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霞ヶ関キャピタル Research Memo(3):2023年8月期第2四半期は大幅な増収増益で過去最高を達成

注目トピックス 日本株
*15:13JST 霞ヶ関キャピタル Research Memo(3):2023年8月期第2四半期は大幅な増収増益で過去最高を達成
■業績動向

1. 2023年8月期第2四半期の業績概要
2023年8月期第2四半期における日本経済は、社会経済活動の正常化に向けた動きが加速した一方で、ウクライナ・ロシア情勢などに起因したコスト高の継続や急速な為替相場の変動などの要因により、景況感の方向性は依然として不明瞭な状況である。霞ヶ関キャピタル<3498>の主たる事業領域である不動産市場においては、日本銀行による10年国債金利の変動許容幅拡大があったものの投資家の投資意欲への影響は限定的であった一方、コロナ禍による影響が大きかったホテルや商業施設等のアセットは稼働率の改善とともに投資家の投資意欲の高まりが顕著に見られる。

このような状況のなか、同社は引き続き社会的潮流に着目した成長性及び社会的意義のある事業分野への投資及びコンサルティングに注力するとともに、投資機会の創出及び投資案件の収益最大化に努めた。その結果、2023年8月期第2四半期の連結業績は、売上高16,489百万円(前年同期比55.8%増)、営業利益1,438百万円(同214.9%増)、経常利益1,268百万円(同460.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益816百万円(同524.3%増)と大幅な増収増益となり、過去最高の売上・利益を達成した。同社ではいずれの領域でもバランスよく活動しているが、特に物流施設開発用地の売却や長期運用型ファンド組成の成功報酬等が売上をけん引した。用地売却後は投資家が開発を進めるものの、同社はプロジェクトマネジメントで施行管理することにより継続して関わる予定だ。利益面では、各事業の規模拡大による人員増や、コロナ禍による移動制限の緩和に伴う国内外を含めた積極的な営業展開によって販管費が同34.5%増となったものの、売上総利益が同70.3%増となり、大幅な増益となった。通期計画に対する進捗率は、売上高62.2%、営業利益44.9%、経常利益47.0%、親会社株主に帰属する四半期純利益44.1%と、上期としては過去最高の進捗となっている。従来は各利益が下期に偏重していたが、2023年8月期は上期と下期が平準化している点は評価に値する。

2023年8月期第2四半期のトピックスとしては、以下の2点が挙げられる。

(1) FAV HOTELを対象とした長期運用型ファンドの組成
2023年2月に、FAV HOTEL10件(資産総額約135億円)を対象とした長期運用型ファンドを組成した。これにより、開発投資家からの成功報酬、ブリッジ物件の売却、ファンドセットアップ、ファンド管理報酬などの収益を受け取ることとなる。コロナ禍の厳しい状況でもホテル開発を推進してきた同社の戦略が投資家からも評価された証左と言えよう。なお、今回の長期運用型ファンド組成は同社のビジネスモデルを完遂した初の事例であり、今後もホテルの新規開発案件が10件程度になればファンド化を進めていく計画としている。ファンド化にはある程度の規模が必要なことから、物流施設やヘルスケア関連施設も将来的には対象になる見込みだ。

(2) 日本銀行の長期金利の変動許容幅拡大の影響
日本銀行は、2022年12月に開催した金融政策決定会合で10年物国債金利の許容変動幅を±0.25%から±0.5%に拡大した。この結果、一時的に長期金利が上昇したものの現在は従前水準近くに戻っており、また短期金利については影響がほとんど見られない。同社の借入はTIBOR+スプレッドの金利設定が多く、短期金利への影響が見られない足元の状況では同社の支払利息への影響(直接影響)は現れていない。また、同社開発物件に対する投資家の要求利回りには大きな変化はなく、不動産価格の下落(間接影響)も現れていない。同社のビジネスモデルの特長である「不動産を保有しない開発」は、金利上昇局面でも十分に戦えることを目的に作ったモデルである。また、仮に金利が上昇し、その結果不動産価格が下落しても、同社にとっては仕入のチャンスであり、影響を軽微に抑えることができる。さらには、他社が動きづらいマーケットになった場合でも、独自のビジネスモデルにより、同社は俊敏に軌道修正を行える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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