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リソル Research Memo(7):シナジーモデルがポートフォリオ効果を発揮

注目トピックス 日本株
■リソルホールディングス<5261>の業績動向

2. 2022年3月期事業部門別の業績動向
コロナ禍でホテル需要の低迷が長引き、ホテル運営事業が収益の足を引っ張る形が続いているが、積極策を講じているその他の事業のカバーで営業黒字を確保したことは、6事業によるシナジーモデルがポートフォリオ効果を発揮したという点で評価できると考える。今後、ホテル運営の業績が大底から回復に転じていく際には、全体業績を押し上げることになると思われる。一方、会計から顧客管理までシステム全体を管理する体制の構築も進めているようであり、今後の生産性改善や収益性向上につながることが期待されている。まさに現在、臥薪嘗胆の中、各施策の効果に雄飛へ向けた光が見え始めてきたような状況といえよう。以下は、各事業の2022年3月期の状況である。

ホテル運営事業の業績は、売上高4,841百万円(前期比18.9%増)、経常損失1,986百万円(前期は経常損失1,709百万円)となった。前期に続きコロナ禍による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返されたことで、インバウンド、国内旅行、ビジネス需要ともに大きな影響を受けたことが主因である。秋口からは感染者数がいったん減少、宿泊稼働率も徐々に上がり始めたが、1月以降はコロナ禍第6波によるまん延防止等重点措置の再発令もあり、大都市エリアを中心に売上へのダメージが大きくなった。特にインバウンドに備えて各社が供給を増やした東京と京都の業況は厳しかったようだが、大都市以外では企業研修など地元に密着したプランやサービスが堅調に推移した。この間、ホテル施設内でのコロナ対策を徹底し、顧客及び従業員の安心安全を最優先した運営サービスに努めるとともに、客室清掃の自営化にも取り組むことで人件費や外注費など各種経費の削減に努めた。また、テレワークやデイユースなど密を避けたサービスを強化、宿泊以外でも利用できるプランを積極的に実施した。

なお、こうした状況を鑑み、2021年11月に開業を予定していた「ホテルリソルトリニティ那覇」は2022年4月1日の開業、12月の予定だった「ホテルリソルステイ秋葉原」は2022年9月以降の開業予定と、新規開業を延期することとなった。一方、茨城県で展開する「スパ&ゴルフリゾート 久慈」は2021年秋に新規ゴルフヴィラ3棟を増設して「ゴルフバケーションクラブ 久慈」の販売を強化した。「フェアウェイフロントヴィラ事業」は、密を避けた安心のプライベートリゾートとして高い人気を誇っている。那須や伊豆高原で展開する「ペット&スパホテル」も、密を避けて自然の中でゆっくりくつろげることからリピーターが増加した。また、新規事業の「リソルステイ事業」では、これも密を避ける傾向や休暇の分散長期化、ワーケーションの広がりなどで貸別荘需要が高まっていることに対応、8施設をオープンするなど積極展開を開始した。

ゴルフ運営事業の業績は、売上高4,724百万円(前期比31.1%増)、経常利益は561百万円(同389.7%増)と、集客と客単価上昇を図ったことで増収増益となった。ゴルフは密を避けた安全な野外スポーツという認識が広がったため、フットワークのよい若者を中心に集客は順調に推移した。リソルカード会員向け企画として「リソルカード会員祭り(来場回数に応じてポイント付与)」をナビステーション導入コースで開催して好評を得るなど、魅力的な会員向け企画を打ち出したことで、リソルカードG会員が15万人、LINE登録者も2万人を超え、リピート化による安定した集客につながった。加えて、プレー単価を需要に合わせて価格変動させる「レベニューマネジメント」の導入により客単価が上昇し、売上拡大につながった。また、ゴルフ場でのキャンプサイト運営など積極的にゴルフ外の収益拡大も図った。さらに、ゴルフ場でのプライベート感と開放感の両立が図れる戸建てスタイルの「フェアウェイフロントヴィラ事業」の一環として、瀬戸内海が一望できる「瀬戸内ゴルフリゾート」で「ゴルフバケーションクラブ 瀬戸内」の会員権販売を開始、好評を得ている。今後、大熱海国際ゴルフクラブなどグループのゴルフ場で開発を進めていく計画である。

