Jトラスト Research Memo(1):2021年12月期業績を上方修正、大幅な増益を見込む
[21/06/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
Jトラスト<8508>は、東証2部に上場しており、傘下に国内外の金融事業を有するホールディングカンパニーである。藤澤信義(ふじさわのぶよし)社長のもと、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に資産規模を拡大してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による世界的な経済環境悪化に直面し、抜本的な事業ポートフォリオの再編に着手した。2020年8月以降、不動産事業ではキーノート(株)(現(株)グローベルス)、日本金融事業ではJトラストカード(株)、韓国及びモンゴル金融事業ではJT親愛貯蓄銀行を売却したほか、JTキャピタル及びJT貯蓄銀行の売却を計画するなど、大きな変革期にあると言える。売却代金は主に企業価値を高めるためのM&Aに活用する予定であり、同社の次の一手に注目したい。
2. 2021年12月期第1四半期の業績概要
2021年12月期第1四半期の営業収益は10,867百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は4,400百万円(前年同期は320百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,829百万円(同83.6%増)となった。営業収益は前年同期比横ばいにとどまったものの、訴訟回収金の計上もあり利益は大幅増益を記録した。セグメント別では、日本金融事業は保証業務・債権回収業務ともに引き続き順調に推移しており、グループ業績をけん引した。韓国及びモンゴル金融事業は、JT貯蓄銀行の貸出残高の増加などを受けて、増収増益であった。また、東南アジア金融事業は、カンボジアのJトラストロイヤル銀行(以下、JTRB)が貸出残高を順調に積み増したことに加え、インドネシア金融事業でも営業損益が計画を上回ったことなどから、営業損失幅が縮小した。日本金融事業及び東南アジア金融事業の営業損益は、計画を上回って推移している。また、係争中のGroup Lease Holdings(以下、GL)などからの債権回収によって投資事業は大幅増益となり、同社全体の増益に貢献した。以上の結果、利益剰余金の増加により親会社所有者帰属持分比率は17.1%となり、東証1部銀行業平均の4.7%、その他金融業平均の5.8%を大きく上回る、高い安全性を確保した。
3. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の業績予想については、投資事業において訴訟回収金2,420万米ドルを追加計上すること、株式売却予定のJTキャピタルについて非継続事業とする一方で、JT貯蓄銀行については譲渡が確定するまでは継続事業に戻すことなどを前提に見直した。その結果、営業収益42,101百万円(期初予想比9,431百万円増)、営業利益5,503百万円(同5,397百万円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,000百万円(同1,473百万円増)と、大幅な上方修正となった。セグメント別営業利益予想では、韓国及びモンゴル金融事業ではJT貯蓄銀行の継続事業化に伴い、また投資事業でも勝訴判決に伴う履行金の追加受領により、増額修正した。一方、安定した利益を確保している日本金融事業及び、営業損失幅が縮小傾向の東南アジア金融事業では、第1四半期は計画を上振れて進捗しているが、修正後の通期業績予想には反映していない。また投資事業は、GL向け債権については全額引き当て済みであることから、今後も債権回収の都度、収益計上される見通しだ。以上から、2021年12月期の業績は上方修正予想をさらに上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、配当については、期初予想通り年間1.0円への復配を予定する。
4. 成長戦略
これまで同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を確保する一方で、中期的には成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、持続的な成長を目指す方針であった。ただ、現在は「ウィズコロナ」状況下での経済に最適化した事業ポートフォリオの再編に着手している。当面は日本金融事業で安定した利益を計上しながら、東南アジア金融事業の早期黒字化を図る方針であるが、一方で韓国の貯蓄銀行に代わる新たな収益源を確立することが急務であろうと弊社では見ている。なお、韓国のJT親愛貯蓄銀行売却の際に取得したNexus Bank<4764>の優先株式については、株価が転換価額を上回っており、同社グループの企業価値を高めるためのM&Aに活用する予定である。代表取締役社長である藤澤信義氏の強力なリーダーシップのもと、成長を促すための新たな一手に注目が集まる。
■Key Points
・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ
・2021年12月期第1四半期は、営業収益は前年同期比横ばいながらも、訴訟回収金の計上もあり大幅増益に
・2021年12月期は大幅な上方修正を発表も、日本金融事業及び東南アジア金融事業が好調に推移していることから、修正予想をさらに上回る着地となる可能性も
・東南アジア金融事業の早期黒字化と、韓国の貯蓄銀行に代わる新たな収益源の確立が課題。株式交換で得たNexus Bankのキャピタルゲイン活用などにより、企業価値を高めるためのM&Aを予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 会社概要
