サイバーコム Research Memo(6):コロナ禍の影響を見極める必要があることから、期初計画を据え置く
[21/09/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2021年12月期業績見通し
サイバーコム<3852>の2021年12月期の業績は、売上高で前期比5.3%増の14,400百万円、営業利益で同2.7%増の850百万円、経常利益で同0.8%増の850百万円、当期純利益で同4.2%増の572百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で51.5%、営業利益で63.2%と計画を上回っているものの、コロナ禍が続くなかで、今後開発プロジェクトの着手もしくは拡大を予定している案件について、中断あるいは延伸される可能性が出てきているためだ。特に、コロナ禍が長引くことでマイナスの影響を受ける業界に関しては、2021年に予定していたIT投資を先送りする動きが出てくるリスクがあると見ている。一方、費用面では下期にイベント出展費用や研修費用等の経費が一部増加するものの、そのほかはコロナ禍におけるリモートワーク体制の継続により、当初計画よりも抑制される可能性が高い。
2021年12月期の基本方針として、「『ビジネス改革!』〜オンライン時代の対応力強化〜」を掲げ、インサイドセールス及びデジタルマーケティングの強化により、成長分野での新規受注や新規顧客の開拓に取り組んでおり、その成果も一部出始めている。下期のソフトウェア開発事業の売上動向については、5G関連や製造業・流通業向け開発案件が引き続き好調に推移する見通しとなっているほか、金融向けについても過去に生命保険会社向けに開発したシステムのノウハウの横展開が進みつつあり、下期の回復が見込まれる。また、前期からの減少傾向が続いていた車載向けについても売上はほぼ下げ止まっており、今後は自動運転を中心としたCASE関連の受注拡大に取り組むべく、顧客と協業しながら技術力の向上を図っていく考えだ。
サービス事業の売上動向については、5G基地局の評価検証サービスが好調に推移するほか、クラウド移行、セキュリティ対策案件などSI案件も堅調な推移が見込まれる。また、自社プロダクトについても「Cyber Smartシリーズ」製品や「楽々セキュアコネクト」の着実な成長に加えて、「Cyber Position Navi」の売上貢献が期待される。
費用面では、技術者不足解消に向けた積極的な新卒及び中途採用の強化による人財確保や、オンライン研修及び技術教育の高度化による人財育成に加え、会社の信頼性向上に向けたセキュリティ対策強化、働き方改革の推進に向けた関連費用の増加を見込むと同時に、その他の経費に関しては抑制していく方針だ。
(1) 営業対応力の強化
重点施策の1つ目である営業対応力の強化では、「新しい営業手法の確立と徹底的な効率化」「スピード、先回り営業による大型・高収益プロジェクトの受注獲得」に取り組んでいる。
「新しい営業手法の確立と徹底的な効率化」としては、インサイドセールス(電話やメール、Web会議システム等での営業)とフィールドセールス(訪問型営業)の役割とKPIを明確にして協働しながら、営業の生産性向上を図っていくことに加えて、新サービスやコンテンツをメニュー化し、自社Webサイトに公開していくことで、新規リードの獲得に取り組んでいる。また、同社では新たな取り組みとして、2021年7月より管理本部に「営業部」と「営業推進室」を新設した。インサイドセールスからフィールドセールスへの効率的な橋渡しや、全体の方向性を決定する組織となり、各事業本部の営業部隊と連携を図ることで、営業の生産性をさらに向上させる。
また、「スピード、先回り営業による大型・高収益プロジェクトの受注獲得」では、需要が拡大している分野を早期に情報収集し、提案型営業により受注を獲得していくほか、チャットツールを活用した商談のスピード化やメルマガ配信によるプッシュ型営業により、新規受注の獲得に取り組んでいく。
(2) 人財育成と確保
人財の育成と確保に関しては、中長期的な成長を図っていく上でも重要な経営課題として継続的に取り組んでいる。5Gや自動運転など先進技術を用いたシステム開発案件を多く受注していくために、スペシャリスト人財(開発と構築が両方ともできるハイブリッド技術者、専門特化技術者)の増強と、技術者研修の拡充並びに高度化(プロジェクト管理、階層別、コミュニケーション&ネゴシエーション研修等)に取り組んでいる。
新入社員教育に関しては、実践教育の拡充による研修内容の高度化、未経験者教育の実践(研修期間の延長)、入社1年目から3年目までのフォローアップ研修(毎年)などを行っている。2020年12月期はコロナ禍で新卒社員の研修がオンライン研修となったため研修期間が例年よりやや長期化したが、2021年12月期は前年の経験を活かして、オンライン研修期間も短縮できており、新入社員の早期戦力化につながっている。
2021年春の新卒社員数は122名(前年比4名増)と過去最高の採用数となり、2022年春もほぼ同様の人員を採用する予定だ。また、外注パートナーとのリレーション強化や新規パートナーの開拓も着実に進んでおり、受注能力の拡大に取り組んでいる。働き方改革については、引き続き残業時間の削減や有給休暇の取得促進、多様な働き方を支える制度(在宅勤務の拡充、テレワークの推進、短縮勤務、育児・介護休業)の充実、サイバーコムキャリアアドバイザー制度(入社3年目までの社員をサポート)、オフィス環境の改善、モチベーションアップ施策(サイバーコムアワード表彰等)などに取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2021年12月期業績見通し
