高島 Research Memo(1):2024年3月期第2四半期は増収かつ利益急伸
[24/01/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:01JST 高島 Research Memo(1):2024年3月期第2四半期は増収かつ利益急伸
■要約
高島<8007>は、建材セグメント、産業資材セグメント、電子・デバイスセグメントの3セグメント※で事業を展開している。バリューチェーンの上流工程である企画・設計から下流の施工・サポートまでの幅広い範囲にわたって顧客ニーズに合わせて商流をデザインし、顧客の省エネ化、省力化に貢献するとともに、サステナビリティ社会の実現に寄与している「サステナの先進商社」である。直近10年間の親会社株主に帰属する当期純利益は10億円以上と安定した業績で、堅実な収益基盤と財務基盤を構築している。同社は、中期経営計画「サステナV(バリュー)」と2021年11月に開示した上場維持基準の適合に向けた計画書の下、戦略的投資の実行による持続的成長企業への転換に注力している。同計画書においてはROE(自己資本利益率)を8.0%以上、ROIC(投下資本利益率)の基準を6.0%以上と具体的に設定しており、資本コストを意識した事業活動・投資活動を行うなかで、今後のさらなる企業価値向上が期待される。
※ほかに賃貸不動産セグメントがあるが、規模が小さいため割愛している。
1. 業績動向
2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高で前年同期比8.2%増の42,010百万円、営業利益で同70.6%増の1,018百万円と増収及び大幅増益となった。建材セグメント、産業資材セグメントがそろって増収増益と好調だったことが連結ベースの業績拡大に寄与した。特に建材セグメントでは、物流施設、工場案件などの工事受注が好調だったことなどを受け、セグメント利益が急伸した。これにより、連結ベースの営業利益も前年同期比70.6%増と急拡大し、売上高を上回る伸びを見せた。こうしたなか、営業利益率も前期比プラス0.9ポイントの2.4%まで上昇しており、足元で収益性が高まっている状況である。一方、電子・デバイスセグメントは、市場環境の影響を受け、減収減益となった。なお同社は、2023年4月1日付で実施した組織変更に伴い、第1四半期連結会計期間より、従来「産業資材セグメント」に区分していた同社の機能分野のうち、ビルメンテナンス事業及び膜構造関連事業を「建材セグメント」に変更している。
2024年3月期の連結業績に関して、同社は上方修正を行った。修正後の業績予想は、売上高で前期比18.0%増の94,000百万円、営業利益で同30.3%増の2,300百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。2024年3月期第2四半期に建材セグメントと産業資材セグメントが好調だったことに加えて、2023年6月に買収した岩水開発(株)が業績拡大に寄与することが見込まれることなどから、当初想定よりも売上と各利益をそろって上方修正した格好だ。さらに、2023年12月には固定資産の譲渡により特別利益の計上が見込まれることを受け、2023年11月に開示した業績予想について、親会社株主に帰属する当期純利益のみ上方修正を行った。
2. 中期経営計画
同社は2020年12月、2023年3月期を最終年度とする前中期経営計画「サステナX(クロス)」を発表した。サステナXはその前の中期経営計画「サステナ2020」の基本戦略である「ダントツ戦略」「生産性の向上」「コーポレート・ガバナンスの強化」は踏襲しつつ、「ダントツ戦略のさらなる進化」「生産性向上による強靭なコスト競争力獲得」「コーポレート・ガバナンスの強化」によって、バリューチェーンにおける設計から施工・サポートに至るまで各機能の形成・拡充を一層強く推進し、長期的な成長基盤の確立に向けて、事業構造・ポートフォリオの転換を図ってきた(最終年度である2023年3月期に親会社株主に帰属する当期純利益を1,400百万円にするという目標は達成)。
そして、2023年3月には次期中期経営計画として「サステナV(バリュー)」(2024年3月期〜2026年3月期)を策定した。超長期的な目標として2050年に「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げ、市場の成長機会を捉えた価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時に実現することを目指している。数値目標としては、2026年3月期に連結売上高1,100億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円、ROE8%以上、ROIC6.0%以上などを掲げている。各事業のキャッシュや政策保有株式売却などにより創出したキャッシュと、外部資金を有効に活用することで、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを高めていく。
3. 上場維持基準の適合に向けた取り組み
東京証券取引所(以下、東証)の市場区分の見直しに対応し2021年11月、同社は上場維持基準の適合に向けた計画書を提出した。プライム市場の上場維持基準を充たすことを目標に、これまでの堅実経営から、戦略的投資を実行することで持続的成長企業へと転換している。同計画書の数値目標に関しては、2022年11月と2023年12月に上方修正しており、2026年3月期までに親会社株主に帰属する当期純利益19億円(当初予想比4億円増)、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上、流通株式時価総額100億円以上、1日平均売買代金2,000万円以上を達成することを目標として掲げている。目標を達成するために「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元施策の充実」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」の観点から企業価値と株主価値の向上を実現していく。また、上場維持基準の経過措置終了時期が2025年3月末に決定したことを受け、「流通株式時価総額」基準の達成時期を2025年3月末に前倒しした。前倒しでの達成に向けて、今後も各種施策を実行していく構えだ。
■Key Points
・2024年3月期第2四半期は増収かつ大幅増益
・資本コストを意識した戦略的投資や提供機能の付加価値向上が増収増益に寄与
・2024年3月期通期見通しを上方修正、岩水開発のM&Aなどがプラス要因
・次期中期経営計画「サステナV」の業績目標値も上方修正。効率的な成長投資により、2026年3月期に親会社株主に帰属する当期純利益19億円、ROE8%以上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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■要約
