SBSHD Research Memo(1):M&A戦略やIT×LTによる競争力向上、EC物流の強化で持続的成長を目指す
[22/03/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
SBSホールディングス<2384>は、3PL(物流一括受託サービス)の大手で、積極的なM&Aと物流施設の開発及び流動化による独自ビジネスモデルで成長を続けている。2018年8月にリコーロジスティクス(株)(現 SBSリコーロジスティクス(株))を子会社化したことに続き、2020年11月に東芝ロジスティクス(株)(現 SBS東芝ロジスティクス(株))を子会社化するなど大型M&Aを実現させ、2021年は3PL事業者の国内トップティア(5位以内)に入ったものと見られる。
1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期の連結業績は売上高で前期比56.9%増の403,485百万円、営業利益で同88.9%増の20,706百万円と大幅な増収増益となり、4期連続で過去最高を更新した。SBS東芝ロジスティクスの連結効果に加えて、既存グループ会社もEC等の宅配や食品物流が堅調に推移したほか、前期に新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で落ち込んだ企業間物流も大幅に回復したことが主因だ。なお、SBS東芝ロジスティクスの業績寄与分は売上高で111,410百万円、営業利益で6,558百万円(のれん償却額控除前)となっている。また、不動産事業も「南港物流センター」を一括売却したことにより売上高で同82.3%増、営業利益で同39.0%増と大きく伸長した。
2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期の連結業績は売上高で前期比6.6%増の430,000百万円、営業利益で同3.8%増の21,500百万円となる見通し。物流事業については既存グループ会社の売上で2〜3%の増加を見込んでいるほか、新たに子会社化した古河物流(株)(現 SBS古河物流(株))の売上約155億円が上乗せ要因となる。利益面では各グループの本社機能を移転・集約化したことに伴う移転費用並びに賃借料の増加や従業員制服の刷新費用、PMI※費用等の増加により減益を見込んでいる。一方、不動産事業は「物流センター横浜金沢」の売却により、営業利益で同18.4%増を見込んでおり、物流事業の減益分を不動産事業の増益でカバーする計画となっている。ただ、例年保守的な傾向があることから、今後国内景気が一段と冷え込むようなことがなければ上振れする可能性はあると弊社では見ている。
※PMIとはM&A後の統合効果を最大化するための統合プロセスのこと。基幹システムの入れ替えなども含む。
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、「非連続的な成長戦略」と「自律的な成長戦略」を組み合わせることでシナジーを創出し、持続的な成長を目指していく方針を打ち出している。このうち「非連続的な成長戦略」では、積極的なM&Aとその後のPMIによるシナジー創出を図る。2018年にグループ化したSBSリコーロジスティクスでは、3年間で売上高を23%伸ばし、旧親会社以外の新規顧客の売上比率を38%から49%に引き上げることに成功している。SBS東芝ロジスティクスでも今後、システムの統合を進めたうえで、同様の取り組みを推進して事業規模を拡大していく予定だ。一方、「自律的な成長戦略」としては、市場拡大を続けるEC物流に注力し、EC物流売上高を現在の300億円規模から2030年までに1,000億円規模への拡大を目指していく。また、物流センターの新規開発に加えて、「IT×LT」を積極的に導入していくことでコスト競争力の強化を図り、規模の拡大と同時に収益性の向上につなげていく。物流施設の延床面積は2021年12月末の76.5万坪に対して、計画中の案件を含めると96.6万坪となる。これらが稼働すれば当面の売上高目標である5,000億円も射程圏に入ることになり、今後のさらなる成長が期待される。
■Key Points
・3PLと物流施設の流動化ビジネスを組み合わせた独自ビジネスモデルと積極的なM&Aにより成長を続ける
・2021年12月期はM&A効果や企業間物流の回復により大幅な増収増益を達成
・2022年12月期は本社移転やPMI費用の増加を不動産事業の増益で吸収し、増収増益が続く見通し
