霞ヶ関キャピタル Research Memo(7):物流施設開発事業を大幅に拡大。新規事業にも積極的に取り組む(3)
[23/05/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:17JST 霞ヶ関キャピタル Research Memo(7):物流施設開発事業を大幅に拡大。新規事業にも積極的に取り組む(3)
■事業別の取り組み
4. ファンド事業
霞ヶ関キャピタル<3498>は、新規事業としてレジデンスファンド事業に参入した。1号案件として、2022年1月に、デジタル技術を活用した不動産・インフラを中心とする実物資産のアセットマネジメント事業を行っている三井物産デジタル・アセットマネジメントと都心賃貸マンション16件を組み込む私募ファンドを組成し、運用を開始した。この共同アセットマネージャーは、不動産管理ができる会社として同社が選定したものだ。同事業は、2022年8月期に都心や地方の賃貸マンションに投資する私募ファンドを4件組成し、事業規模は合計470億円規模に達した。今後も新たなファンドを組成し、着実にAUMを積み上げる方針だ。
レジデンスファンド事業参入の背景には、賃貸住宅市場の需要が回復傾向であること、低金利環境が継続するなかで国内外投資家の物件取得意欲は旺盛で、取引価格水準が高値圏で推移していることがある。物流施設、ホテルに続く新規アセットとして賃貸住宅に注目しており、レジデンスファンド組成を積極的に進めることで、AUM拡大を目指す。
一方、不動産投資の東京一極集中を是正したいという同社の考えも背景にある。J-REITの資産の内訳を見てみると、首都圏のアセットが資産額ベースで80%を超えているが、地方都市にも投資適格なアセットはあり、それらを投資商品に置き換えるべきと同社は考えている。この具体策として、三井物産デジタル・アセットマネジメントと私募ファンドを組成し、運用を開始した。同社はレジデンスファンド物件をシードアセットに、デジタル証券として小口化投資商品の開発運用分野へ参入することを目指しており、ファンドの規模拡大と魅力的な投資商品の提供を目指す。なお、同事業は同社のビジネスモデルである成果報酬志向型ファンドマネージャーとしての収益貢献を想定していることから、将来にわたって同社の業績及び企業価値の向上に寄与すると考えられる。
5. 海外投資事業
海外投資事業としては、ASEANで最もインフラが整っているタイと、人口が現在の2億6,000万人から3億人に増加すると予想されるインドネシアに現地法人を設立し、ビジネスの機会を探っている。タイは、日本とアジア、そして世界をつなぐ「ハブ」となる立地であり、高速鉄道・路線複線化計画により国内交通インフラの整備が進められている。同社は2018年8月に、世界中に複数の上場会社を傘下に持つ、世界有数のコングロマリットCharoen Pokphand Groupの関連子会社であるAlpha Capital Enterprises Limitedの株式を取得し、そのネットワークを今後の事業展開に活用する考えだ。また、インドネシアは多くの島々で成り立っており、太陽光をはじめとする分散型電源が求められていることから、同社の持つノウハウを活用する計画だ。なお、インドネシアの不動産デベロッパーであるPT Baruna Realty (GREENWOODS)とジョイントオペレーションスキームを用いた投資契約を締結し、戸建て住宅開発プロジェクト「Citaville Pilar Cikarang」を推進している。インドネシアは消費市場をけん引する中間所得層の拡大が進み、住宅をはじめとする不動産市場の需要拡大が期待されることから、同国でのさらなる事業拡大を目指す。
同社の海外投資事業の役割は、事業を企画し、適切なファイナンスで資金を調達して販売するスキームを作り上げ、日本の投資家、デベロッパー、事業会社に、海外への水先案内人として投資機会や事業機会を提供することである。当面は大きな進展はないものの、コロナ禍による渡航制限がなくなったことで同社では営業活動を再開しており、長期的には有望な事業分野と言えよう。
6. ESG
2015年9月の国連サミットで採択され掲げられたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に基づき、誰一人取り残さない社会を目指して世界中で取り組みが進んでいる。同社も事業活動を通してSDGsの達成に積極的に貢献し、持続可能な社会の実現のため社会問題解決に取り組むためのESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス))経営を行っている。また、資金調達の多様化及び安定化、サスティナビリティ経営に継続的に取り組む考えだ。
物流施設開発事業では、開発する物流施設すべてを環境に配慮した施設にすることを目指している。将来的にREIT組成を目指している同社にとって、開発段階から環境に配慮することは重要と言えよう。具体的には、環境認証取得、クールルーフィング/反射ルーフィングの導入検討、冷凍冷蔵倉庫での自然冷媒の活用、LED等高効率照明器具の導入検討、太陽光発電施設の導入検討、社会活動への取り組みなどを推進している。また、環境に配慮した設備開発も進めており、2023年8月期第2四半期末時点で、千葉県市川市、千葉県船橋市、埼玉県ふじみ野市、埼玉県加須市の4物件でCASBEE※不動産評価認証「Aランク」を取得しており、その他の物流施設についても「Aランク」以上の認証取得を目指す方針だ。このほかにも、資金調達に関するフレームワーク(グリーンローン、ソーシャルローン、サスティナビリティ・リンク・ファイナンス)で環境性や社会性が評価され、2023年3月に(株)格付投資情報センターよりセカンドオピニオンを取得した。
