グローバル人材を育む多言語教育の「今」に触れるイベント 開催レポート
[19/03/29]
提供元:PRTIMES
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多言語プレゼンテーション大会「第6回 LMP Youth TOKYO」教育シンポジウム「グローバル社会における多言語の可能性」
多言語教育を提唱するヒッポファミリークラブ(運営/一般財団法人 言語交流研究所、本部/東京都渋谷区、
代表理事/鈴木堅史)は、ことばの自然習得や多言語教育の最新事情、グローバル人材が育つ環境などについて
理解を深めていただくことを目的とした2つのイベントを開催しました。その様子をご報告いたします。
若者による多言語プレゼンテーション大会 第6回 LMP Youth TOKYO
(LEX Multilingual Presentation for Youth TOKYO)
2019年3月10日(日)、東京ビッグサイトの国際会議場で、16歳から25歳の若者30人が3つ以上の
言語を使って社会へメッセージを発信する「多言語プレゼンテーション大会」が開催されました。
6回目の開催となる今回は、動画投稿による予選の結果、日本、韓国、アメリカ、モンゴル、中国、イタリア、メキシコの7カ国から、高校生16人、大学生・社会人14人が登壇。自らの言語体験や留学・国際交流を通じた多様な価値観への気づきや異文化を受け入れる感覚などについて、自分自身のことばで熱く聴衆に語りかけました。力強いことばと体全体から発せられるエネルギーで舞台と会場には一体感が生まれ、若者達の瑞々しい感性から生み出されるパフォーマンスは、集まった1,000人の聴衆に大きな感動を与えました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-817015-0.png ]
審査は、言語学を専門とするマサチューセッツ工科大学のスザンヌ・フリン教授や、言語脳科学者である東京大学大学院の酒井邦嘉教授といった、各界の有識者や専門家などで構成された審査員団により行われました。
その結果、高校生部門は、日本語、英語、イタリア語、フランス語を使ってプレゼンテーションを行った、東京の私立高校に通うイタリア人留学生のアントニオ・ピロッディさん(タイトル「Evolving inside道」)が金賞を受賞しました。
ピロッディさんはイタリア語の歌と共に紋付き袴姿で登場。武士道について書かれた宮本武蔵の書を読んで日本に憧れ留学を果たしたいきさつや、日本の生活では食べ物や着物など、積極的に文化に親しみ、学校の部活では、将棋、剣道、茶道に挑戦していることを紹介しました。“日本人になりたい”という一心で、生活を送るなかでふと感じた、「日本人にあって自分に足りないものはなんだろう?」という疑問。ピロッディさんは、マスクやお辞儀といった、日本人にとっては何でもない日常の習慣から、他人を尊重する、という日本人の心底にある道徳心が、あの「武士道」に通じるものであるということを発見したのです。そして、その道に従うことが、自分自身をより成長させるのだと伝えました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-761710-1.jpg ]
また、大学生・社会人部門は、大学の博士課程に通う青井勇輝さんが金賞を受賞しました。青井さんは0歳のときからヒッポファミリークラブの活動に参加しており、韓国、ロシア、カナダでの国際交流やフランスでの1年間の高校留学を経験しています。「Nature×Nurture -多言語環境が心地いい!-」と題したプレゼンテーションでは、フランスの高校留学時に家族や友人との関わりの中でことばを自然習得した経験を、現在研究している植物の成長ホルモンに関する話と交え、6つの言語(日本語、英語、韓国語、フランス語、スペイン語、カタルーニャ語)を使って語りました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-718981-2.jpg ]
その他には、高校生部門、大学生・社会人部門から、それぞれ銀賞2人、銅賞3人、審査員特別賞2人が選ばれました。表彰式では、審査員長の言語交流研究所・代表理事の鈴木堅史から各受賞者へ、記念のトロフィーと海外体験や留学などヒッポファミリークラブが提供するプログラムに利用可能な副賞が贈られました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-768121-3.jpg ]
2015年1月、ヒッポファミリークラブの活動に参加して育った若者達が自らの多言語体験を世の中に伝える場として始まった多言語プレゼンテーション大会。そこに登壇した若者たちの合計は、今回でのべ約200人となりました。