・M&A戦略や「IT×LT」の積極導入によりグループシナジーを創出し、持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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SBSホールディングス<2384>は、3PL(物流一括受託サービス)の大手で、積極的なM&Aと物流施設の開発及び流動化による独自ビジネスモデルで成長を続けている。2018年8月にリコーロジスティクス(株)(現 SBSリコーロジスティクス(株))を子会社化したことに続き、2020年11月に東芝ロジスティクス(株)(現 SBS東芝ロジスティクス(株))を子会社化するなど大型M&Aを実現させ、2021年は3PL事業者の国内トップティア(5位以内)に入ったものと見られる。
1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期の連結業績は売上高で前期比56.9%増の403,485百万円、営業利益で同88.9%増の20,706百万円と大幅な増収増益となり、4期連続で過去最高を更新した。SBS東芝ロジスティクスの連結効果に加えて、既存グループ会社もEC等の宅配や食品物流が堅調に推移したほか、前期に新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で落ち込んだ企業間物流も大幅に回復したことが主因だ。なお、SBS東芝ロジスティクスの業績寄与分は売上高で111,410百万円、営業利益で6,558百万円(のれん償却額控除前)となっている。また、不動産事業も「南港物流センター」を一括売却したことにより売上高で同82.3%増、営業利益で同39.0%増と大きく伸長した。
2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期の連結業績は売上高で前期比6.6%増の430,000百万円、営業利益で同3.8%増の21,500百万円となる見通し。物流事業については既存グループ会社の売上で2〜3%の増加を見込んでいるほか、新たに子会社化した古河物流(株)(現 SBS古河物流(株))の売上約155億円が上乗せ要因となる。利益面では各グループの本社機能を移転・集約化したことに伴う移転費用並びに賃借料の増加や従業員制服の刷新費用、PMI※費用等の増加により減益を見込んでいる。一方、不動産事業は「物流センター横浜金沢」の売却により、営業利益で同18.4%増を見込んでおり、物流事業の減益分を不動産事業の増益でカバーする計画となっている。ただ、例年保守的な傾向があることから、今後国内景気が一段と冷え込むようなことがなければ上振れする可能性はあると弊社では見ている。
※PMIとはM&A後の統合効果を最大化するための統合プロセスのこと。基幹システムの入れ替えなども含む。
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、「非連続的な成長戦略」と「自律的な成長戦略」を組み合わせることでシナジーを創出し、持続的な成長を目指していく方針を打ち出している。このうち「非連続的な成長戦略」では、積極的なM&Aとその後のPMIによるシナジー創出を図る。2018年にグループ化したSBSリコーロジスティクスでは、3年間で売上高を23%伸ばし、旧親会社以外の新規顧客の売上比率を38%から49%に引き上げることに成功している。SBS東芝ロジスティクスでも今後、システムの統合を進めたうえで、同様の取り組みを推進して事業規模を拡大していく予定だ。一方、「自律的な成長戦略」としては、市場拡大を続けるEC物流に注力し、EC物流売上高を現在の300億円規模から2030年までに1,000億円規模への拡大を目指していく。また、物流センターの新規開発に加えて、「IT×LT」を積極的に導入していくことでコスト競争力の強化を図り、規模の拡大と同時に収益性の向上につなげていく。物流施設の延床面積は2021年12月末の76.5万坪に対して、計画中の案件を含めると96.6万坪となる。これらが稼働すれば当面の売上高目標である5,000億円も射程圏に入ることになり、今後のさらなる成長が期待される。
■Key Points
・3PLと物流施設の流動化ビジネスを組み合わせた独自ビジネスモデルと積極的なM&Aにより成長を続ける
・2021年12月期はM&A効果や企業間物流の回復により大幅な増収増益を達成
・2022年12月期は本社移転やPMI費用の増加を不動産事業の増益で吸収し、増収増益が続く見通し
・M&A戦略や「IT×LT」の積極導入によりグループシナジーを創出し、持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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