高島<8007>は、建材セグメント、産業資材セグメント、電子・デバイスセグメントの3セグメント※で事業を展開している。バリューチェーンの上流工程である企画・設計から下流の施工・サポートまでの幅広い範囲にわたって顧客ニーズに合わせて商流をデザインし、顧客の省エネ化、省力化に貢献するとともに、サステナビリティ社会の実現に寄与している「サステナの先進商社」である。直近10年間の親会社株主に帰属する当期純利益は10億円以上と安定した業績で、堅実な収益基盤と財務基盤を構築している。同社は、中期経営計画「サステナV(バリュー)」と2021年11月に開示した上場維持基準の適合に向けた計画書の下、戦略的投資の実行による持続的成長企業への転換に注力している。同計画書においてはROE(自己資本利益率)を8.0%以上、ROIC(投下資本利益率)の基準を6.0%以上と具体的に設定しており、資本コストを意識した事業活動・投資活動を行うなかで、今後のさらなる企業価値向上が期待される。
※ほかに賃貸不動産セグメントがあるが、規模が小さいため割愛している。
1. 業績動向
2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高で前年同期比8.2%増の42,010百万円、営業利益で同70.6%増の1,018百万円と増収及び大幅増益となった。建材セグメント、産業資材セグメントがそろって増収増益と好調だったことが連結ベースの業績拡大に寄与した。特に建材セグメントでは、物流施設、工場案件などの工事受注が好調だったことなどを受け、セグメント利益が急伸した。これにより、連結ベースの営業利益も前年同期比70.6%増と急拡大し、売上高を上回る伸びを見せた。こうしたなか、営業利益率も前期比プラス0.9ポイントの2.4%まで上昇しており、足元で収益性が高まっている状況である。一方、電子・デバイスセグメントは、市場環境の影響を受け、減収減益となった。なお同社は、2023年4月1日付で実施した組織変更に伴い、第1四半期連結会計期間より、従来「産業資材セグメント」に区分していた同社の機能分野のうち、ビルメンテナンス事業及び膜構造関連事業を「建材セグメント」に変更している。
2024年3月期の連結業績に関して、同社は上方修正を行った。修正後の業績予想は、売上高で前期比18.0%増の94,000百万円、営業利益で同30.3%増の2,300百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。2024年3月期第2四半期に建材セグメントと産業資材セグメントが好調だったことに加えて、2023年6月に買収した岩水開発(株)が業績拡大に寄与することが見込まれることなどから、当初想定よりも売上と各利益をそろって上方修正した格好だ。さらに、2023年12月には固定資産の譲渡により特別利益の計上が見込まれることを受け、2023年11月に開示した業績予想について、親会社株主に帰属する当期純利益のみ上方修正を行った。
2. 中期経営計画
同社は2020年12月、2023年3月期を最終年度とする前中期経営計画「サステナX(クロス)」を発表した。サステナXはその前の中期経営計画「サステナ2020」の基本戦略である「ダントツ戦略」「生産性の向上」「コーポレート・ガバナンスの強化」は踏襲しつつ、「ダントツ戦略のさらなる進化」「生産性向上による強靭なコスト競争力獲得」「コーポレート・ガバナンスの強化」によって、バリューチェーンにおける設計から施工・サポートに至るまで各機能の形成・拡充を一層強く推進し、長期的な成長基盤の確立に向けて、事業構造・ポートフォリオの転換を図ってきた(最終年度である2023年3月期に親会社株主に帰属する当期純利益を1,400百万円にするという目標は達成)。
そして、2023年3月には次期中期経営計画として「サステナV(バリュー)」(2024年3月期〜2026年3月期)を策定した。超長期的な目標として2050年に「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げ、市場の成長機会を捉えた価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時に実現することを目指している。数値目標としては、2026年3月期に連結売上高1,100億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円、ROE8%以上、ROIC6.0%以上などを掲げている。各事業のキャッシュや政策保有株式売却などにより創出したキャッシュと、外部資金を有効に活用することで、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを高めていく。
3. 上場維持基準の適合に向けた取り組み
東京証券取引所(以下、東証)の市場区分の見直しに対応し2021年11月、同社は上場維持基準の適合に向けた計画書を提出した。プライム市場の上場維持基準を充たすことを目標に、これまでの堅実経営から、戦略的投資を実行することで持続的成長企業へと転換している。同計画書の数値目標に関しては、2022年11月と2023年12月に上方修正しており、2026年3月期までに親会社株主に帰属する当期純利益19億円(当初予想比4億円増)、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上、流通株式時価総額100億円以上、1日平均売買代金2,000万円以上を達成することを目標として掲げている。目標を達成するために「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元施策の充実」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」の観点から企業価値と株主価値の向上を実現していく。また、上場維持基準の経過措置終了時期が2025年3月末に決定したことを受け、「流通株式時価総額」基準の達成時期を2025年3月末に前倒しした。前倒しでの達成に向けて、今後も各種施策を実行していく構えだ。
■Key Points
・2024年3月期第2四半期は増収かつ大幅増益
・資本コストを意識した戦略的投資や提供機能の付加価値向上が増収増益に寄与
・2024年3月期通期見通しを上方修正、岩水開発のM&Aなどがプラス要因
・次期中期経営計画「サステナV」の業績目標値も上方修正。効率的な成長投資により、2026年3月期に親会社株主に帰属する当期純利益19億円、ROE8%以上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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