平泉で平和を願い、陸前高田で震災犠牲者を追悼 -日、韓、米、独、英、スリランカの仏教学者ら20名が平泉と陸前高田市を視察
[13/01/25]
提供元:PRTIMES
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2013年1月24日(木)平泉、25日(金)陸前高田市 陸前高田市では市役所表敬、1月18日完成の追悼施設にて、韓国僧正による“鎮魂の儀”実施
2013年1月24日・25日、日本、韓国、アメリカ、ドイツ、イギリス、スリランカの仏教学者を中心とする一行が、東北の仏教の拠点であり永久へ和を希求する「浄土の地」である平泉、および震災被害を受けた陸前高田市を訪問、世界平和や被災地復興への願いを巡らせました。
今回の一行は、国立大学法人埼玉大学(学長:上井喜彦)がグローバル人材育成の観点から、韓国の東国大学校と共催で、2013年1月22(火)〜23日(水)埼玉大学等を会場に実施した国際シンポジウム「Tradition and Modernity -Thinking Asia across Frontiers- (邦題:伝統と現代 -国境を越えてアジアを考える-)」(後援:埼玉県)のパネリスト20名。
シンポジウムは、東日本大震災、歴史認識や領土問題に絡んだ各国間の緊張など、いま日本を取り巻くアジアの現況を踏まえながら、問題解決に仏教思想や仏教的アプローチが貢献できることは何かをテーマとして行われ、日韓の両大学が共催する意義、そして仏教をキーワードに、アジア以外の欧米の仏教学者の視点も加えることで、国益のぶつかり合いだけでない、国境をまたぐ国民同士の結びつきから生まれる新たな国家関係を生み出す方法が議論されました。
こうしたシンポジウムのテーマを踏まえ、東日本大震災と被災地の今に向き合いたいという参加者の強い意向も反映し、シンポジウムでの問題提起、議論を踏まえ、東日本大震災で大きな被害を受けた地域の1つである陸前高田市を訪問。被害にあわれた方々への「鎮魂の祈り」を捧げるとともに、被災地の現状を把握し、問題点の共有、世界への発信のあり方、仏教的観点からの貢献を考えていくことを目的として行われました。
■「浄土」平泉にて、日本の仏教についての知見を深めると共に、平和を願う
24日にまず一行が訪れたのは平泉町の中尊寺と毛越寺。中尊寺では、本堂や金色堂を見学すると共に、菅野澄順執事長による平泉仏教文化のレクチャーを受けました。菅野執事長は、平泉仏教文化が世界各地との直接貿易によって支えられたものであることを解説すると同時に、「900年前に藤原三代が希求した非戦・平和への想いは現在にも十分に通じる、むしろ伝えていかなければならない考え方である」と語りかけ、一行はうなずきながら聞き入っていました。
毛越寺では、本堂や大泉が池などを見学、ご本尊である薬師如来像、そして東日本大震災の犠牲者供養のための仏像を前に、追悼と平和への祈りを捧げました。アメリカのルーサー大学で東洋哲学・比較宗教学を専攻するゲレオン・コプフ教授は「平泉の仏教文化の成り立ちを知り、より平和への願いを強くした。仏教の持つ『慈悲の心』が世界中に広まって欲しい」とコメントしました。
■陸前高田市を訪問、韓国僧正らによる鎮魂の儀を実施
続く25日には、東日本大震災の被害が最も大きかった地域の1つである陸前高田市を訪問。まずは陸前高田市役所仮庁舎に久保田崇副市長を表敬訪問し、被災地の現状把握や質疑応答などを行いました。副市長から震災当時の状況や現在の市民の生活の様子の説明を受けた一行からは、津波で家が流された被災者たちへの行政支援がどのようになっているのか、今後の復興計画、また津波で被害を受けた沿岸の土地がこれからどのように再生していくのかなど、多くの質問が出ました。その後、復興支援団体SETの三井俊介さんの案内によって震災被害の爪痕のまだ残る市内を巡回、そして1月18日に完成したばかりの追悼施設(旧「道の駅 高田松原・タピック45」敷地内)にて、韓国・中央僧家大学教授でもあり、定彗寺の正徳(チョンドック)僧正らによる鎮魂の儀を執り行いました。
鎮魂の儀で正徳僧正らは、東日本大震災亡くなった犠牲者の浄土での救済と、また犠牲者がいつの日か自分たちの家族や友人として新しい命として生まれ変わること、陸前高田だけなく震災で被害を受けたすべての人々の悲しみや苦しみが一日も早く取り除かれること、そして生き続けている人々の健康と幸せを願う想いをこめて、韓国式で般若心経を唱えました。