※建築物の環境性能で評価し格付けする建築環境総合性能評価システム。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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■事業別の取り組み
4. ファンド事業
霞ヶ関キャピタル<3498>は、新規事業としてレジデンスファンド事業に参入した。1号案件として、2022年1月に、デジタル技術を活用した不動産・インフラを中心とする実物資産のアセットマネジメント事業を行っている三井物産デジタル・アセットマネジメントと都心賃貸マンション16件を組み込む私募ファンドを組成し、運用を開始した。この共同アセットマネージャーは、不動産管理ができる会社として同社が選定したものだ。同事業は、2022年8月期に都心や地方の賃貸マンションに投資する私募ファンドを4件組成し、事業規模は合計470億円規模に達した。今後も新たなファンドを組成し、着実にAUMを積み上げる方針だ。
レジデンスファンド事業参入の背景には、賃貸住宅市場の需要が回復傾向であること、低金利環境が継続するなかで国内外投資家の物件取得意欲は旺盛で、取引価格水準が高値圏で推移していることがある。物流施設、ホテルに続く新規アセットとして賃貸住宅に注目しており、レジデンスファンド組成を積極的に進めることで、AUM拡大を目指す。
一方、不動産投資の東京一極集中を是正したいという同社の考えも背景にある。J-REITの資産の内訳を見てみると、首都圏のアセットが資産額ベースで80%を超えているが、地方都市にも投資適格なアセットはあり、それらを投資商品に置き換えるべきと同社は考えている。この具体策として、三井物産デジタル・アセットマネジメントと私募ファンドを組成し、運用を開始した。同社はレジデンスファンド物件をシードアセットに、デジタル証券として小口化投資商品の開発運用分野へ参入することを目指しており、ファンドの規模拡大と魅力的な投資商品の提供を目指す。なお、同事業は同社のビジネスモデルである成果報酬志向型ファンドマネージャーとしての収益貢献を想定していることから、将来にわたって同社の業績及び企業価値の向上に寄与すると考えられる。
5. 海外投資事業
海外投資事業としては、ASEANで最もインフラが整っているタイと、人口が現在の2億6,000万人から3億人に増加すると予想されるインドネシアに現地法人を設立し、ビジネスの機会を探っている。タイは、日本とアジア、そして世界をつなぐ「ハブ」となる立地であり、高速鉄道・路線複線化計画により国内交通インフラの整備が進められている。同社は2018年8月に、世界中に複数の上場会社を傘下に持つ、世界有数のコングロマリットCharoen Pokphand Groupの関連子会社であるAlpha Capital Enterprises Limitedの株式を取得し、そのネットワークを今後の事業展開に活用する考えだ。また、インドネシアは多くの島々で成り立っており、太陽光をはじめとする分散型電源が求められていることから、同社の持つノウハウを活用する計画だ。なお、インドネシアの不動産デベロッパーであるPT Baruna Realty (GREENWOODS)とジョイントオペレーションスキームを用いた投資契約を締結し、戸建て住宅開発プロジェクト「Citaville Pilar Cikarang」を推進している。インドネシアは消費市場をけん引する中間所得層の拡大が進み、住宅をはじめとする不動産市場の需要拡大が期待されることから、同国でのさらなる事業拡大を目指す。
同社の海外投資事業の役割は、事業を企画し、適切なファイナンスで資金を調達して販売するスキームを作り上げ、日本の投資家、デベロッパー、事業会社に、海外への水先案内人として投資機会や事業機会を提供することである。当面は大きな進展はないものの、コロナ禍による渡航制限がなくなったことで同社では営業活動を再開しており、長期的には有望な事業分野と言えよう。
6. ESG
2015年9月の国連サミットで採択され掲げられたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に基づき、誰一人取り残さない社会を目指して世界中で取り組みが進んでいる。同社も事業活動を通してSDGsの達成に積極的に貢献し、持続可能な社会の実現のため社会問題解決に取り組むためのESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス))経営を行っている。また、資金調達の多様化及び安定化、サスティナビリティ経営に継続的に取り組む考えだ。
物流施設開発事業では、開発する物流施設すべてを環境に配慮した施設にすることを目指している。将来的にREIT組成を目指している同社にとって、開発段階から環境に配慮することは重要と言えよう。具体的には、環境認証取得、クールルーフィング/反射ルーフィングの導入検討、冷凍冷蔵倉庫での自然冷媒の活用、LED等高効率照明器具の導入検討、太陽光発電施設の導入検討、社会活動への取り組みなどを推進している。また、環境に配慮した設備開発も進めており、2023年8月期第2四半期末時点で、千葉県市川市、千葉県船橋市、埼玉県ふじみ野市、埼玉県加須市の4物件でCASBEE※不動産評価認証「Aランク」を取得しており、その他の物流施設についても「Aランク」以上の認証取得を目指す方針だ。このほかにも、資金調達に関するフレームワーク(グリーンローン、ソーシャルローン、サスティナビリティ・リンク・ファイナンス)で環境性や社会性が評価され、2023年3月に(株)格付投資情報センターよりセカンドオピニオンを取得した。
※建築物の環境性能で評価し格付けする建築環境総合性能評価システム。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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