アトラエ Research Memo(3)主力は成功報酬型求人メディア「Green」
[19/12/05]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
4. 事業環境
アトラエ<6194>を取り巻く事業環境を見ると、2010年代の後半から2020年にかけて、産業界では大型のIT関連投資が続くことや、情報セキュリティ等に対するニーズの増大により、IT人材の不足が改めて課題となっている。また、ビッグデータ、IoT等の新しい技術やサービスの登場により、今後ますますIT利活用の高度化・多様化が進展することが予想され、中長期的にもIT人材に対する需要は引き続き増加する可能性が高いと見込まれる。しかし、我が国の人口減少に伴い、労働人口(特に若年人口)が減少することから、今後、IT人材の獲得は現在以上に難しくなると考えられる。つまり、IT需要の拡大にもかかわらず、国内の人材供給力が低下することから、IT人材不足は今後より一層深刻化する可能性が高い。
経済産業省のIT関連産業の産業人口に関する将来推計によると、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しているが、今後IT人材の供給能力が2019年をピークに低下するにもかかわらず、ITニーズの拡大によりIT市場は拡大を続けるため、IT人材不足は一段と深刻化し、2030年には約59万人まで人材の不足規模が拡大すると予想している。
また、「IT/通信業」の転職求人倍率は、全体の求人倍率を大きく超えているという傾向もあり、「Green」の求人企業の多くが属するIT/インターネット業界におけるエンジニアの人材需要は大きい。加えて、IT技術の広がりに伴い様々な業界でIT人材が求められ、「Green」の利用企業の裾野がますます拡大傾向にある。
一方で、人材難のおり、働き方改革が問われるなかで、獲得した人材をどのように組織に定着させるか、ということも多くの企業で課題であり、組織力を可視化する「wevox」の需要も大きいと考えられる。
5. 強み
(1) 成長戦略を実現するための組織力
同社は、サービスライフサイクルの短いインターネットの世界においては、時代の変化に適応したサービスを次々と生み出し続けられるような組織文化やノウハウの蓄積こそが、企業としての永続性を実現できるカギになると考えており、組織力の強さにどの会社よりもこだわっている。事業の運営単位を常にフラットでミニマムに保つことで、ベンチャーらしいスピード感、変化適応力を維持し、メンバーの経営意識、責任感を高めることで、社会に提供する価値の最大化に挑戦し続けている。
具体的には、肩書という概念をなくしチーム(プロジェクト)単位で働く完全フラットな組織、勤務時間や場所の管理はメンバー一人ひとりに任されるなど、ルールをミニマム化し、一人ひとりが参画意識を高め、高い責任と裁量を持って自発的に働ける環境を創り出している。
これらの取り組みにより、働きがいのある会社のランキングであるGreat Place To Work(GPTW)2019年版では小規模部門において日本1位、アジア5位を受賞するなどの高い評価を得ている。若くて有能な人材が長期にわたり働き続けているエンゲージメントの高い組織だからこそ、中長期的な戦略立案・実行が可能であり、新規事業の開発を行いながらも8年間にわたり生産性を上げ続けており、長期的な競争力を有する稀有な組織となっている。
(2) ビッグデータの蓄積、解析及び活用
同社では求職者並びに求人企業に関するプロフィールデータ、アクションデータ及び選考データ(登録、応募、書類選考通過、内定等)などを10年以上にわたり独自に蓄積してきた。従来のキャリアアドバイザーによる属人的かつ労働集約的なマッチングをテクノロジーやビッグデータの活用で、より効率的かつ効果的に、人を介さずに高い書類選考通過率(マッチング精度)を実現している。このことが人材紹介市場における同社の優位性の確立につながっている。
なお、上記の内容は「Green」におけるものであるが、組織改善ツール「wevox」ではエンゲージメントサーベイのデータ、ビジネスマッチングアプリ「yenta」では利用者間のマッチングに関する情報など、他のサービスでも同様にビッグデータの蓄積、解析及び活用を行っており、いずれも後発の追随を許さず同社の独自性・優位性につながっている。
6. リスク
同社では、事業上のリスクとして、求人企業の採用ニーズの悪化を最大のリスクとして考えている。同社はリーマン・ショックを乗り越えた経験を有しており、それ以降コストの変動費化を図るとともに、景気に左右されにくい経営管理体制を整備・構築している。しかし、主力サービスの「Green」は、IT/Web業界を中心とした人材採用支援を行っており、求人企業の雇用水準が低迷した場合には、同社業績に影響を及ぼす可能性も考えられる。しかし、IT/Web業界だけでなく、営業・経理など幅広い職種もカバーしているため、極端なリスクにはつながりにくいと考えられる。
また、売上構成がほぼ「Green」への一極集中となっており、「Green」を上回る競合が発生し「Green」のシェアが低下した場合、全社の売上が落ち込む可能性がある。しかし、既に2018年9月期より「wevox」のマネタイズが始まっており、売上構成のリスクは低減が図られつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<SF>