同行した埼玉大学教養学部 永田雅啓 教授は、「震災から2年が経ち、日本国内でも被災地への想いが薄れていることが問題視されているなかで、海外から被災地を視察したいという人々がいるということはとても嬉しいこと。特に政治的に難しい状況にある韓国から僧正が来日し、ただの視察に留まらず、このように鎮魂の祈りを捧げてくれるというのは、仏教が世界平和にどのよう役割を果たすことができるのか、というシンポジウムのテーマに照らし合わせてみたときにも、大変意義あることだったと思う」とコメント。また正徳僧正は「震災でお亡くなりになった方々、そして今も大変な生活をされている方々のことを思うと心が痛い、困難にある人に想いを寄せ助け合うことに国境はない」と強調、共に般若心経を唱えた韓国・中央僧家大学所属、海印寺の無縁僧正も「地震や津波のように、突然の災害で多くの方が命を落とすということを二度と起こさないで欲しいという願いをお経に強く込めた」と手を合わせました。
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【実施概要】
<タイトル>
Tradition and Modernity -Thinking Asia across Frontiers- (邦題:伝統と現代 -国境を越えてアジアを考える-)
<主催>
国立大学法人埼玉大学(日本)・東国大学校(韓国)
<後援>
埼玉県
<内容>
シンポジウム 1月22日(埼玉大学)23日(浦和ロイヤルパインズホテル・一般公開)
東北視察 1月24日(平泉視察)25日(陸前高田市訪問)
<参加者>*敬称略
日本(6名)韓国(8名)アメリカ(1名)ドイツ(2名)イギリス(2名)スリランカ(1名) その他随行スタッフ
●日本 埼玉大学
上井喜彦(学長)、加藤泰建(副学長)、山口宏樹(副学長)、伊藤博昭(教養学部長)、井上智勝、権 純哲、高橋克也、中村大介、永田雅啓、加藤 基、アクセル・カーペンシュタイン
●韓国
東国大学校 Hwang,, Soonil、Bayer, Achim、Heo, Namkyol
中央僧家大学 Ven. Chondduk、Ven. Mooyeon、Ven. Popjin、Ven. Wonje
学校法人除羅伐 Kim, Seongae
●アメリカ
ルーサー・カレッジ Kopf, Gereon
●ドイツ
ハンブルグ大学 Zimmermann, Michael
ミュンヘン大学 Doewll, Steffen
●イギリス
ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ Keown, Damien
カンブリア大学 Harris, Ian
●スリランカ
コロンボ大学 Asanga Tilakaratne
2013年1月24日・25日、日本、韓国、アメリカ、ドイツ、イギリス、スリランカの仏教学者を中心とする一行が、東北の仏教の拠点であり永久へ和を希求する「浄土の地」である平泉、および震災被害を受けた陸前高田市を訪問、世界平和や被災地復興への願いを巡らせました。
今回の一行は、国立大学法人埼玉大学(学長:上井喜彦)がグローバル人材育成の観点から、韓国の東国大学校と共催で、2013年1月22(火)〜23日(水)埼玉大学等を会場に実施した国際シンポジウム「Tradition and Modernity -Thinking Asia across Frontiers- (邦題:伝統と現代 -国境を越えてアジアを考える-)」(後援:埼玉県)のパネリスト20名。
シンポジウムは、東日本大震災、歴史認識や領土問題に絡んだ各国間の緊張など、いま日本を取り巻くアジアの現況を踏まえながら、問題解決に仏教思想や仏教的アプローチが貢献できることは何かをテーマとして行われ、日韓の両大学が共催する意義、そして仏教をキーワードに、アジア以外の欧米の仏教学者の視点も加えることで、国益のぶつかり合いだけでない、国境をまたぐ国民同士の結びつきから生まれる新たな国家関係を生み出す方法が議論されました。
