クリアル Research Memo(7):財務健全性はクラウドファンディング特有の影響を除いた貸借対照表をもとに判断
[24/06/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*19:27JST クリアル Research Memo(7):財務健全性はクラウドファンディング特有の影響を除いた貸借対照表をもとに判断
■クリアル<2998>の業績動向
4. 財務状況と経営指標
2024年3月期末における資産合計は、前期末比14,257百万円増の35,749百万円となった。これは主に、現金及び預金の増加1,661百万円、預託金の増加327百万円、販売用不動産の増加13,480百万円、販売用不動産への振替等による有形固定資産の減少541百万円によるものである。
負債合計は、前期末比13,561百万円増の31,942百万円となった。これは主に、短期借入金の増加4,022百万円、事業拡大によるクラウドファンディング預り金の減少171百万円及び匿名組合出資預り金の増加10,413百万円、長期借入金の減少1,126百万円によるものである。短期借入金が676百万円から4,699百万円と大きく増えているが、これは不動産購入とクラウドファンディングによる資金調達との期日がミスマッチする場合に備えたもので、問題となる事由によるものではない。
純資産合計は前期末比695百万円増の3,806百万円となった。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上647百万円による利益剰余金の増加によるものである。
同社の財務状況の特長として、負債の部にクラウドファンディング預り金3,334百万円、匿名組合出資預り金21,283百万円が計上されているが、それと均衡して資産の部に現金及び預金7,859百万円のうちクラウドファンディング関連6,730百万円、販売用不動産24,478百万円のうちクラウドファンディング関連19,179百万円が計上されている。資産合計35,749百万円のうち、72.5%をクラウドファンディング関連の勘定が占めることとなる。なお、匿名組合出資預り金は、匿名組合出資であるため、法的に返済義務を負う性質のものではないが、貸借対照表上では負債として計上される。このことから、実質的な自己資本比率は31.1%と貸借対照表に基づく自己資本比率10.5%に比べて高い状態にあり、流動比率についても貸借対照表からは110.9%となるが実質的には155%となり、財務健全性については問題ない水準と弊社では捉えている。
5. 業績拡大の要因
上記のように同社は業績が好調であるが、そのポイントとなっているのがBtoC向け「CREAL」クラウドファンディングの伸長である。クラウドファンディングの投資家が増加し、同社の資金調達力が上がり、「CREAL」の1ファンド当たりの金額が2024年3月期累計で7.1億円と前期累計5.1億円から約40%増加している。同社は利益率の高い1ファンド30億円規模まで、労力を変えず高い利益率のままで拡大できると見込んでいる。実際、商業施設「CREAL terrace自由が丘」は同社で過去最大となる24.66億円であったが満額募集で調達完了しており、今後もさらなる「CREAL」の業績拡大を期待できる。なお、ファンド用のアセットタイプは2023年3月期末はレジデンスが約75%あったが2024年3月期末は約60%となっている。この理由は、レジデンスはバリューアップできる部分が少なく、利益率の高い案件を見つけにくくなっているため、商業施設、物流施設、ヘルスケア施設などのオペレーショナルアセット(事業運営で収益をあげる施設)に対象を広げているからである。オペレーショナルアセットは運営上のリスクがあるが、同社のアセットマネジメント力を発揮して利回りを高めている模様だ。
BtoC向け「CREAL」クラウドファンディングはニュースサイト等で取り上げられる機会が増え、プロの投資家への知名度がアップするとともに同社の信用力も高まり、大型物件の紹介などにもつながっている。取扱物件数の増加に伴い、売却先となる国内外の機関投資家・超富裕層とのリレーションも強化されている。多くの案件クローズを通じ、売却収益、トランザクション収益、期中収益のすべてが活況となり、「CREAL PRO」の成長要因となっている。同社はBtoCだけでなくBtoBビジネスも幅広く捕捉しており、この事業ポートフォリオも同社の強みとなっている。
SBIグループとの提携も進んでいる。2023年1月にSBIホールディングスと資本業務提携を結んだ後、2024年3月期の第1四半期にはSBI証券のホームページから「CREAL」に送客が開始され、第2四半期にはSBIマネープラザ顧客に「CREAL PB」サービスや「CREAL」ファンドで運用中の不動産の紹介、そしてSBIホールディングス提携金融機関から「CREAL PRO」私募ファンドのノンリコース借入などが始まっている。実際、2024年3月期の「CREAL」投資家の新規獲得における最大の流入経路がSBI証券からの送客によるものであり、今後も一層の発展的取り組みが行われる模様だ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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■クリアル<2998>の業績動向
