いから季節変動など一時的なリスクによって逆ザヤが生じる可能性のある新電力と異なり、同社のエネルギー事業は東京電力ホールディングスから卸売を受けた電力の再販のため必ずスプレッドが取れる。ただし、利益率が非常に低いという特徴がある。
(6) メディア事業
メディア事業は、グルメレストラン情報サイト「ヒトサラ」が主力で、飲食店向けに集客支援サービスを提供している。料理人(ヒト)と料理(サラ)にフォーカスし、比較的ハイエンドな飲食店にターゲットを絞り込むことで競合サイトと差別化し、一定のマーケットポジションを確保している。収益面では広告収入に加え、新たに即時予約機能によるトランザクションフィーも導入した。インバウンド戦略としては、訪日外国人向けに「ヒトサラ」の多言語版グルメサイト「SAVOR JAPAN」の運営も開始した。ほかに、フリーマガジン・Web・イベント・サロンの4方向から、結婚を意識し始めた女性にアプローチするウェディングメディア「ウエコレ」や、スタイリスト探しのWebマガジン「bangs」も展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 事業セグメント
事業セグメントは、店舗サービス事業、通信事業、業務用システム事業、コンテンツ配信事業、エネルギー事業、メディア事業の6つであり、主としてBtoBビジネスで構成されている。店舗サービス事業では、飲食店など業務店や各種施設に対して音楽配信サービスの提供や配信機器の販売・施工、音楽著作権の管理業務のほか、IoT商材など店舗経営のためのソリューションサービスを提供している。エネルギー事業やメディア事業では、そうした顧客に対し電力やガスの販売、ヒトサラなどメディアによる集客支援サービスを行っている。通信事業では法人向け通信回線や個人向けモバイル通信(MVNO)、通信事業者が提供するインターネットサービスの取次などのサービスを提供、業務用システム事業ではホテルや病院などに自動精算機やフロント管理システムを販売している。コンテンツ配信事業では個人向けに映像や電子書籍といったデジタルコンテンツを配信している。尚、収益面においては月次で利用料を収受するランニングモデルがメインとなっている。
店舗や施設に快適性・効率性を提供
2. 事業内容
(1) 店舗サービス事業
店舗サービス事業は、音楽配信事業と店舗運営ソリューション事業に分けられる。音楽配信事業は50年以上の歴史を持つ同社の祖業で、J-POPや洋楽などの専門チャンネルからリクエストチャンネルまで、全国の様々な店舗や施設へ向けて音楽や情報などを放送する「USEN」サービスを提供している。顧客の大多数は業務店で、特に飲食、小売、理美容、クリニックの割合が高く、チェーン店は全国チェーンから地域密着チェーンまでと幅広い。当然だが、提供する音楽はすべて著作権に関して適切な処理を行っている。受信端末機(チューナー)をレンタルし、専用の同軸ケーブルや通信衛星、インターネット回線といったインフラを使用している。グループで全国150支店、営業職1,000人、技術職750人というサポート体制を擁し、設置施工からアフターケアまで万全の態勢を取っている。こうした品ぞろえや品質、サポート体制に加え、月額4,000〜5,000円でCDプレイヤーの導入や継続的なソフト購入や選曲の手間、面倒な著作権処理などが解消されることを考えると、同事業の根強い人気の理由が分かる。このため現在、75万に上る強固な顧客基盤と店舗・施設用BGMで90%超という圧倒的なシェアを誇り(2018年10月に100%子会社化した業務店向け音楽配信サービス業界2位で顧客数13万、売上高50億円強、営業利益4億円のキャンシステムを含む)、グループの戦略を支えるキャッシュを生み出す収益性の高い事業となっている。
店舗運営ソリューション事業では、開業支援から業務環境構築、販売促進まで、業務店に対して店舗運営に関するソリューションサービスを提供している。近年、小売・サービス業でもIT化が進んでいるが、中小零細業務店が対応するにはハードルが高い。このため、同社は中小零細業務店に代わって最先端の機器やシステムをワンストップで届けるサービスを行っている。メニューはタブレットPOSレジ「Uレジ」、事業者向けテナント総合保険「お店のあんしん保険」、店舗のキャッシュレス決済を実現する「USEN PAYGATE」、店舗アプリ作成サービス「UPLink」、業務店向けWi-Fiサービス「USEN SPOT」など種々あり、人気が高いためさらに拡張中である。
(2) 通信事業
