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テラスカイ Research Memo(1):中期的に年率20%前後の高成長が続く見通しで、公共分野での実績も増え始める

注目トピックス 日本株
■要約

テラスカイ<3915>は、クラウドシステムの開発・導入支援を行うクラウド・インテグレーターで、Salesforceを中心に導入件数は5,000件を超える。クラウドシステムの開発支援ツールやグループウェアサービス「mitoco」など自社開発製品の販売を行っているほか、子会社の(株)BeeX(ビーエックス)で、Amazon Web Services(以下、AWS)の導入支援、及びSAPシステムのクラウド移行支援などを展開している。

1. 2021年2月期の業績概要
2021年2月期の連結業績は、売上高で前期比19.8%増の11,144百万円、営業利益で同7.5%増の779百万円と過去最高業績を更新し、期初計画(売上高10,728百万円、営業利益520百万円)に対しても上回って着地した。期初段階では積極的な人材採用による人件費、教育費の増加や、新たに設立したタイ子会社の立ち上げ負担を見込み増収減益で計画していたが、クラウドシステムの導入案件が想定以上に伸長したこと、タイ子会社の事業活動が新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響で進まず、費用が当初計画よりも抑えられたことが上振れ要因となった。

2. 2022年2月期の業績見通し
2022年2月期の連結業績は、売上高で前期比18.1%増の13,159百万円、営業利益で同31.2%減の536百万円を見込む。売上高については引き続きSalesforceやAWSなどのクラウドシステム導入案件が増加することに加えて、自社開発製品となるグループウェアサービス「mitoco」の契約件数増加で2ケタ増収が続く見通し。一方、利益面では2021年1月に新設した(株)リベルスカイや同年2月に新設した(株)テラスカイ・テクノロジーズの立ち上げ費用の増加、量子コンピューター関連の研究開発を行う(株)Quemix、並びにタイ子会社の事業活動費用を計画に織り込むなど、将来の成長に向けた先行投資費用の増加により減益を見込んでいる。特に、テラスカイ・テクノロジーズについては、クラウド人材の慢性的な不足を解消するため、未経験者の採用及び育成を行い、同社及び同社の顧客先に派遣を行う事業を展開していく予定となっており、初年度で100名程度の採用を計画している。育成して派遣できるまでの期間として数ケ月かかるため、初年度は計画上赤字を見込んでいる。同事業が軌道に乗れば、今まで人的リソースの問題で生じていた受注機会ロスも低減されることが期待される。期末時点のグループ従業員数は800名弱と前期末比で約180名の増加を見込んでいる。なお、直近も受注状況については依然、好調に推移しており、2022年2月期もフル稼働の状況が続きそうだ。

3. 今後の成長戦略
国内のパブリック・クラウドサービス市場は、今後も高成長が続くものと予測されている。コロナ禍を契機に企業のデジタルトランスフォーメーションに対する取り組みを加速する動きが鮮明になってきており、同社もテラスカイ・テクノロジーズを通じた人材育成を進めながら開発能力を増強し、業界平均以上の売上成長を目指していく。また、従来はSalesforceとAWSの導入案件が中心であったが、新たにGoogle Cloud Platform(GCP)関連の案件にも注力すべく、子会社(株)リベルスカイを立ち上げた。GCPはPaaS市場でAWS、Microsoft Azureに続く3番手だが、ビッグデータ分析・AI活用の際に用いられる「BigQuery」は低コストかつ高速処理性能を強みに需要が拡大している。2021年2月に子会社化したAI技術開発のアイフォーカス・ネットワーク(株)などとも連携しながら、GCP領域においても事業拡大を目指していく方針となっている。さらに、新たな市場として公共分野にも注力している。具体的には、コロナ禍収束後の観光振興、並びに地方経済活性化を後押しするため、セールスフォース・ドットコム、JTBと連携して地方自治体や観光事業者向けにSalesforceの導入支援を2020年からスタートしている。導入件数はまだ少ないが、2022年以降、各自治体等で導入が本格拡大する見込みで、同社収益にも貢献するものと期待される。

■Key Points
・コロナ禍でクラウドシフトが加速、2021年2月期業績は過去最高を連続更新
・2022年2月期は子会社の先行投資負担を織り込み、保守的に増収減益で計画
・年率20%前後の売上成長を継続していく方針、観光産業の復興と地域DX推進を目的とした自治体向けSalesforceの導入も拡がる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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