リソルの森(CCRC)事業は、コロナ対策を徹底した運営を実施、売上高は2,940百万円(前期比41.3%増)、経常利益は57百万円(前期は経常損失105百万円)となった。宿泊・リゾート部門では、アウトドアリゾート需要を見据えてプールサイドに拡張した新しいグランピングエリア「ラク・レマン」が好評で、増設したグランピングテント(テントキャビン)10棟(12張)は高単価にもかかわらず高い稼働率を示した。宿泊部門では、体験型プログラムなど高付加価値商品やテレワーク時代にチーム力を高められる新しい集合型研修など、ニューノーマルに対応した企画を強化したほか、団体宿泊(合宿・研修)部門では、広大な敷地を生かした「疎」と抗原検査・PCR検査をパッケージにした商品を開発した。ゴルフ部門では、年間を通じたコース改良を重ねることで、顧客からの高い評価を得たことにより、客単価が大幅に改善、また、リゾートエリアとのシナジーによってゴルフ会員権「真名カントリークラブ」、リゾート会員権「ゴルフバケーションクラブ リソルの森」の販売も好調に推移した。このように、テントキャビンからスイートルームまで様々な泊まり方ができ、ゴルフからアスレチックまで多彩な遊び方を体験できる施設として、「DIME」誌の「頑張っている自分へのごほうびに!一度は泊まりたい憧れの宿ランキングTOP10」に選定されるなど人気が高まっており、今後さらなる収益向上が期待できる事業となってきた。

福利厚生事業は、コロナ禍で利用が減り、売上高866百万円(前期比36.0%減)、経常利益35百万円(同73.3%減)となった。だが、先々へ向けて、働く人々の健康と幸せづくりをサポートするサービスの提供を続けた。また、他社との提携などにより、巣ごもり需要に対応したメニューやウェルビーイング関連メニューの拡充を進めたほか、会員の利便性向上につながる機能拡張を図った。なかでも資本提携している(株)アドバンテッジリスクマネジメント(以下「ARM」)との連携を強化、人的交流や顧客の相互紹介を進めたほか、メンタルヘルスケア対策支援や病気などで会社を休業しても所得補償されるGLTD※などARMが強みとする企業向け商品・サービスと、同社の福利厚生サービス「ライフサポート倶楽部」をパッケージ化した「アドバンテッジWell Gage」をリリースした。今後は、従業員の生産性向上とウェルビーイングを同時に実現する新たな福利厚生サービスを開発する一方、利用した分のみが請求される「精算システム」や、企業経由ではなく同社とユーザーが直接つながる仕組みを開発し、競合他社との差別化を図る考えである。

※GLTD:病気などで会社を休業したときに所得が補償される団体長期障害所得補償保険。


再生エネルギー事業は、売上高1,798百万円(前期比45.1%増)、経常利益627百万円(同3.6%増)となった。同事業は売電事業と自家消費型事業を展開しており、売電事業では、福島石川太陽光発電所の発電量最大化を進める一方、「リソルの森」内に1.5MWの太陽光発電施設を建設し売電を開始した。自家消費型事業では、「リソルの森」内施設の稼働や、ゴルフ場などの駐車場を活用したソーラーカーポート事業を開始した。今後、福島石川太陽光第三発電所(約15MW)と福島石川太陽光第四発電所(約1.3MW)の設置を計画しており、脱FIT(固定価格買取制度)となる自家消費型再生エネルギー事業や地産地消型事業などの取り組みを進め、「地球にやさしい」同社グループのイメージリーダーとして持続的に同社をけん引していく考えである。

投資再生事業は、売上高5,730百万円(前期比20.2%減)、経常利益2,150百万円(同38.8%減)となった。販売用不動産としてゴルフ場から用途変換し、ゴルフ場敷地内に開発した福島石川太陽光発電所第二設備(2020年1月より売電開始)の信託受益権の一部を売却した。今後も新規取得ゴルフ場のバリューアップを図りつつ、資産の入れ替えを継続的に実施。また、再生可能エネルギーや脱炭素ニーズを見据え、既存ゴルフ場の一部や新規取得ゴルフ場の再生可能エネルギー転用、脱炭素ニーズを見据えた再エネ権利付与地売却、ヴィラ建設によるリゾート型再生等による新規事業構築を推進していく考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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