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TDCソフト Research Memo(6):2023年3月期第2四半期は増収増益での進捗(2)

注目トピックス 日本株
■TDCソフト<4687>の業績動向

4. 主要施策の状況
同社グループは「次世代型システムインテグレーター」を目指し、市場の潜在ニーズを捉え、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型のシステムインテグレーション(SI)事業へと進化することをビジョンに掲げ、2019年4月から2022年3月における中期経営計画「Shift to the Smart SI」を推進してきた。今回、新たに2022年4月から2025年3月における中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」を策定。今後3年間はその中期経営計画に基づいた経営を推し進める方針だ。

主要戦略としては「高付加価値SIサービスの追求」と「SIモデル変革の推進」に、Plusとして「事業領域の拡大」を掲げる。「高付加価値SIサービスの追求」においては、重点分野の事業の拡大、高収益化を推進するうえで、アジャイル開発事業とセキュリティ関連事業を重点戦略分野としている。顧客の潜在ニーズを捉え、アジャイル、セキュリティ等の最新の要素技術等を活用し、高付加価値サービスの提供と時間や手間などを含めたユーザコストの低減を両立したインテグレーションサービスである次世代型SI事業が順調に拡大し、2023年3月期第2四半期の売上高構成比は23.4%と前年同期の16.2%から順調に伸びているほか、事業の拡大やコスト削減の取り組みにより、収益性が向上している。アジャイル開発事業の売上高は着実に増加しているほか、セキュリティ関連事業についてはシステムのライフサイクルを意識したトータルセキュリティソリューションサービスを提供しており、通期の売上高で前期実績を上回る見込みである。

「SIモデル変革の推進」においては高生産性と高品質を両立するSIプロセスの整備をイノベーション的アプローチで実現することを目指している。顧客へのサービス品質水準を向上させるために、ハイスキル人材を多くのプロジェクトでシェアリングをする等の活動を実施。また、プロジェクトのトラブルを撲滅するために、独自のプロジェクトパフォーマンス評価制度を導入し、計画利益率から低下するプロジェクトを着実に減少させることに成功している。

「事業領域の拡大」においては、投資フェーズと位置付けている。既存のSI事業領域を軸に新たなビジネスモデルに必要なケイパビリティ(組織として持つ、他社より優位な強み)を獲得し、新たな領域へ事業を拡大するため、セールス&マーケティング本部にプロダクトセールス部、マーケティング・プロモーション部を新設。さらにビジネスイノベーション本部にサービス企画部、R&D推進部、コンサルティング部を新設した。これらによって、「SI事業」において次世代型SI事業の拡大、維持・保守領域などマネージドサービスによるビジネスボリュームの拡大を図る。「コンサル事業」においては、ナレッジの蓄積やメソッド化を図り次の事業拡大を目指すほか、既存のDX/ITコンサルやSAFeコンサルのさらなる拡大と技術教育サービスの拡充・拡大を進める。「サービス・製品販売事業」においては、蓄積ナレッジを活用した新たな自社製品の販売事業の拡大や、マーケティング機能を強化し、ユーザーニーズやシーズ(商品やサービス開発)を捉えた製品やサービスの販売を行う。

また、上述の施策を実現するためには、技術とともに人材リソースの確保が必須であり、将来に向けた積極的な投資を推進している。技術投資の拡大において、新規事業や高付加価値分野のさらなる拡大を狙い要素技術への投資を継続しており、アジャイル・セキュリティ・UXD・クラウドネイティブ・データアナリティクスプラットフォームに、新たにフロントエンドフレームワーク・オートメーションマネージドサービスへの投資を加えた。人材への投資については、前期から2倍の新卒採用を確保するなど積極的な人材確保施策を推進しており、2023年3月期第2四半期の人材投資費用は前年同期から215百万円増加した。また、教育投資や人材確保を目的としたブランディング投資を推進するなど、多角的な投資施策を展開している。同社は新卒採用者の早期育成に強みを持っているが、今後は人材リソースの確保を目的としてパートナーとの連携強化やM&Aも活用する方針である。今後の業績において、人件費の増加はやや重しとなる可能性があるものの、企業のモダナイゼーションの動きが活発化してくるとみられるなか、IT投資の増加を見据えた将来への成長投資として前向きに評価したい。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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