スペースバリューHD Research Memo(9):本業回帰や事業間シナジーの創出により持続的成長を目指す(2)
[21/02/01]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■スペースバリューホールディングス<1448>の中期経営計画(今後の方向性)
4. 数値目標
中期経営計画の最終年度(2023年3月期)の数値目標については、成長投資や事業環境の変化に対応できる「強い経営基盤」の構築により、1) 連結経常利益を45億円以上(かつ経常利益率5%以上)、2) ROEを10%以上、3) 配当性向30%を掲げている。特に、収益性の改善(利益の積み上げ)と資本効率の向上を重視していると言えるが、具体的な施策として以下に取り組む。
(1) 連結経常利益の積み上げ
とりわけ「土地開発事業」やPPP事業などの新分野を伸ばし、収益性の高い「システム建築」への受注増に結び付けるとともに、IT活用等による働き方改革の実現(及び働き方の高度化)により、生産性の向上に取り組む。
(2) ROEの向上
ROEは、収益性(当期純利益/売上高)×効率性(売上高/総資産)×財務レバレッジ(総資産/自己資本)の3要素に分解されるが、同社では、収益性と効率性の改善に優先的に取り組む考えである。収益性の改善については、前述した1) 連結経常利益の積み上げと重なるものであるが、事業ポートフォリオの最適化、成長分野への積極投資、経費削減のほか、市場ニーズを捉えた商品開発やソリューション型営業の推進、生産性の向上により付加価値を高める戦略である。また、効率性の改善については、同社の本業との関わりの薄い不動産の売却、政策保有株式の定期的な見直し、資産効率を重視した投資と活用を進めていく。
5. 資源配分の考え方
10年後のありたい姿の実現のため、基盤づくりに積極投資する考えである。3年間の具体的な投資計画としては、基盤構築への投資(生産設備やレンタル営業資産への投資等)に100億円、成長戦略への投資に55億円以上(戦略的なM&A・アライアンス、新規事業等)、研究開発費に5億円のほか、株主還元(配当)にも20億円以上を検討している。一方、その資金源については、営業活動によるキャッシュ・フローで135億円、不稼働資産の売却で約45億円などを見込んでいるようだ。
6. 弊社アナリストの注目点
弊社アナリストも、外部環境(システム建築への需要拡大)及び内部環境(システム建築における優位性や受注活動に専念できる体制が整ったことなど)から判断して、今後の持続的成長や収益性改善の余地は大きいと見ている。また、事業間シナジーの創出により、収益性の高い「システム建築事業」を伸ばしていく方向性についても理にかなった戦略と評価できる。したがって、例え事業用建物の建設需要全体が縮小傾向をたどったとしても、シェア拡大と付加価値向上により数値目標の達成は十分に可能であるとの見方をしている。
特に、連結経常利益目標45億円の達成に向けては、2020年3月期実績の28億円を基準にすれば3年間で17億円の積み上げが必要となる。弊社アナリストは、「システム建築事業」の売上増とセグメント利益率の改善により利益の積み上げは十分に可能な範囲と捉えている。例えば、1つの考え方として、2023年3月期の「システム建築事業」の売上高を500億円(2020年3月期比50億円増)、セグメント利益率を11%(2020年3月期比2ポイントの改善)と想定すると、「システム建築事業」だけで15億円の増益を実現できる※。したがって、「システム建築事業」をいかに伸ばし、利益率の改善を図っていくのかが、結果を大きく左右するものと捉えており、そのためには、「土地活用事業」の企画によるグループ提案力を活かした同社主導型案件の獲得により、「システム建築事業」の売上増や利益率の改善に結び付けていく戦略がカギを握るであろう。いずれにしても、この3年間は10年先を見据えた最初のステージであり、数値目標の達成はもちろん、社会にいかに貢献し、成長を実現していくのか、同社ならではの価値創造モデルを具体的に示していくことが重要なテーマと捉えている。特に、中長期目線では、M&Aやアライアンスによる事業基盤の強化や次世代を見据えた革新的な商品開発、人材育成(専門性の高いスタッフや技術者)、社会課題の解決(環境対応や地域社会への貢献等)に向けた取り組みなどに注目したい。
※弊社アナリストによる利益成長の考え方(モデル)の1つを示したものである。500億円×11%‐40億円(2020年3月期におけるシステム建築事業のセグメント利益)=15億円にて算出した。なお、システム建築事業のセグメント利益率は、2020年3月期こそ減収に伴って9%に低下したものの、前中期経営計画(2017年3月期から2019年3月期)の3年間については、毎年11%を超える水準を確保していたことから、売上高の伸びとともにセグメント利益率11%への改善は無理のない想定と捉えており、そこからいかにアップサイドを目指していくのかがポイントになると見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