イベントの企画運営は、立ち上げ当初から現在まで学生有志による実行委員会が担っています。今回はヒッポファミリークラブの本部スタッフなどを含めた17人の実行委員と、高校生と大学生、若手社会人を中心とする約60人のボランティアスタッフが力戦奮闘し、出場者を陰で支えました。プレゼンターとスタッフ全員の健闘を心から称えるとともに、このような大きな催しを皆で協力して作り上げた経験が、彼らの自信につながり、社会での今後の活躍に役立つことを願ってやみません。
次回の多言語プレゼンテーション大会「第7回 LMP Youth TOKYO」は来春を予定しています。言語交流研究所・ヒッポファミリークラブは、今後も多言語教育の素晴らしさをより多くの方に知っていただけるよう、志ある若者に参加していただくことを目指し、この多言語プレゼンテーション大会をさらに開かれた場にしていきたいと考えています。
<多言語プレゼンテーション大会「第6回 LMP Youth TOKYO」 開催概要>
※受賞者や審査員の詳細情報などは下記のオフィシャルサイトをご覧ください
■日 時:2019年3月10日(日)10:00〜16:30
(高校生部門と大学生・社会人部門の二部制で実施)
■場 所:東京ビッグサイト 国際会議場(東京都江東区)
■審査基準:制限時間を厳守していること(高校生部門5分以内、大学生・社会人部門7分以内)
母語を含む3つ以上の言語を使った多言語プレゼンテーションであること
自分自身の多言語体験に基づいた、世界や社会に発信するメッセージであること
プレゼンテーションの工夫
■審査員 :スザンヌ・フリン(マサチューセッツ工科大学 教授)、酒井 邦嘉(東京大学大学院 教授)
など計15人
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イベントの様子をまとめた公式ムービー(約3分30秒)を公開中です。下記URLよりぜひご覧ください。
https://youtu.be/dt05AvtTvmg
各プレゼンテーションのノーカット版映像も4月より順次公開します。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLYX7ioEUbyrH1iKCjQPggF0V901WmqENS
*第一弾 高校生部門 金賞 アントニオ・ピロッディさん 「Evolving inside道」
*第二弾 大学生・社会人部門 金賞 青井勇輝さん 「Nature×Nurture -多言語環境が心地いい!-」
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教育シンポジウム 「グローバル社会における多言語の可能性」
〜最新の言語研究と教育現場の事例から考える〜
2019年3月13日(水)、アルカディア市ヶ谷 私学会館で、多言語教育の最新事情を伝えるシンポジウムが開催されました。ことばの習得や外国語教育、多言語活動の取り組みについて各分野の有識者や専門家が講演を行い、教育現場の先生方やヒッポファミリークラブの会員を中心に250人が聴講に訪れました。
[画像5: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-656895-4.jpg ]
基調講演では、言語学・多言語獲得研究の第一人者であるマサチューセッツ工科大学のスザンヌ・フリン教授が「人間の言語能力は無限」と題し、人間の言語や脳、多言語習得に関して解明されていることと誤解の15項目を発表しました。人間の言語は基本的に一つであること、すなわち日本語や英語、方言といったいくつかの言葉があっても、その核となる部分において同じ基本的性質を共有しているという点がまず強調されました。また、言語習得の臨界期説(ある年齢までは新しい言語を習得できるが、それ以降はできないという説)は誤りであること、習得にかかる時間は年齢に応じて変わるが、人は年齢に関係なく新しい言語を習得できることも紹介されました。よく聞かれる「同時に複数の言語を習得しようとすると混乱する」という考え方が誤りであること、多言語使用が人間の知能(知性)にとって自然な状態である、といった内容が語られました。
[画像6: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-918012-5.jpg ]
いっぽう東京大学大学院の酒井邦嘉教授は、言語脳科学の立場から、環境があれば人間の脳は初めから多言語を獲得できるようにデザインされていると強調されました。フリン教授と同じく、「同時に習得できる言語は一つだけで、同時に複数の言語を習得しようとすれば混乱する」という考え方が誤りで、違う言語を話す両親のもとで育った子どもは、両親の言葉が違うことを自然に受け入れ混同することはない、それは基本的に人間の言語は一つだからである、と解説されました。また、教育現場の先生方に向けて、言語獲得は教育や訓練ではなく、人間本来の生得性を大切にすべきだと説きました。
