TOKAI Research Memo(4):エネルギー事業が仕入マージン改善により2ケタ増益に転じる
[24/06/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*17:04JST TOKAI Research Memo(4):エネルギー事業が仕入マージン改善により2ケタ増益に転じる
■業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) エネルギー事業
TOKAIホールディングス<3167>のエネルギー事業の売上高は前期比1.5%減の100,974百万円、営業利益(間接費用等配賦前営業利益で決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同13.7%増の8,399百万円となった。営業利益の増減要因を見ると、高気温の影響(同0.9℃上昇)や外出機会増加等による顧客当たり消費量の減少で10.5億円の減益、人件費の増加(賃上げによる影響額、以下同様)で3.0億円の減益となった一方で、顧客件数の積み上げによる月次課金収入の増加で5.2億円の増益、原料の仕入コスト低下によるマージン改善により18.5億円の増益となった。
LPガス事業の売上高は前期比0.9%増の83,688百万円となった。期末の顧客件数が前期末比33千件増の778千件と増加したことや家庭用ガスの平均販売単価が同4%上昇したことにより、契約世帯当たり販売量の減少や仕入価格に連動する工業用の販売単価下落の影響を吸収した格好だ。家庭用ガスの販売量は約2%減少したものの、LPガス事業全体では工業用・卸売用で大型入札案件を受注したこともあり約4%増となった。なお、顧客件数の増加33千件の内訳を見ると、新規獲得及びM&A・アライアンスによる獲得で55千件、中止・解約で23千件とほぼ前期と同様の傾向となった。エリア別では既存エリア(静岡県及び関東)で14千件増、新規エリアで19千件増とそれぞれ着実に積み上げている。
都市ガス事業の売上高は前期比11.8%減の17,285百万円となった。期末の顧客件数は前期末比横ばいの75千件となったが、仕入コストに連動した原料費調整制度による販売価格引き下げが主な減収要因となった。前期は販売価格上昇により売上高も大きく伸長しており、その反動減と考えられる。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比5.0%増の56,669百万円、営業利益は同7.1%増の5,645百万円と過去最高業績を更新し、おおむね会社計画どおりに着地した。
コンシューマー向け事業については、売上高で前期比0.7%減の24,226百万円と微減収となったものの、営業利益は同38.9%増の778百万円となった。期末の顧客件数は従来型ISPサービス等が前期末比14千件減の393千件となったが、光コラボサービスが同10千件増の373千件、「LIBMO」が同9千件増の80千件となり、全体では同5千件の増加となった。
売上高は従来型ISPサービス等の顧客件数減少に加えて、光コラボサービスのARPUが大手携帯キャリア経由での新規獲得比率上昇により低下したことが減収要因となった。ただ、光コラボサービスの売上総利益への影響はなく、顧客獲得コストも低減することから、利益面ではプラス要因となっている。営業利益は光コラボサービスや従来型ISPサービス等も含めたブロードバンド(従来型ISPサービス等+光コラボサービス)サービスで0.8億円の増益となったほか、「LIBMO」で1.9億円の増益要因となり、顧客獲得コスト等の増加0.5億円を吸収し、合計で2.2億円の増益となった。「LIBMO」についてはサービスメニューの拡充や固定回線とのセットプラン導入等の効果により顧客件数が着実に増加しており、2025年3月期の黒字化が射程圏に入っている。
法人向け事業の売上高は前期比9.8%増の32,442百万円と好調を持続し、営業利益も同3.1%増の4,867百万円と過去最高を連続更新した。ストック収入となる通信回線サービスやクラウドサービスが順調に拡大したほか、システム受託開発部門も需要が旺盛なAWS案件の導入支援を中心に売上を伸ばした。2023年10月にはAWSパートナープログラムの最上位レベルとなる「AWSプレミアティアサービスパートナー」に国内14社目として昇格しており、今後もさらなる拡大が期待される。一方、営業利益は増収効果で4.5億円の増益となったものの、人件費で2.0億円増、データセンターの運営コストとなる電力料金で1.0億円増となったことで利益率はやや低下した。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前期比3.7%増の35,761百万円、営業利益は同0.3%増の6,200百万円と過去最高業績を更新し、おおむね会社計画どおりに着地した。2022年10月に沖縄ケーブルネットワークを子会社化した効果で7億円の増収要因、営業利益で1億円の減益要因となっており、同要因を除いたベースでは2%弱の増収増益であった。
