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エーバランス Research Memo(11):中期経営計画は想定を上回るペースで進捗、上方修正となる見込み

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
Abalance<3856>は、3ヶ年の中期経営計画(2022年6月期〜2024年6月期)を2021年10月に発表した。同期間を2030年グループビジョン「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指すための助走期間と位置付け、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を成長エンジンとして、グループの持続的成長並びに企業価値の最大化を目指す方針を打ち出した。

3年間でVSUNの業績拡大、ストック型ビジネスの拡大、カーボンフリー事業の強化等に取り組み、中長期目標として2030年度までに国内外の保有発電容量1GW、2030年度の太陽光パネルの年間製造目標8GW(同製造能力2.6GW)を目指す。中期経営計画の業績目標として2024年6月期に売上高59,000百万円、営業利益3,600百万円、経常利益3,100百万円を掲げていたが、前述のとおりVSUNの業績拡大により、売上高は1年目で最終年度の目標値を大幅に超過した。このため、2024年6月期の業績目標について見直しを進めており、まとまり次第公表する予定にしている。

なお、自己資本比率の目標として2024年6月期に20%を掲げており、財務健全性の観点から収益拡大による自己資本の充実を基礎としつつ、多様な資金調達手法の検討を進めていくようだ。

(2) 重点施策
a) VSUNの業績拡大
VSUNは、売上高を2021年6月期の21,013百万円から、2024年6月期に42,000百万円と2倍に拡大する計画であったが、2023年6月期に1,000億円が視野に入ったことから、2024年6月期はさらなる売上規模拡大を目指す。主力の欧州市場では、エネルギー不足により太陽光発電に対する投資が拡大している。また、北米市場や南米市場のほか、中長期では東南アジア市場での売上拡大も期待できる。

太陽光パネル業界では、中国メーカーとの競合となるが、価格競争には組みせず製品の品質・信頼性を生かして売上を拡大する戦略だ。また、セグメント利益率については2022年6月期に1.5%に低下したが、価格転嫁等により2023年6月期は外部環境の急激な悪化がない限りは一定の回復が期待され、2024年6月期も回復傾向が続くものと予想される。旺盛な需要を背景に、能力増強を前倒しで進める予定となっており、当初計画していた3.6GW(現況2.6 GW)からさらに引き上げる可能性も出てきている。

b) ストック型ビジネスの拡大
売電収入による安定収益基盤の確立は、2030年グループビジョンの最重要戦略である。発電所の自社開発による保有化に加えて、大型のM&Aを実行していくことにより成長スピードを加速する考えで、2024年6月期までに発電能力150MWの保有を目指す。

c) 発電所販売(セカンダリー)
ストック型(自社保有)推進過程における売上高の確保を目的として、セカンダリー物件を中心に、高圧・低圧案件等の販売を強化する方針である。また、大手企業との戦略的パートナーシップの構築や明治機械との連携によるソーラーシェアリングシステムの販売拡大などにも取り組む方針だ。

d) カーボンフリー事業の推進
企業や自治体等の再生エネルギー利用ニーズ(RE100等)に応えるため、競争力があり付加価値の高いNONFIT申請によるPPAモデル※でのサービス展開にも取り組む。グリーンエネルギーを志向する企業が増加傾向にあるほか、「第6次エネルギー基本計画」における太陽光発電の導入目標の達成に向けて公共施設への太陽光発電設備の導入推進が打ち出されるなど、PPAモデルでの参入機会は増加する見通しでビジネスチャンスと捉えることができる。そのほか、省エネ機器の提供や省エネ化のコンサルティング等、サービスメニューの拡充にも取り組む考えだ。

※PPAモデルとは、「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略で、電力の需要家がPPA事業者に敷地や屋根などのスペースを提供し、PPA事業者が太陽光発電システムなどの発電設備の無償設置と運用・保守を行い、需要家からの売電収入によって収益を獲得するモデル。


e) 光触媒事業/IT事業
光触媒事業では、大手不動産、ホテル、大型イベント会場、ヘルスケア分野(病院、介護施設)等を主な顧客層として、「光触媒LIFE」事業を積極的に展開し、FC/代理店を現在の100社超からさらに増やす計画だ。また、明治機械との連携による国内の養豚場、養鶏場向けへの展開や海外市場の開拓にも取り組む方針である。一方、IT事業についてはM&A戦略によって事業領域を拡大しながら成長を目指す。

(3) 中長期的な企業価値向上に向けた施策
中長期的な企業価値向上に向けた施策として、同社は以下のポイントに取り組む方針を示している。

・VSUNの業績拡大、持続的な成長、及び利益率の改善
・自家消費案件(ノンフィット、ノンファーム)の申請強化、ソーラー・シェアリングの推進、脱炭素化を目指す企業(SBT、RE100等)や自治体に対する新たな事業機会の訴求・ソリューションの提示
・再生エネルギー分野を中心としたM&Aの実行、多様な資金調達手段の確保
・自己資本比率の計画的な向上(財務健全化)
・VSUNのベトナム「UPCoM店頭市場」IPOに向けて、株式公開制度への登録
・ESGレーティング・スコアを意識した情報開示(TCFD)、英文開示の拡充
・戦略的なパートナーシップ、有力企業・総合商社等との提携推進
・プライム市場への指定替え 等

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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