[画像7: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-675915-6.jpg ]
フリン教授と酒井教授、ヒッポファミリークラブ(一般財団法人 言語交流研究所)は、多言語習得のメカニズムと効果を脳科学的に調査するプロジェクトを2016年に開始しており、今回講演された内容にはこの共同研究も一部反映されています。
教育現場からの報告では、中学や大学の英語の授業で多言語活動を導入し成功した事例が2人の元教師から紹介されました。「多言語をやれば英語も楽ちん」という状況が生まれたことや、「生徒の許容度・受容度が高く、教師もリラックスして『楽しもう』と思えた」という心境が共有されました。
また、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスで昨年12月に行われた「多言語コミュニケーション実践・特別講義」の様子が、現在ヒッポファミリークラブでインターンをしている大学生から紹介されました。
仙台にある尚絅学院大学の森田明彦教授からは、多言語活動は英語教育をより効果的なものにするという考えや、現代社会学科の授業「グローバルソサエティ論」で試験的に多言語活動を導入してきた結果、今春より同大学において正規の授業として実施が決定したことが報告されました。先の学校事例とあわせ、言語の習得には主体的な深い学びが不可欠であり、人が自然に言葉を獲得していく体験を大学の授業としても実施できる実例を共有することができました。
アメリカ在住のレッドランズ大学の大和田康之名誉教授は、医療機関などで発せられる公的な情報は英語を含めて18カ国語でアナウンスされている、というアメリカの多言語事情を伝えたうえで、日本もすでに多言語社会であることを認識すべきだ、と唱えました。
シンポジウムの締めくくりとして、言語交流研究所の鈴木堅史代表理事が、ことばの自然習得において欠かせない、自然にいろいろなことばが聞こえてくる「環境づくり」の大切さを訴えました。
終了後のアンケートには以下のような参加者の感想が寄せられました。
「言語について本質的なところを考えるきっかけになった」(30代女性・教職員)
「言語は教育や訓練からは獲得できないということばが印象に残った」(60代以上女性・教職員)
「言語の自然習得の重要性がわかった」(30代女性・会社員、60代以上女性・教職員)
「授業の事例は大変参考になった、自分の授業にも取り入れてみたい」(20代女性・教職員)
「なぜ自分が英語が苦手なのかがわかった」(40代女性・会社員)
「言語習得に年齢は関係ない、という点に希望が持てた」(20代女性・会社員)
多言語教育を提唱するヒッポファミリークラブは、40校以上の公立小学校において、「総合的な学習の時間」として国際理解授業を実施するなど、教育現場での言語習得に深く関わってきております。人間本来の、生得的に言語を自然に獲得していく力を引き出すプログラムを、学校の先生方と協力しながら今後さらに広めていきたいと考えています。
<教育シンポジウム「グローバル社会における多言語の可能性」 開催概要>
■日 時:2019年3月13日(水)19:00〜21:00
■場 所:アルカディア市ヶ谷 私学会館(東京都千代田区)
■プログラム:
基調講演 スザンヌ・フリン マサチューセッツ工科大学教授 「人間の言語能力は無限」
各界の専門家による研究および事例報告
酒井邦嘉 東京大学大学院総合文化研究科 教授 「脳に自然なことばの習得とは?」
大和田康之 レッドランズ大学 名誉教授/EngageAsia財団 理事 「言語とコミュニケーション」
森田明彦 尚絅学院大学現代社会学科 教授 「大学での多言語コミュニケーション授業」
鈴木堅史 言語交流研究所 代表理事 「多言語の多様な音の波に浸る」
他、元・公立中学校の校長、大学教員、ヒッポファミリークラブ会員による活動紹介など
■一般財団法人 言語交流研究所
1981年10月、多言語活動の提唱者である榊原陽氏が設立。以来、「ことばと人間」を研究テーマに、多言語の自然習得及び多国間交流の実践を通して、言語と人間の科学的探究を進め、国際間の理解と人類の共生に寄与することを目的とした活動を行っている。2013年1月に一般財団法人に移行、2019年10月に設立38周年を迎える。
■ヒッポファミリークラブ
一般財団法人 言語交流研究所が運営する「ヒッポファミリークラブ」(会員制)は、「多言語の自然習得活動」、「国際交流活動」、「研究・開発活動」の3つを柱とし、家族や地域の会員と共に、様々な国や地域のことばを自然に身につけ、様々な人に出会い、共に育つことのできる環境づくりに取り組んでいる。2019年3月時点、全国約700カ所の活動場所に約20,000名のメンバーが所属し、日本国内だけでなく海外(アメリカ、メキシコ、韓国)にも活動が広がっている。
