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富士ソフト Research Memo(4):区分横断的な技術戦略「AIS-CRM」領域を同社の重点技術分野と位置付け

注目トピックス 日本株
*15:14JST 富士ソフト Research Memo(4):区分横断的な技術戦略「AIS-CRM」領域を同社の重点技術分野と位置付け
■事業概要

4. 区分横断的な技術戦略「AIS-CRM」
富士ソフト<9749>は、2017年12月期から区分横断的な技術戦略として「AIS-CRM」領域を重点技術分野に掲げ、新製品・新事業のシーズ創出や既存事業の付加価値向上に注力している。「AIS-CRM」戦略の上位概念には同社のコア・コンピタンスが据えられており、同領域の2023年12月期単体売上高は1,259億円(過去3年の年平均成長率:14.4%増)と単体売上高の約61%を占める存在となっている。

その内訳は、「AI」が開発中心に44億円(過去3年の年平均成長率:26.6%増)、「IoT」が開発中心に31億円(同20.1%増)、「Security」が開発及びライセンスで164億円(同17.5%増)、「Cloud」がライセンス及びSI、インフラ関連、ネットビジネス分野等で671億円(同22.0%増)、「Robot」が開発中心及びPALRO、ロボSI等で52億円(同4.9%減)、「Mobile」が開発及びプロダクト等で69億円(同4.1%減)、「AutoMotive」が開発中心で229億円(同9.3%増)、となっている。特にクラウド分野の好調が目立つほか、セキュリティ分野の取り組みも順調と言える。

セキュリティ分野における一連の動きとしては、2020年11月の(株)レッドチーム・テクノロジーズとの協業(販売店契約の締結)を受けて、同期にインターネットサービスを提供する金融機関を中心とした企業向けに、クラウドソースペンテストプラットフォーム「Synack」を活用した新しいセキュリティサービス(脆弱性診断)の提供を開始したのに続き、2021年6月にはサイバーセキュリティの国内リーディングカンパニーであるFFRIセキュリティとサイバーセキュリティ分野における協業の強化について合意、同年10月にはサイバー攻撃を可視化するセキュリティ対策ソフトウェアであるオープンXDR(Endpoint Detection and Response)のパイオニア的企業Stellar Cyber, Inc.から「2021 1st Half Outstanding Partner Japan」を受賞した。また2024年2月には、ハッカー対策サービスを展開するグローバルセキュリティメーカーであるサイバーセキュリティクラウド<4493>との業務提携を発表すると、AWS環境向けのセキュリティサービスである「CloudFastener(クラウドファスナー)」の開発の協業を行うことで合意している。今後さらに利用が広がると見られるAWSで有力なセキュリティソリューション導入の体制強化を図れたことで、今後この面でのさらなる業績伸長が期待される。本サービスの提供により同社が培ってきたノウハウを活かしたトータルな提案を顧客に行うことで、顧客への提供価値を高める考えである。

一連の技術戦略が成果を実らせつつあるなかで、同社はビジネス上の重点分野を「AIS-CRM」から「DX+AIS-CRM+SD+(5)G2」へとさらに拡大している。DXソリューションやITバリューチェーンの上流工程(SD:サービスデザイン及びITコンサルティング)、(5)G2(通信の5G技術と事業のグローバル展開)という新たな技術分野での取り組み強化を進め、持続的な成長と付加価値の向上を目指している。

このほか、ChatGPTをはじめとするAIのモデルの1つである大規模言語モデル(LLM)が注目され、コミュニケーションや情報収集を飛躍的に簡便化・低コスト化するモデルやツールの登場が期待される。大規模言語モデルはChatGPTに代表される生成型AIの一種であり、人間の言語を理解し人間のように文章を生成することができるプログラムである。今後、大規模言語モデルは、ビジネス・システム開発の生産性に大きな影響を与える可能性があると一般に認知されているが、まず社内で様々な使い方を検証し、ビジネスシーンでも利用できるようにする方針だ。自社内での利用は、社内の業務改善/ビジネス活用を目的とした生成AI技術の検証・検討に活用し、システム開発ビジネスシーンでの様々な適用アイデアの創出も推進する。

社内導入のノウハウは顧客にも提供するとともに、今後は、生成AIを活用するためのトレーニングメニューや顧客の業種・業界で活用可能なサービス提供も目指し、生成AIの検証から導入、運用までの幅広いサービスでDX推進を支援する。同社は、ChatGPTを開発したOpenAI LPの49%の株を保有するマイクロソフトの事業パートナーであることから、マイクロソフトのMicrosoft/Azure OpenAI Serviceを利用し、開発を進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)



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