地域密着の事業者として地元の情報発信や番組制作に注力するとともに、大手動画配信事業者と提携するなどコンテンツの充実に努めたこと、またFTTHへの投資により高速インターネットサービスの営業活動を積極的に進めたことが増収増益要因となった。期末の顧客件数は放送サービスで前期末比5千件増の919千件、通信サービスで同21千件増の394千件、合計で同26千件増の1,313千件となり、放送サービスの既存顧客が通信サービスも新規に契約するケースが増加した。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の増加で1.4億円の増益、販管費の削減で0.8億円の増益となり、人件費の増加2.0億円を吸収する格好となった。
(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業の売上高は前期比6.6%減の25,038百万円、営業利益は同7.0%減の1,900百万円と2期連続の減収減益となり、会社計画に対しても下振れて着地した。分譲地の販売が順調に推移したものの、前期に特需のあった土木工事が反動減となったほか、設備工事やリフォームについても低調に推移した。営業利益の増減要因を見ると、建築不動産販売で2.2億円の増益となったが、土木工事及び設備工事で1.5億円、リフォームで1.1億円、人件費の増加で1.0億円の減益となった。
(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前期比2.8%増の7,743百万円、営業利益は同21.6%増の647百万円とおおむね会社計画どおりに着地した。期末の顧客件数は前期末比2千件増の167千件となった。2023年4月より新たに取り扱いを開始した給水型浄水ウォーターサーバー「しずくりあ」で5千件を獲得したことが主因だ。既存の宅配水サービスは3千件減少したことになるが、解約希望の顧客に対して月額平均利用料が安くなる「しずくりあ」を提案し一定数が切り替えたほか、西日本エリアで新規獲得が進んだ。「しずくりあ」に切り替えると月額平均利用料は下がるものの、宅配水の配送費がかからないため利益へのマイナス影響はない。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の増加で2.1億円の増益となり人件費の増加1.0億円を吸収した。
(6) その他・調整額
その他の売上高は前期比9.2%増の5,325百万円となった。介護事業はデイサービスの利用者数増加により同3.6%増の1,411百万円となり、婚礼催事事業も婚礼・宴会の利用件数増加により同25.8%増の1,273百万円となった。また、船舶修繕事業も修繕隻数の増加により同5.3%増の1,800百万円となった。本社費用を含めた営業損失は7,283百万円と同785百万円増加したが、主には賃上げによる人件費増加やシステム開発投資、DX関連投資の増加による。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) エネルギー事業
TOKAIホールディングス<3167>のエネルギー事業の売上高は前期比1.5%減の100,974百万円、営業利益(間接費用等配賦前営業利益で決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同13.7%増の8,399百万円となった。営業利益の増減要因を見ると、高気温の影響(同0.9℃上昇)や外出機会増加等による顧客当たり消費量の減少で10.5億円の減益、人件費の増加(賃上げによる影響額、以下同様)で3.0億円の減益となった一方で、顧客件数の積み上げによる月次課金収入の増加で5.2億円の増益、原料の仕入コスト低下によるマージン改善により18.5億円の増益となった。
LPガス事業の売上高は前期比0.9%増の83,688百万円となった。期末の顧客件数が前期末比33千件増の778千件と増加したことや家庭用ガスの平均販売単価が同4%上昇したことにより、契約世帯当たり販売量の減少や仕入価格に連動する工業用の販売単価下落の影響を吸収した格好だ。家庭用ガスの販売量は約2%減少したものの、LPガス事業全体では工業用・卸売用で大型入札案件を受注したこともあり約4%増となった。なお、顧客件数の増加33千件の内訳を見ると、新規獲得及びM&A・アライアンスによる獲得で55千件、中止・解約で23千件とほぼ前期と同様の傾向となった。エリア別では既存エリア(静岡県及び関東)で14千件増、新規エリアで19千件増とそれぞれ着実に積み上げている。
都市ガス事業の売上高は前期比11.8%減の17,285百万円となった。期末の顧客件数は前期末比横ばいの75千件となったが、仕入コストに連動した原料費調整制度による販売価格引き下げが主な減収要因となった。前期は販売価格上昇により売上高も大きく伸長しており、その反動減と考えられる。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比5.0%増の56,669百万円、営業利益は同7.1%増の5,645百万円と過去最高業績を更新し、おおむね会社計画どおりに着地した。
コンシューマー向け事業については、売上高で前期比0.7%減の24,226百万円と微減収となったものの、営業利益は同38.9%増の778百万円となった。期末の顧客件数は従来型ISPサービス等が前期末比14千件減の393千件となったが、光コラボサービスが同10千件増の373千件、「LIBMO」が同9千件増の80千件となり、全体では同5千件の増加となった。