■オフィシャルサイト
http://www.lexhippo.gr.jp/
多言語教育を提唱するヒッポファミリークラブ(運営/一般財団法人 言語交流研究所、本部/東京都渋谷区、
代表理事/鈴木堅史)は、ことばの自然習得や多言語教育の最新事情、グローバル人材が育つ環境などについて
理解を深めていただくことを目的とした2つのイベントを開催しました。その様子をご報告いたします。
若者による多言語プレゼンテーション大会 第6回 LMP Youth TOKYO
(LEX Multilingual Presentation for Youth TOKYO)
2019年3月10日(日)、東京ビッグサイトの国際会議場で、16歳から25歳の若者30人が3つ以上の
言語を使って社会へメッセージを発信する「多言語プレゼンテーション大会」が開催されました。
6回目の開催となる今回は、動画投稿による予選の結果、日本、韓国、アメリカ、モンゴル、中国、イタリア、メキシコの7カ国から、高校生16人、大学生・社会人14人が登壇。自らの言語体験や留学・国際交流を通じた多様な価値観への気づきや異文化を受け入れる感覚などについて、自分自身のことばで熱く聴衆に語りかけました。力強いことばと体全体から発せられるエネルギーで舞台と会場には一体感が生まれ、若者達の瑞々しい感性から生み出されるパフォーマンスは、集まった1,000人の聴衆に大きな感動を与えました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-817015-0.png ]
審査は、言語学を専門とするマサチューセッツ工科大学のスザンヌ・フリン教授や、言語脳科学者である東京大学大学院の酒井邦嘉教授といった、各界の有識者や専門家などで構成された審査員団により行われました。
その結果、高校生部門は、日本語、英語、イタリア語、フランス語を使ってプレゼンテーションを行った、東京の私立高校に通うイタリア人留学生のアントニオ・ピロッディさん(タイトル「Evolving inside道」)が金賞を受賞しました。
ピロッディさんはイタリア語の歌と共に紋付き袴姿で登場。武士道について書かれた宮本武蔵の書を読んで日本に憧れ留学を果たしたいきさつや、日本の生活では食べ物や着物など、積極的に文化に親しみ、学校の部活では、将棋、剣道、茶道に挑戦していることを紹介しました。“日本人になりたい”という一心で、生活を送るなかでふと感じた、「日本人にあって自分に足りないものはなんだろう?」という疑問。ピロッディさんは、マスクやお辞儀といった、日本人にとっては何でもない日常の習慣から、他人を尊重する、という日本人の心底にある道徳心が、あの「武士道」に通じるものであるということを発見したのです。そして、その道に従うことが、自分自身をより成長させるのだと伝えました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-761710-1.jpg ]
また、大学生・社会人部門は、大学の博士課程に通う青井勇輝さんが金賞を受賞しました。青井さんは0歳のときからヒッポファミリークラブの活動に参加しており、韓国、ロシア、カナダでの国際交流やフランスでの1年間の高校留学を経験しています。「Nature×Nurture -多言語環境が心地いい!-」と題したプレゼンテーションでは、フランスの高校留学時に家族や友人との関わりの中でことばを自然習得した経験を、現在研究している植物の成長ホルモンに関する話と交え、6つの言語(日本語、英語、韓国語、フランス語、スペイン語、カタルーニャ語)を使って語りました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-718981-2.jpg ]
その他には、高校生部門、大学生・社会人部門から、それぞれ銀賞2人、銅賞3人、審査員特別賞2人が選ばれました。表彰式では、審査員長の言語交流研究所・代表理事の鈴木堅史から各受賞者へ、記念のトロフィーと海外体験や留学などヒッポファミリークラブが提供するプログラムに利用可能な副賞が贈られました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-768121-3.jpg ]
2015年1月、ヒッポファミリークラブの活動に参加して育った若者達が自らの多言語体験を世の中に伝える場として始まった多言語プレゼンテーション大会。そこに登壇した若者たちの合計は、今回でのべ約200人となりました。