4. 事業環境
アトラエ<6194>を取り巻く事業環境を見ると、2010年代の後半から2020年にかけて、産業界では大型のIT関連投資が続くことや、情報セキュリティ等に対するニーズの増大により、IT人材の不足が改めて課題となっている。また、ビッグデータ、IoT等の新しい技術やサービスの登場により、今後ますますIT利活用の高度化・多様化が進展することが予想され、中長期的にもIT人材に対する需要は引き続き増加する可能性が高いと見込まれる。しかし、我が国の人口減少に伴い、労働人口(特に若年人口)が減少することから、今後、IT人材の獲得は現在以上に難しくなると考えられる。つまり、IT需要の拡大にもかかわらず、国内の人材供給力が低下することから、IT人材不足は今後より一層深刻化する可能性が高い。
経済産業省のIT関連産業の産業人口に関する将来推計によると、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しているが、今後IT人材の供給能力が2019年をピークに低下するにもかかわらず、ITニーズの拡大によりIT市場は拡大を続けるため、IT人材不足は一段と深刻化し、2030年には約59万人まで人材の不足規模が拡大すると予想している。
また、「IT/通信業」の転職求人倍率は、全体の求人倍率を大きく超えているという傾向もあり、「Green」の求人企業の多くが属するIT/インターネット業界におけるエンジニアの人材需要は大きい。加えて、IT技術の広がりに伴い様々な業界でIT人材が求められ、「Green」の利用企業の裾野がますます拡大傾向にある。
一方で、人材難のおり、働き方改革が問われるなかで、獲得した人材をどのように組織に定着させるか、ということも多くの企業で課題であり、組織力を可視化する「wevox」の需要も大きいと考えられる。
5. 強み
(1) 成長戦略を実現するための組織力
同社は、サービスライフサイクルの短いインターネットの世界においては、時代の変化に適応したサービスを次々と生み出し続けられるような組織文化やノウハウの蓄積こそが、企業としての永続性を実現できるカギになると考えており、組織力の強さにどの会社よりもこだわっている。事業の運営単位を常にフラットでミニマムに保つことで、ベンチャーらしいスピード感、変化適応力を維持し、メンバーの経営意識、責任感を高めることで、社会に提供する価値の最大化に挑戦し続けている。
具体的には、肩書という概念をなくしチーム(プロジェクト)単位で働く完全フラットな組織、勤務時間や場所の管理はメンバー一人ひとりに任されるなど、ルールをミニマム化し、一人ひとりが参画意識を高め、高い責任と裁量を持って自発的に働ける環境を創り出している。
これらの取り組みにより、働きがいのある会社のランキングであるGreat Place To Work(GPTW)2019年版では小規模部門において日本1位、アジア5位を受賞するなどの高い評価を得ている。若くて有能な人材が長期にわたり働き続けているエンゲージメントの高い組織だからこそ、中長期的な戦略立案・実行が可能であり、新規事業の開発を行いながらも8年間にわたり生産性を上げ続けており、長期的な競争力を有する稀有な組織となっている。
(2) ビッグデータの蓄積、解析及び活用
同社では求職者並びに求人企業に関するプロフィールデータ、アクションデータ及び選考データ(登録、応募、書類選考通過、内定等)などを10年以上にわたり独自に蓄積してきた。従来のキャリアアドバイザーによる属人的かつ労働集約的なマッチングをテクノロジーやビッグデータの活用で、より効率的かつ効果的に、人を介さずに高い書類選考通過率(マッチング精度)を実現している。このことが人材紹介市場における同社の優位性の確立につながっている。
なお、上記の内容は「Green」におけるものであるが、組織改善ツール「wevox」ではエンゲージメントサーベイのデータ、ビジネスマッチングアプリ「yenta」では利用者間のマッチングに関する情報など、他のサービスでも同様にビッグデータの蓄積、解析及び活用を行っており、いずれも後発の追随を許さず同社の独自性・優位性につながっている。
6. リスク
同社では、事業上のリスクとして、求人企業の採用ニーズの悪化を最大のリスクとして考えている。同社はリーマン・ショックを乗り越えた経験を有しており、それ以降コストの変動費化を図るとともに、景気に左右されにくい経営管理体制を整備・構築している。しかし、主力サービスの「Green」は、IT/Web業界を中心とした人材採用支援を行っており、求人企業の雇用水準が低迷した場合には、同社業績に影響を及ぼす可能性も考えられる。しかし、IT/Web業界だけでなく、営業・経理など幅広い職種もカバーしているため、極端なリスクにはつながりにくいと考えられる。
また、売上構成がほぼ「Green」への一極集中となっており、「Green」を上回る競合が発生し「Green」のシェアが低下した場合、全社の売上が落ち込む可能性がある。しかし、既に2018年9月期より「wevox」のマネタイズが始まっており、売上構成のリスクは低減が図られつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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