売上高は従来型ISPサービス等の顧客件数減少に加えて、光コラボサービスのARPUが大手携帯キャリア経由での新規獲得比率上昇により低下したことが減収要因となった。ただ、光コラボサービスの売上総利益への影響はなく、顧客獲得コストも低減することから、利益面ではプラス要因となっている。営業利益は光コラボサービスや従来型ISPサービス等も含めたブロードバンド(従来型ISPサービス等+光コラボサービス)サービスで0.8億円の増益となったほか、「LIBMO」で1.9億円の増益要因となり、顧客獲得コスト等の増加0.5億円を吸収し、合計で2.2億円の増益となった。「LIBMO」についてはサービスメニューの拡充や固定回線とのセットプラン導入等の効果により顧客件数が着実に増加しており、2025年3月期の黒字化が射程圏に入っている。
法人向け事業の売上高は前期比9.8%増の32,442百万円と好調を持続し、営業利益も同3.1%増の4,867百万円と過去最高を連続更新した。ストック収入となる通信回線サービスやクラウドサービスが順調に拡大したほか、システム受託開発部門も需要が旺盛なAWS案件の導入支援を中心に売上を伸ばした。2023年10月にはAWSパートナープログラムの最上位レベルとなる「AWSプレミアティアサービスパートナー」に国内14社目として昇格しており、今後もさらなる拡大が期待される。一方、営業利益は増収効果で4.5億円の増益となったものの、人件費で2.0億円増、データセンターの運営コストとなる電力料金で1.0億円増となったことで利益率はやや低下した。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前期比3.7%増の35,761百万円、営業利益は同0.3%増の6,200百万円と過去最高業績を更新し、おおむね会社計画どおりに着地した。2022年10月に沖縄ケーブルネットワークを子会社化した効果で7億円の増収要因、営業利益で1億円の減益要因となっており、同要因を除いたベースでは2%弱の増収増益であった。
地域密着の事業者として地元の情報発信や番組制作に注力するとともに、大手動画配信事業者と提携するなどコンテンツの充実に努めたこと、またFTTHへの投資により高速インターネットサービスの営業活動を積極的に進めたことが増収増益要因となった。期末の顧客件数は放送サービスで前期末比5千件増の919千件、通信サービスで同21千件増の394千件、合計で同26千件増の1,313千件となり、放送サービスの既存顧客が通信サービスも新規に契約するケースが増加した。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の増加で1.4億円の増益、販管費の削減で0.8億円の増益となり、人件費の増加2.0億円を吸収する格好となった。
(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業の売上高は前期比6.6%減の25,038百万円、営業利益は同7.0%減の1,900百万円と2期連続の減収減益となり、会社計画に対しても下振れて着地した。分譲地の販売が順調に推移したものの、前期に特需のあった土木工事が反動減となったほか、設備工事やリフォームについても低調に推移した。営業利益の増減要因を見ると、建築不動産販売で2.2億円の増益となったが、土木工事及び設備工事で1.5億円、リフォームで1.1億円、人件費の増加で1.0億円の減益となった。
(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前期比2.8%増の7,743百万円、営業利益は同21.6%増の647百万円とおおむね会社計画どおりに着地した。期末の顧客件数は前期末比2千件増の167千件となった。2023年4月より新たに取り扱いを開始した給水型浄水ウォーターサーバー「しずくりあ」で5千件を獲得したことが主因だ。既存の宅配水サービスは3千件減少したことになるが、解約希望の顧客に対して月額平均利用料が安くなる「しずくりあ」を提案し一定数が切り替えたほか、西日本エリアで新規獲得が進んだ。「しずくりあ」に切り替えると月額平均利用料は下がるものの、宅配水の配送費がかからないため利益へのマイナス影響はない。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の増加で2.1億円の増益となり人件費の増加1.0億円を吸収した。
(6) その他・調整額
その他の売上高は前期比9.2%増の5,325百万円となった。介護事業はデイサービスの利用者数増加により同3.6%増の1,411百万円となり、婚礼催事事業も婚礼・宴会の利用件数増加により同25.8%増の1,273百万円となった。また、船舶修繕事業も修繕隻数の増加により同5.3%増の1,800百万円となった。本社費用を含めた営業損失は7,283百万円と同785百万円増加したが、主には賃上げによる人件費増加やシステム開発投資、DX関連投資の増加による。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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