イベントの企画運営は、立ち上げ当初から現在まで学生有志による実行委員会が担っています。今回はヒッポファミリークラブの本部スタッフなどを含めた17人の実行委員と、高校生と大学生、若手社会人を中心とする約60人のボランティアスタッフが力戦奮闘し、出場者を陰で支えました。プレゼンターとスタッフ全員の健闘を心から称えるとともに、このような大きな催しを皆で協力して作り上げた経験が、彼らの自信につながり、社会での今後の活躍に役立つことを願ってやみません。
次回の多言語プレゼンテーション大会「第7回 LMP Youth TOKYO」は来春を予定しています。言語交流研究所・ヒッポファミリークラブは、今後も多言語教育の素晴らしさをより多くの方に知っていただけるよう、志ある若者に参加していただくことを目指し、この多言語プレゼンテーション大会をさらに開かれた場にしていきたいと考えています。
<多言語プレゼンテーション大会「第6回 LMP Youth TOKYO」 開催概要>
※受賞者や審査員の詳細情報などは下記のオフィシャルサイトをご覧ください
■日 時:2019年3月10日(日)10:00〜16:30
(高校生部門と大学生・社会人部門の二部制で実施)
■場 所:東京ビッグサイト 国際会議場(東京都江東区)
■審査基準:制限時間を厳守していること(高校生部門5分以内、大学生・社会人部門7分以内)
母語を含む3つ以上の言語を使った多言語プレゼンテーションであること
自分自身の多言語体験に基づいた、世界や社会に発信するメッセージであること
プレゼンテーションの工夫
■審査員 :スザンヌ・フリン(マサチューセッツ工科大学 教授)、酒井 邦嘉(東京大学大学院 教授)
など計15人
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イベントの様子をまとめた公式ムービー(約3分30秒)を公開中です。下記URLよりぜひご覧ください。
https://youtu.be/dt05AvtTvmg
各プレゼンテーションのノーカット版映像も4月より順次公開します。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLYX7ioEUbyrH1iKCjQPggF0V901WmqENS
*第一弾 高校生部門 金賞 アントニオ・ピロッディさん 「Evolving inside道」
*第二弾 大学生・社会人部門 金賞 青井勇輝さん 「Nature×Nurture -多言語環境が心地いい!-」
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教育シンポジウム 「グローバル社会における多言語の可能性」
〜最新の言語研究と教育現場の事例から考える〜
2019年3月13日(水)、アルカディア市ヶ谷 私学会館で、多言語教育の最新事情を伝えるシンポジウムが開催されました。ことばの習得や外国語教育、多言語活動の取り組みについて各分野の有識者や専門家が講演を行い、教育現場の先生方やヒッポファミリークラブの会員を中心に250人が聴講に訪れました。
[画像5: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-656895-4.jpg ]
基調講演では、言語学・多言語獲得研究の第一人者であるマサチューセッツ工科大学のスザンヌ・フリン教授が「人間の言語能力は無限」と題し、人間の言語や脳、多言語習得に関して解明されていることと誤解の15項目を発表しました。人間の言語は基本的に一つであること、すなわち日本語や英語、方言といったいくつかの言葉があっても、その核となる部分において同じ基本的性質を共有しているという点がまず強調されました。また、言語習得の臨界期説(ある年齢までは新しい言語を習得できるが、それ以降はできないという説)は誤りであること、習得にかかる時間は年齢に応じて変わるが、人は年齢に関係なく新しい言語を習得できることも紹介されました。よく聞かれる「同時に複数の言語を習得しようとすると混乱する」という考え方が誤りであること、多言語使用が人間の知能(知性)にとって自然な状態である、といった内容が語られました。
[画像6: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-918012-5.jpg ]
いっぽう東京大学大学院の酒井邦嘉教授は、言語脳科学の立場から、環境があれば人間の脳は初めから多言語を獲得できるようにデザインされていると強調されました。フリン教授と同じく、「同時に習得できる言語は一つだけで、同時に複数の言語を習得しようとすれば混乱する」という考え方が誤りで、違う言語を話す両親のもとで育った子どもは、両親の言葉が違うことを自然に受け入れ混同することはない、それは基本的に人間の言語は一つだからである、と解説されました。また、教育現場の先生方に向けて、言語獲得は教育や訓練ではなく、人間本来の生得性を大切にすべきだと説きました。
