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TDCソフト Research Memo(7):重点戦略として推進する高付加価値SIサービスを追求

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2022年3月期業績見通し
TDCソフト<4687>の2022年3月期の連結業績予想については、売上高28,500百万円(前期比4.4%増)、営業利益2,510百万円(同6.4%増)、経常利益2,570百万円(同0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,715百万円(同0.2%増)を見込む。中期経営計画ビジョン「次世代型システムインテグレーター」に基づき、ニーズに対応した次世代型のSI事業へ進化するため、高付加価値SIサービスを追求する。今期においても、中期経営計画の方針は維持し、各種施策を着実に実行していく計画だ。

2. 2022年3月期の重点施策
(1) 機動的な運営を推進するための大規模な組織体制の再編を実施
中期経営計画の経営ビジョン「次世代型システムインテグレーター」を目指すうえで、一層の事業拡大に向けた機動的な運営を推進するため、組織体制を再編し、事業領域、役割の明確を図るとしている。2021年3月期において、コロナ禍によって金融ITソリューション分野で一部案件の延伸または一時中断、対面営業の制限によって受注活動に影響が出ているが、同分野の業績立て直しを図るべく、金融顧客の多様化するニーズへの対応を強化するため、金融システム業務本部は顧客業務に密着した付加価値の高いビジネス推進を目指す金融システム業務本部と、デジタル技術やデザイン志向を駆使した価値創出を目指す金融ビジネスデザイン事業本部の2本体制に再編した。その他、公共法人システム事業本部ではエンタープライズアジャイルビジネス市場の対応強化のため、エンタープライズアジャイル推進部を新設。次世代SI事業推進部をデジタルシフト推進部として再編したほか、営業本部、ソリューション事業本部、経営企画本部などにおいても、機動的な運営を推進するための大規模な組織体制の再編を行っている。

(2) 事業拡大に向けた投資の強化
2022年3月期の投資計画については、前年実績から1.6倍以上の投資計画を策定している。DXの潮流が加速するなか、重点分野の事業の拡大、高収益化を推進するうえで、アジャイル関連事業とセキュリティ関連事業のほか、今後主流になると見込む要素技術の獲得に向けた成長投資を積極的に行う計画である。これにより新規事業や高付加価値分野のさらなる拡大を狙う。

3. 事業分野別の業績見通し
ITコンサルティング&サービス分野の売上高2,850百万円(前期比15.9%増)を見込んでおり、データ分析基盤関連案件の需要が継続することから、拡大基調を維持できると見ている。金融ITソリューション分野は売上高13,900百万円(同4.7%増)を計画しており、前期にコロナ禍の影響から延伸した案件の売上形状のほか、SoE、Sol領域の拡大によって、増収を見込む。公共法人ITソリューション分野は売上高8,000百万円(同0.7%増)を見込んでおり、製造業や運輸業向けの開発案件を継続することで、堅調に推移すると予想している。さらに、モビリティ分野などさらなる成長を目指し積極的に対応する。プラットフォームソリューション分野は売上高3,750百万円(同3.8%増)を計画。通信業や官公庁向けのITインフラ案件は継続を見込んでおり、さらにクラウドニーズの高まりによってさらなる拡大を計画している。

4. 中期経営計画
同社が現在掲げている中期経営計画(2019年4月から2022年3月)は「Shift to the Smart SI」だ。(1)「高付加価値SIサービスの追求」(2)「SIモデル変革の推進」を主要戦略に据え、市場の潜在ニーズを捉え、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型のシステムインテグレーション(SI)事業へと進化することをビジョンに掲げている。

中計の方向性自体に変更は加えられていないものの、2021年2月24日付で業績目標を修正した。中計最終期である2022年3月期の従来目標は売上高30,000百万円、営業利益2,700百万円と設定されていたが、売上高28,500百万円、営業利益2,450百万円にそれぞれ引き下げている。コロナ禍の影響により、一時中断や延伸する案件が発生したことが修正の背景だ。

ただし、本中計における最重要事項は、「事業の高付加価値化(収益性の向上)」及び「事業体質の改善・変革」にあると弊社では考えている。計画数値の修正背景については、あくまで案件の一時中断や延伸であり、同社の競争力低下ないし引き合いが減少したというわけではない。実際、同社を巡る事業環境は良好な印象だ。逆に前述した最重要事項である「事業の高付加価値化」については、営業利益率ベースで2020年3月期の7.9%、2021年3月期の8.6%、2022年3月期(※見通し)の8.8%と着実に改善を見せている。

また、2021年5月11日付で新任社外取締役候補者について発表がされたが、NTTデータ経営研究所の代表取締役社長等を務めた川島祐治氏を社外取締役として迎える予定だ(※2021年6月29日開催の定時株主総会において正式決議)。同氏の豊富な経験と幅広い見識も新たに加わり、事業の高付加価値化をさらに加速していくと弊社では期待している。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)




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