オークファン Research Memo(1):2021年9月期は増収ながら減益にて着地、「注力事業」への先行投資を開始
[21/12/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
オークファン<3674>は、「RE-INFRA COMPANY」※をコンセプトとして、膨大な蓄積データとAIにより在庫価値を可視化・最適化する「在庫価値ソリューション事業」と、企業在庫の流通を支援する「商品流通プラットフォーム事業」の2軸により、BtoB卸売市場のDX化(業務の効率化等)や社会課題となっている廃棄ロス削減に向けたワンストップサービスを提供している。主なサービスには、相場検索・価値比較サービス「aucfan.com」や国内最大級のBtoB仕入れサイト「NETSEA」、返品・型落ち品・滞留在庫などの流動化支援サービス「NETSEAオークション」などがあり、中小企業・個人事業主(副業を含む)を中心とする小売・流通業向けの在庫流動化支援ソリューションを展開している。創業来、蓄積してきた商品売買データは約700億件を超え、ビジネス利用アカウント数は140万を超える。EC市場やリユース市場の拡大をはじめ、個人の副業ニーズや法人の商品在庫流動化ニーズの高まりなどを背景として、同社独自の価値提供により順調に事業を拡大してきた。今後も、「モノの再流通インフラ」の構築を通じて、成長を加速していく構想を描いている。
※同社の存在意義を再定義したもの(2020年10月公表)。「新たにゼロから生み出すのではなく、今、目の前にある価値を見つめ直す。オークファンは社会の様々な『Re』(再び)を統合した唯一無二のインフラを構築していく会社でありたい」という思いを表現した造語。
2. 2021年9月期の業績
2021年9月期の業績は、売上高が前期比6.0%増の8,344百万円、営業利益を同28.9%減の583百万円と増収ながら、将来に向けた事業整理や先行投資の実施により減益にて着地した。売上高は「インキュベーション事業」(ベンチャー投資にかかる株式の一部売却)が増収に大きく寄与。一方、主力事業については、中核となる「NETSEA」及び「NETSEAオークション」の流通額が順調に拡大するとともに、「aucfan.com」が堅調に推移したものの、撤退を決定した事業の縮小や新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた「マーケティング支援売上」(広告運用代行等)の落ち込み等により緩やかな伸びにとどまった。また、営業減益となったのは、流通額拡大のための先行投資などが理由である。一方、事業の選択と集中を決断し、「注力事業」に経営資源を集中投下する戦略へと踏み切ったところは、今後に向けて注目すべきポイントと言える。
3. 2022年9月期の業績予想
2022年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比37.7%減の5,200百万円、営業利益を同82.9%減の100百万円と大幅な減収減益を見込んでいる。減収予想となっているのは、「撤退事業」による影響のほか、「インキュベーション事業」における株式売却の減少によるものである。一方、「注力事業」の売上高については、前期比35.0%増の4,800百万円と大きく伸長する見通しとなっている。特に、積極投資の継続により流通額を前期比約1.5倍に拡大することで、「NETSEA」及び「NETSEAオークション」の成長を加速していく。利益面についても、「撤退事業」からの損益改善が見込まれるものの、「インキュベーション事業」における株式売却益の減少のほか、「注力事業」への大規模な先行投資(約6億円)により大幅な営業減益となる見通しである。
4. 今後の方向性
同社は、現時点で具体的な中期経営計画(数値目標)の公表はしていない。ただ、巨大な国内BtoB卸売市場をはじめ、深刻化している商品在庫の廃棄ロス、今後拡大が見込まれるリバースロジスティクス(返品市場)を対象とし、社会課題の解決に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける方向性であり、同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」(在庫流動化のワンストップソリューション)の確立により、現在の約10倍となる流通高1兆円以上の実現を視野に入れている。弊社でも、同社の目指す方向性は社会的意義やポテンシャルが大きいうえ、同社の優位性も発揮できることから、圧倒的なポジションを獲得できる可能性も十分にあると見ている。今後は、いかに他社に先駆けて市場を切り開き、プラットフォームの価値を高めていくのかが、同社の成長性を判断するうえで重要なテーマと言えよう。
■Key Points
・2021年9月期は「インキュベーション事業」の寄与や「注力事業」の伸びにより増収となったものの、流通額拡大に向けた先行投資等により減益
・事業の選択と集中を実施し、「注力事業」に経営資源を集中投下する戦略へ転換
・2022年9月期は、「注力事業」への積極投資により大幅な減益を見込むものの、流通額を前期比約1.5倍へ拡大させる計画
・同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」の構築により、国内BtoB卸売市場のDX化や廃棄ロス問題の解決に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける戦略