4. 数値目標
中期経営計画の最終年度(2023年3月期)の数値目標については、成長投資や事業環境の変化に対応できる「強い経営基盤」の構築により、1) 連結経常利益を45億円以上(かつ経常利益率5%以上)、2) ROEを10%以上、3) 配当性向30%を掲げている。特に、収益性の改善(利益の積み上げ)と資本効率の向上を重視していると言えるが、具体的な施策として以下に取り組む。
(1) 連結経常利益の積み上げ
とりわけ「土地開発事業」やPPP事業などの新分野を伸ばし、収益性の高い「システム建築」への受注増に結び付けるとともに、IT活用等による働き方改革の実現(及び働き方の高度化)により、生産性の向上に取り組む。
(2) ROEの向上
ROEは、収益性(当期純利益/売上高)×効率性(売上高/総資産)×財務レバレッジ(総資産/自己資本)の3要素に分解されるが、同社では、収益性と効率性の改善に優先的に取り組む考えである。収益性の改善については、前述した1) 連結経常利益の積み上げと重なるものであるが、事業ポートフォリオの最適化、成長分野への積極投資、経費削減のほか、市場ニーズを捉えた商品開発やソリューション型営業の推進、生産性の向上により付加価値を高める戦略である。また、効率性の改善については、同社の本業との関わりの薄い不動産の売却、政策保有株式の定期的な見直し、資産効率を重視した投資と活用を進めていく。
5. 資源配分の考え方
10年後のありたい姿の実現のため、基盤づくりに積極投資する考えである。3年間の具体的な投資計画としては、基盤構築への投資(生産設備やレンタル営業資産への投資等)に100億円、成長戦略への投資に55億円以上(戦略的なM&A・アライアンス、新規事業等)、研究開発費に5億円のほか、株主還元(配当)にも20億円以上を検討している。一方、その資金源については、営業活動によるキャッシュ・フローで135億円、不稼働資産の売却で約45億円などを見込んでいるようだ。
6. 弊社アナリストの注目点
弊社アナリストも、外部環境(システム建築への需要拡大)及び内部環境(システム建築における優位性や受注活動に専念できる体制が整ったことなど)から判断して、今後の持続的成長や収益性改善の余地は大きいと見ている。また、事業間シナジーの創出により、収益性の高い「システム建築事業」を伸ばしていく方向性についても理にかなった戦略と評価できる。したがって、例え事業用建物の建設需要全体が縮小傾向をたどったとしても、シェア拡大と付加価値向上により数値目標の達成は十分に可能であるとの見方をしている。
特に、連結経常利益目標45億円の達成に向けては、2020年3月期実績の28億円を基準にすれば3年間で17億円の積み上げが必要となる。弊社アナリストは、「システム建築事業」の売上増とセグメント利益率の改善により利益の積み上げは十分に可能な範囲と捉えている。例えば、1つの考え方として、2023年3月期の「システム建築事業」の売上高を500億円(2020年3月期比50億円増)、セグメント利益率を11%(2020年3月期比2ポイントの改善)と想定すると、「システム建築事業」だけで15億円の増益を実現できる※。したがって、「システム建築事業」をいかに伸ばし、利益率の改善を図っていくのかが、結果を大きく左右するものと捉えており、そのためには、「土地活用事業」の企画によるグループ提案力を活かした同社主導型案件の獲得により、「システム建築事業」の売上増や利益率の改善に結び付けていく戦略がカギを握るであろう。いずれにしても、この3年間は10年先を見据えた最初のステージであり、数値目標の達成はもちろん、社会にいかに貢献し、成長を実現していくのか、同社ならではの価値創造モデルを具体的に示していくことが重要なテーマと捉えている。特に、中長期目線では、M&Aやアライアンスによる事業基盤の強化や次世代を見据えた革新的な商品開発、人材育成(専門性の高いスタッフや技術者)、社会課題の解決(環境対応や地域社会への貢献等)に向けた取り組みなどに注目したい。
※弊社アナリストによる利益成長の考え方(モデル)の1つを示したものである。500億円×11%‐40億円(2020年3月期におけるシステム建築事業のセグメント利益)=15億円にて算出した。なお、システム建築事業のセグメント利益率は、2020年3月期こそ減収に伴って9%に低下したものの、前中期経営計画(2017年3月期から2019年3月期)の3年間については、毎年11%を超える水準を確保していたことから、売上高の伸びとともにセグメント利益率11%への改善は無理のない想定と捉えており、そこからいかにアップサイドを目指していくのかがポイントになると見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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