サイバーコム<3852>の2021年12月期の業績は、売上高で前期比5.3%増の14,400百万円、営業利益で同2.7%増の850百万円、経常利益で同0.8%増の850百万円、当期純利益で同4.2%増の572百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で51.5%、営業利益で63.2%と計画を上回っているものの、コロナ禍が続くなかで、今後開発プロジェクトの着手もしくは拡大を予定している案件について、中断あるいは延伸される可能性が出てきているためだ。特に、コロナ禍が長引くことでマイナスの影響を受ける業界に関しては、2021年に予定していたIT投資を先送りする動きが出てくるリスクがあると見ている。一方、費用面では下期にイベント出展費用や研修費用等の経費が一部増加するものの、そのほかはコロナ禍におけるリモートワーク体制の継続により、当初計画よりも抑制される可能性が高い。
2021年12月期の基本方針として、「『ビジネス改革!』〜オンライン時代の対応力強化〜」を掲げ、インサイドセールス及びデジタルマーケティングの強化により、成長分野での新規受注や新規顧客の開拓に取り組んでおり、その成果も一部出始めている。下期のソフトウェア開発事業の売上動向については、5G関連や製造業・流通業向け開発案件が引き続き好調に推移する見通しとなっているほか、金融向けについても過去に生命保険会社向けに開発したシステムのノウハウの横展開が進みつつあり、下期の回復が見込まれる。また、前期からの減少傾向が続いていた車載向けについても売上はほぼ下げ止まっており、今後は自動運転を中心としたCASE関連の受注拡大に取り組むべく、顧客と協業しながら技術力の向上を図っていく考えだ。
サービス事業の売上動向については、5G基地局の評価検証サービスが好調に推移するほか、クラウド移行、セキュリティ対策案件などSI案件も堅調な推移が見込まれる。また、自社プロダクトについても「Cyber Smartシリーズ」製品や「楽々セキュアコネクト」の着実な成長に加えて、「Cyber Position Navi」の売上貢献が期待される。
費用面では、技術者不足解消に向けた積極的な新卒及び中途採用の強化による人財確保や、オンライン研修及び技術教育の高度化による人財育成に加え、会社の信頼性向上に向けたセキュリティ対策強化、働き方改革の推進に向けた関連費用の増加を見込むと同時に、その他の経費に関しては抑制していく方針だ。
(1) 営業対応力の強化
重点施策の1つ目である営業対応力の強化では、「新しい営業手法の確立と徹底的な効率化」「スピード、先回り営業による大型・高収益プロジェクトの受注獲得」に取り組んでいる。
「新しい営業手法の確立と徹底的な効率化」としては、インサイドセールス(電話やメール、Web会議システム等での営業)とフィールドセールス(訪問型営業)の役割とKPIを明確にして協働しながら、営業の生産性向上を図っていくことに加えて、新サービスやコンテンツをメニュー化し、自社Webサイトに公開していくことで、新規リードの獲得に取り組んでいる。また、同社では新たな取り組みとして、2021年7月より管理本部に「営業部」と「営業推進室」を新設した。インサイドセールスからフィールドセールスへの効率的な橋渡しや、全体の方向性を決定する組織となり、各事業本部の営業部隊と連携を図ることで、営業の生産性をさらに向上させる。
また、「スピード、先回り営業による大型・高収益プロジェクトの受注獲得」では、需要が拡大している分野を早期に情報収集し、提案型営業により受注を獲得していくほか、チャットツールを活用した商談のスピード化やメルマガ配信によるプッシュ型営業により、新規受注の獲得に取り組んでいく。
(2) 人財育成と確保
人財の育成と確保に関しては、中長期的な成長を図っていく上でも重要な経営課題として継続的に取り組んでいる。5Gや自動運転など先進技術を用いたシステム開発案件を多く受注していくために、スペシャリスト人財(開発と構築が両方ともできるハイブリッド技術者、専門特化技術者)の増強と、技術者研修の拡充並びに高度化(プロジェクト管理、階層別、コミュニケーション&ネゴシエーション研修等)に取り組んでいる。
新入社員教育に関しては、実践教育の拡充による研修内容の高度化、未経験者教育の実践(研修期間の延長)、入社1年目から3年目までのフォローアップ研修(毎年)などを行っている。2020年12月期はコロナ禍で新卒社員の研修がオンライン研修となったため研修期間が例年よりやや長期化したが、2021年12月期は前年の経験を活かして、オンライン研修期間も短縮できており、新入社員の早期戦力化につながっている。
2021年春の新卒社員数は122名(前年比4名増)と過去最高の採用数となり、2022年春もほぼ同様の人員を採用する予定だ。また、外注パートナーとのリレーション強化や新規パートナーの開拓も着実に進んでおり、受注能力の拡大に取り組んでいる。働き方改革については、引き続き残業時間の削減や有給休暇の取得促進、多様な働き方を支える制度(在宅勤務の拡充、テレワークの推進、短縮勤務、育児・介護休業)の充実、サイバーコムキャリアアドバイザー制度(入社3年目までの社員をサポート)、オフィス環境の改善、モチベーションアップ施策(サイバーコムアワード表彰等)などに取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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