4. 財務状況と経営指標
2024年3月期末における資産合計は、前期末比14,257百万円増の35,749百万円となった。これは主に、現金及び預金の増加1,661百万円、預託金の増加327百万円、販売用不動産の増加13,480百万円、販売用不動産への振替等による有形固定資産の減少541百万円によるものである。
負債合計は、前期末比13,561百万円増の31,942百万円となった。これは主に、短期借入金の増加4,022百万円、事業拡大によるクラウドファンディング預り金の減少171百万円及び匿名組合出資預り金の増加10,413百万円、長期借入金の減少1,126百万円によるものである。短期借入金が676百万円から4,699百万円と大きく増えているが、これは不動産購入とクラウドファンディングによる資金調達との期日がミスマッチする場合に備えたもので、問題となる事由によるものではない。
純資産合計は前期末比695百万円増の3,806百万円となった。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上647百万円による利益剰余金の増加によるものである。
同社の財務状況の特長として、負債の部にクラウドファンディング預り金3,334百万円、匿名組合出資預り金21,283百万円が計上されているが、それと均衡して資産の部に現金及び預金7,859百万円のうちクラウドファンディング関連6,730百万円、販売用不動産24,478百万円のうちクラウドファンディング関連19,179百万円が計上されている。資産合計35,749百万円のうち、72.5%をクラウドファンディング関連の勘定が占めることとなる。なお、匿名組合出資預り金は、匿名組合出資であるため、法的に返済義務を負う性質のものではないが、貸借対照表上では負債として計上される。このことから、実質的な自己資本比率は31.1%と貸借対照表に基づく自己資本比率10.5%に比べて高い状態にあり、流動比率についても貸借対照表からは110.9%となるが実質的には155%となり、財務健全性については問題ない水準と弊社では捉えている。
5. 業績拡大の要因
上記のように同社は業績が好調であるが、そのポイントとなっているのがBtoC向け「CREAL」クラウドファンディングの伸長である。クラウドファンディングの投資家が増加し、同社の資金調達力が上がり、「CREAL」の1ファンド当たりの金額が2024年3月期累計で7.1億円と前期累計5.1億円から約40%増加している。同社は利益率の高い1ファンド30億円規模まで、労力を変えず高い利益率のままで拡大できると見込んでいる。実際、商業施設「CREAL terrace自由が丘」は同社で過去最大となる24.66億円であったが満額募集で調達完了しており、今後もさらなる「CREAL」の業績拡大を期待できる。なお、ファンド用のアセットタイプは2023年3月期末はレジデンスが約75%あったが2024年3月期末は約60%となっている。この理由は、レジデンスはバリューアップできる部分が少なく、利益率の高い案件を見つけにくくなっているため、商業施設、物流施設、ヘルスケア施設などのオペレーショナルアセット(事業運営で収益をあげる施設)に対象を広げているからである。オペレーショナルアセットは運営上のリスクがあるが、同社のアセットマネジメント力を発揮して利回りを高めている模様だ。
BtoC向け「CREAL」クラウドファンディングはニュースサイト等で取り上げられる機会が増え、プロの投資家への知名度がアップするとともに同社の信用力も高まり、大型物件の紹介などにもつながっている。取扱物件数の増加に伴い、売却先となる国内外の機関投資家・超富裕層とのリレーションも強化されている。多くの案件クローズを通じ、売却収益、トランザクション収益、期中収益のすべてが活況となり、「CREAL PRO」の成長要因となっている。同社はBtoCだけでなくBtoBビジネスも幅広く捕捉しており、この事業ポートフォリオも同社の強みとなっている。
SBIグループとの提携も進んでいる。2023年1月にSBIホールディングスと資本業務提携を結んだ後、2024年3月期の第1四半期にはSBI証券のホームページから「CREAL」に送客が開始され、第2四半期にはSBIマネープラザ顧客に「CREAL PB」サービスや「CREAL」ファンドで運用中の不動産の紹介、そしてSBIホールディングス提携金融機関から「CREAL PRO」私募ファンドのノンリコース借入などが始まっている。実際、2024年3月期の「CREAL」投資家の新規獲得における最大の流入経路がSBI証券からの送客によるものであり、今後も一層の発展的取り組みが行われる模様だ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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