[画像7: https://prtimes.jp/i/42971/1/resize/d42971-1-675915-6.jpg ]
フリン教授と酒井教授、ヒッポファミリークラブ(一般財団法人 言語交流研究所)は、多言語習得のメカニズムと効果を脳科学的に調査するプロジェクトを2016年に開始しており、今回講演された内容にはこの共同研究も一部反映されています。
教育現場からの報告では、中学や大学の英語の授業で多言語活動を導入し成功した事例が2人の元教師から紹介されました。「多言語をやれば英語も楽ちん」という状況が生まれたことや、「生徒の許容度・受容度が高く、教師もリラックスして『楽しもう』と思えた」という心境が共有されました。
また、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスで昨年12月に行われた「多言語コミュニケーション実践・特別講義」の様子が、現在ヒッポファミリークラブでインターンをしている大学生から紹介されました。
仙台にある尚絅学院大学の森田明彦教授からは、多言語活動は英語教育をより効果的なものにするという考えや、現代社会学科の授業「グローバルソサエティ論」で試験的に多言語活動を導入してきた結果、今春より同大学において正規の授業として実施が決定したことが報告されました。先の学校事例とあわせ、言語の習得には主体的な深い学びが不可欠であり、人が自然に言葉を獲得していく体験を大学の授業としても実施できる実例を共有することができました。
アメリカ在住のレッドランズ大学の大和田康之名誉教授は、医療機関などで発せられる公的な情報は英語を含めて18カ国語でアナウンスされている、というアメリカの多言語事情を伝えたうえで、日本もすでに多言語社会であることを認識すべきだ、と唱えました。
シンポジウムの締めくくりとして、言語交流研究所の鈴木堅史代表理事が、ことばの自然習得において欠かせない、自然にいろいろなことばが聞こえてくる「環境づくり」の大切さを訴えました。
終了後のアンケートには以下のような参加者の感想が寄せられました。
「言語について本質的なところを考えるきっかけになった」(30代女性・教職員)
「言語は教育や訓練からは獲得できないということばが印象に残った」(60代以上女性・教職員)
「言語の自然習得の重要性がわかった」(30代女性・会社員、60代以上女性・教職員)
「授業の事例は大変参考になった、自分の授業にも取り入れてみたい」(20代女性・教職員)
「なぜ自分が英語が苦手なのかがわかった」(40代女性・会社員)
「言語習得に年齢は関係ない、という点に希望が持てた」(20代女性・会社員)
多言語教育を提唱するヒッポファミリークラブは、40校以上の公立小学校において、「総合的な学習の時間」として国際理解授業を実施するなど、教育現場での言語習得に深く関わってきております。人間本来の、生得的に言語を自然に獲得していく力を引き出すプログラムを、学校の先生方と協力しながら今後さらに広めていきたいと考えています。
<教育シンポジウム「グローバル社会における多言語の可能性」 開催概要>
■日 時:2019年3月13日(水)19:00〜21:00
■場 所:アルカディア市ヶ谷 私学会館(東京都千代田区)
■プログラム:
基調講演 スザンヌ・フリン マサチューセッツ工科大学教授 「人間の言語能力は無限」
各界の専門家による研究および事例報告
酒井邦嘉 東京大学大学院総合文化研究科 教授 「脳に自然なことばの習得とは?」
大和田康之 レッドランズ大学 名誉教授/EngageAsia財団 理事 「言語とコミュニケーション」
森田明彦 尚絅学院大学現代社会学科 教授 「大学での多言語コミュニケーション授業」
鈴木堅史 言語交流研究所 代表理事 「多言語の多様な音の波に浸る」
他、元・公立中学校の校長、大学教員、ヒッポファミリークラブ会員による活動紹介など
■一般財団法人 言語交流研究所
1981年10月、多言語活動の提唱者である榊原陽氏が設立。以来、「ことばと人間」を研究テーマに、多言語の自然習得及び多国間交流の実践を通して、言語と人間の科学的探究を進め、国際間の理解と人類の共生に寄与することを目的とした活動を行っている。2013年1月に一般財団法人に移行、2019年10月に設立38周年を迎える。
■ヒッポファミリークラブ
一般財団法人 言語交流研究所が運営する「ヒッポファミリークラブ」(会員制)は、「多言語の自然習得活動」、「国際交流活動」、「研究・開発活動」の3つを柱とし、家族や地域の会員と共に、様々な国や地域のことばを自然に身につけ、様々な人に出会い、共に育つことのできる環境づくりに取り組んでいる。2019年3月時点、全国約700カ所の活動場所に約20,000名のメンバーが所属し、日本国内だけでなく海外(アメリカ、メキシコ、韓国)にも活動が広がっている。
■オフィシャルサイト
http://www.lexhippo.gr.jp/