通信事業では、法人向けICTソリューション「USEN GATE 02」、法人向けブロードバンドインターネット回線「USEN光」、個人向けMVNOサービス「U-mobile」、個人向けブロードバンドインターネット回線「U-NEXT光01」を提供している。ICT事業としては、「USEN GATE 02」ブランドのインターネット回線や専用線など法人向けのネットワークサービス、Googleやサイボウズ<4776>などのクラウドサービス、データ通信やMDMといったモバイルサービス、データセンターサービスといったICT商材を販売している。光ファイバーによるインターネット接続サービスを世界で初めて開始したのが同社で、常に変化し発展し続けるICT業界で、これまで4万社を超える企業にサービスを提供してきた。同事業の強みはサービスラインナップの幅の広さにあり、ネットワーク環境に関するあらゆるニーズに対応しているが、一方で取引窓口を一本化できるなど高い利便性を誇る。
(3) 業務用システム事業
業務用システム事業は子会社の(株)アルメックスが行っており、ビジネスホテルやシティホテル、レジャーホテル向けに自動精算機や宿泊施設管理システム、総合病院など医療機関向けに自動精算機や再来受付機、ゴルフ場向けに自動精算機やチェックイン機などを提供している。飲食店向けにオーダー端末やオペレーティングシステムの販売も行っている。自動精算機と言うと大手電機メーカー製をイメージしやすいが、同社の国内シェアはレジャーホテル85%、ビジネスホテル65%、大規模医療機関65%、ゴルフ場70%と非常に高率である。ファブレスメーカーとして機器やシステムの開発から販売、メンテナンスまでを独自で行っているためメーカー色が強く、グループ内では異色な存在と言える。しかし、施設利用者のホスピタリティまでも念頭に置いたビジネスは、その他の事業と同様で、大きな差別化要因になっている。
(4) コンテンツ配信事業
「U-NEXT」では、VOD(ビデオ・オン・デマンド)と呼ばれる映像配信サービスを提供している。映画やテレビといった映像コンテンツから電子書籍、音楽までを、インターネットによってテレビやPC、スマートフォンなどで視聴することができる、個人向けの月額課金型の有料サービスである。90,000本以上の映像コンテンツが見放題の上、有料とはいえ最新作も充実している。また、大手で唯一成人向け作品を手掛けているが、成人向けが需要拡大のカギを握るのは、レンタルビデオの成長期に(株)TSUTAYAが米国大手ブロックバスターに圧勝したことからも理解できる。同社の月額利用料は1,990円と一見高く見えるが、14万本超というコンテンツの充実度や1アカウントで4人まで視聴できること、毎月付与される1,200円分のポイントの範囲内であれば有料課金の最新作も実質無料となることなどを考えれば、決して高いとはいえない。このため、巨大企業のサービスであるAmazonプライムビデオやNetflixなど競合が多い中で、同社の成長性は特に高いと言われている。
(5) エネルギー事業
エネルギー事業では、業務提携している東京電力ホールディングス<9501>のテリトリー外にある業務店や商業施設向けに、高圧及び低圧の電力や都市ガスを販売、省エネなどのコンサルティング・サービスを提供している。電力販売の自由化を背景に2016年9月に立ち上げたばかりの事業だが、同社の厚い顧客基盤に対して価格の安さを訴求できるため人気が高く、契約者数は急増を続けている。発電供給体制の違いから季節変動など一時的なリスクによって逆ザヤが生じる可能性のある新電力と異なり、同社のエネルギー事業は東京電力ホールディングスから卸売を受けた電力の再販のため必ずスプレッドが取れる。ただし、利益率が非常に低いという特徴がある。
(6) メディア事業
メディア事業は、グルメレストラン情報サイト「ヒトサラ」が主力で、飲食店向けに集客支援サービスを提供している。料理人(ヒト)と料理(サラ)にフォーカスし、比較的ハイエンドな飲食店にターゲットを絞り込むことで競合サイトと差別化し、一定のマーケットポジションを確保している。収益面では広告収入に加え、新たに即時予約機能によるトランザクションフィーも導入した。インバウンド戦略としては、訪日外国人向けに「ヒトサラ」の多言語版グルメサイト「SAVOR JAPAN」の運営も開始した。ほかに、フリーマガジン・Web・イベント・サロンの4方向から、結婚を意識し始めた女性にアプローチするウェディングメディア「ウエコレ」や、スタイリスト探しのWebマガジン「bangs」も展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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