Jトラスト<8508>は、東証2部に上場しており、傘下に国内外の金融事業を有するホールディングカンパニーである。藤澤信義(ふじさわのぶよし)社長のもと、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に資産規模を拡大してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による世界的な経済環境悪化に直面し、抜本的な事業ポートフォリオの再編に着手した。2020年8月以降、不動産事業ではキーノート(株)(現(株)グローベルス)、日本金融事業ではJトラストカード(株)、韓国及びモンゴル金融事業ではJT親愛貯蓄銀行を売却したほか、JTキャピタル及びJT貯蓄銀行の売却を計画するなど、大きな変革期にあると言える。売却代金は主に企業価値を高めるためのM&Aに活用する予定であり、同社の次の一手に注目したい。
2. 2021年12月期第1四半期の業績概要
2021年12月期第1四半期の営業収益は10,867百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は4,400百万円(前年同期は320百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,829百万円(同83.6%増)となった。営業収益は前年同期比横ばいにとどまったものの、訴訟回収金の計上もあり利益は大幅増益を記録した。セグメント別では、日本金融事業は保証業務・債権回収業務ともに引き続き順調に推移しており、グループ業績をけん引した。韓国及びモンゴル金融事業は、JT貯蓄銀行の貸出残高の増加などを受けて、増収増益であった。また、東南アジア金融事業は、カンボジアのJトラストロイヤル銀行(以下、JTRB)が貸出残高を順調に積み増したことに加え、インドネシア金融事業でも営業損益が計画を上回ったことなどから、営業損失幅が縮小した。日本金融事業及び東南アジア金融事業の営業損益は、計画を上回って推移している。また、係争中のGroup Lease Holdings(以下、GL)などからの債権回収によって投資事業は大幅増益となり、同社全体の増益に貢献した。以上の結果、利益剰余金の増加により親会社所有者帰属持分比率は17.1%となり、東証1部銀行業平均の4.7%、その他金融業平均の5.8%を大きく上回る、高い安全性を確保した。
3. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の業績予想については、投資事業において訴訟回収金2,420万米ドルを追加計上すること、株式売却予定のJTキャピタルについて非継続事業とする一方で、JT貯蓄銀行については譲渡が確定するまでは継続事業に戻すことなどを前提に見直した。その結果、営業収益42,101百万円(期初予想比9,431百万円増)、営業利益5,503百万円(同5,397百万円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,000百万円(同1,473百万円増)と、大幅な上方修正となった。セグメント別営業利益予想では、韓国及びモンゴル金融事業ではJT貯蓄銀行の継続事業化に伴い、また投資事業でも勝訴判決に伴う履行金の追加受領により、増額修正した。一方、安定した利益を確保している日本金融事業及び、営業損失幅が縮小傾向の東南アジア金融事業では、第1四半期は計画を上振れて進捗しているが、修正後の通期業績予想には反映していない。また投資事業は、GL向け債権については全額引き当て済みであることから、今後も債権回収の都度、収益計上される見通しだ。以上から、2021年12月期の業績は上方修正予想をさらに上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、配当については、期初予想通り年間1.0円への復配を予定する。
4. 成長戦略
これまで同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を確保する一方で、中期的には成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、持続的な成長を目指す方針であった。ただ、現在は「ウィズコロナ」状況下での経済に最適化した事業ポートフォリオの再編に着手している。当面は日本金融事業で安定した利益を計上しながら、東南アジア金融事業の早期黒字化を図る方針であるが、一方で韓国の貯蓄銀行に代わる新たな収益源を確立することが急務であろうと弊社では見ている。なお、韓国のJT親愛貯蓄銀行売却の際に取得したNexus Bank<4764>の優先株式については、株価が転換価額を上回っており、同社グループの企業価値を高めるためのM&Aに活用する予定である。代表取締役社長である藤澤信義氏の強力なリーダーシップのもと、成長を促すための新たな一手に注目が集まる。
■Key Points
・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ
・2021年12月期第1四半期は、営業収益は前年同期比横ばいながらも、訴訟回収金の計上もあり大幅増益に
・2021年12月期は大幅な上方修正を発表も、日本金融事業及び東南アジア金融事業が好調に推移していることから、修正予想をさらに上回る着地となる可能性も
・東南アジア金融事業の早期黒字化と、韓国の貯蓄銀行に代わる新たな収益源の確立が課題。株式交換で得たNexus Bankのキャピタルゲイン活用などにより、企業価値を高めるためのM&Aを予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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