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 会社概要
オークファン<3674>は、「RE-INFRA COMPANY」※をコンセプトとして、膨大な蓄積データとAIにより在庫価値を可視化・最適化する「在庫価値ソリューション事業」と、企業在庫の流通を支援する「商品流通プラットフォーム事業」の2軸により、BtoB卸売市場のDX化(業務の効率化等)や社会課題となっている廃棄ロス削減に向けたワンストップサービスを提供している。主なサービスには、相場検索・価値比較サービス「aucfan.com」や国内最大級のBtoB仕入れサイト「NETSEA」、返品・型落ち品・滞留在庫などの流動化支援サービス「NETSEAオークション」などがあり、中小企業・個人事業主(副業を含む)を中心とする小売・流通業向けの在庫流動化支援ソリューションを展開している。創業来、蓄積してきた商品売買データは約700億件を超え、ビジネス利用アカウント数は140万を超える。EC市場やリユース市場の拡大をはじめ、個人の副業ニーズや法人の商品在庫流動化ニーズの高まりなどを背景として、同社独自の価値提供により順調に事業を拡大してきた。今後も、「モノの再流通インフラ」の構築を通じて、成長を加速していく構想を描いている。
※同社の存在意義を再定義したもの(2020年10月公表)。「新たにゼロから生み出すのではなく、今、目の前にある価値を見つめ直す。オークファンは社会の様々な『Re』(再び)を統合した唯一無二のインフラを構築していく会社でありたい」という思いを表現した造語。
2. 2021年9月期の業績
2021年9月期の業績は、売上高が前期比6.0%増の8,344百万円、営業利益を同28.9%減の583百万円と増収ながら、将来に向けた事業整理や先行投資の実施により減益にて着地した。売上高は「インキュベーション事業」(ベンチャー投資にかかる株式の一部売却)が増収に大きく寄与。一方、主力事業については、中核となる「NETSEA」及び「NETSEAオークション」の流通額が順調に拡大するとともに、「aucfan.com」が堅調に推移したものの、撤退を決定した事業の縮小や新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた「マーケティング支援売上」(広告運用代行等)の落ち込み等により緩やかな伸びにとどまった。また、営業減益となったのは、流通額拡大のための先行投資などが理由である。一方、事業の選択と集中を決断し、「注力事業」に経営資源を集中投下する戦略へと踏み切ったところは、今後に向けて注目すべきポイントと言える。
3. 2022年9月期の業績予想
2022年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比37.7%減の5,200百万円、営業利益を同82.9%減の100百万円と大幅な減収減益を見込んでいる。減収予想となっているのは、「撤退事業」による影響のほか、「インキュベーション事業」における株式売却の減少によるものである。一方、「注力事業」の売上高については、前期比35.0%増の4,800百万円と大きく伸長する見通しとなっている。特に、積極投資の継続により流通額を前期比約1.5倍に拡大することで、「NETSEA」及び「NETSEAオークション」の成長を加速していく。利益面についても、「撤退事業」からの損益改善が見込まれるものの、「インキュベーション事業」における株式売却益の減少のほか、「注力事業」への大規模な先行投資(約6億円)により大幅な営業減益となる見通しである。
4. 今後の方向性
同社は、現時点で具体的な中期経営計画(数値目標)の公表はしていない。ただ、巨大な国内BtoB卸売市場をはじめ、深刻化している商品在庫の廃棄ロス、今後拡大が見込まれるリバースロジスティクス(返品市場)を対象とし、社会課題の解決に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける方向性であり、同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」(在庫流動化のワンストップソリューション)の確立により、現在の約10倍となる流通高1兆円以上の実現を視野に入れている。弊社でも、同社の目指す方向性は社会的意義やポテンシャルが大きいうえ、同社の優位性も発揮できることから、圧倒的なポジションを獲得できる可能性も十分にあると見ている。今後は、いかに他社に先駆けて市場を切り開き、プラットフォームの価値を高めていくのかが、同社の成長性を判断するうえで重要なテーマと言えよう。
■Key Points
・2021年9月期は「インキュベーション事業」の寄与や「注力事業」の伸びにより増収となったものの、流通額拡大に向けた先行投資等により減益
・事業の選択と集中を実施し、「注力事業」に経営資源を集中投下する戦略へ転換
・2022年9月期は、「注力事業」への積極投資により大幅な減益を見込むものの、流通額を前期比約1.5倍へ拡大させる計画
・同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」の構築により、国内BtoB卸売市場のDX化や廃棄ロス問題の解決に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける戦略
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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