こうしたシンポジウムのテーマを踏まえ、東日本大震災と被災地の今に向き合いたいという参加者の強い意向も反映し、シンポジウムでの問題提起、議論を踏まえ、東日本大震災で大きな被害を受けた地域の1つである陸前高田市を訪問。被害にあわれた方々への「鎮魂の祈り」を捧げるとともに、被災地の現状を把握し、問題点の共有、世界への発信のあり方、仏教的観点からの貢献を考えていくことを目的として行われました。
■「浄土」平泉にて、日本の仏教についての知見を深めると共に、平和を願う
24日にまず一行が訪れたのは平泉町の中尊寺と毛越寺。中尊寺では、本堂や金色堂を見学すると共に、菅野澄順執事長による平泉仏教文化のレクチャーを受けました。菅野執事長は、平泉仏教文化が世界各地との直接貿易によって支えられたものであることを解説すると同時に、「900年前に藤原三代が希求した非戦・平和への想いは現在にも十分に通じる、むしろ伝えていかなければならない考え方である」と語りかけ、一行はうなずきながら聞き入っていました。
毛越寺では、本堂や大泉が池などを見学、ご本尊である薬師如来像、そして東日本大震災の犠牲者供養のための仏像を前に、追悼と平和への祈りを捧げました。アメリカのルーサー大学で東洋哲学・比較宗教学を専攻するゲレオン・コプフ教授は「平泉の仏教文化の成り立ちを知り、より平和への願いを強くした。仏教の持つ『慈悲の心』が世界中に広まって欲しい」とコメントしました。
■陸前高田市を訪問、韓国僧正らによる鎮魂の儀を実施
続く25日には、東日本大震災の被害が最も大きかった地域の1つである陸前高田市を訪問。まずは陸前高田市役所仮庁舎に久保田崇副市長を表敬訪問し、被災地の現状把握や質疑応答などを行いました。副市長から震災当時の状況や現在の市民の生活の様子の説明を受けた一行からは、津波で家が流された被災者たちへの行政支援がどのようになっているのか、今後の復興計画、また津波で被害を受けた沿岸の土地がこれからどのように再生していくのかなど、多くの質問が出ました。その後、復興支援団体SETの三井俊介さんの案内によって震災被害の爪痕のまだ残る市内を巡回、そして1月18日に完成したばかりの追悼施設(旧「道の駅 高田松原・タピック45」敷地内)にて、韓国・中央僧家大学教授でもあり、定彗寺の正徳(チョンドック)僧正らによる鎮魂の儀を執り行いました。
鎮魂の儀で正徳僧正らは、東日本大震災亡くなった犠牲者の浄土での救済と、また犠牲者がいつの日か自分たちの家族や友人として新しい命として生まれ変わること、陸前高田だけなく震災で被害を受けたすべての人々の悲しみや苦しみが一日も早く取り除かれること、そして生き続けている人々の健康と幸せを願う想いをこめて、韓国式で般若心経を唱えました。
同行した埼玉大学教養学部 永田雅啓 教授は、「震災から2年が経ち、日本国内でも被災地への想いが薄れていることが問題視されているなかで、海外から被災地を視察したいという人々がいるということはとても嬉しいこと。特に政治的に難しい状況にある韓国から僧正が来日し、ただの視察に留まらず、このように鎮魂の祈りを捧げてくれるというのは、仏教が世界平和にどのよう役割を果たすことができるのか、というシンポジウムのテーマに照らし合わせてみたときにも、大変意義あることだったと思う」とコメント。また正徳僧正は「震災でお亡くなりになった方々、そして今も大変な生活をされている方々のことを思うと心が痛い、困難にある人に想いを寄せ助け合うことに国境はない」と強調、共に般若心経を唱えた韓国・中央僧家大学所属、海印寺の無縁僧正も「地震や津波のように、突然の災害で多くの方が命を落とすということを二度と起こさないで欲しいという願いをお経に強く込めた」と手を合わせました。
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【実施概要】
<タイトル>
Tradition and Modernity -Thinking Asia across Frontiers- (邦題:伝統と現代 -国境を越えてアジアを考える-)
<主催>
国立大学法人埼玉大学(日本)・東国大学校(韓国)
<後援>
埼玉県
<内容>
シンポジウム 1月22日(埼玉大学)23日(浦和ロイヤルパインズホテル・一般公開)
東北視察 1月24日(平泉視察)25日(陸前高田市訪問)
<参加者>*敬称略
日本(6名)韓国(8名)アメリカ(1名)ドイツ(2名)イギリス(2名)スリランカ(1名) その他随行スタッフ
●日本 埼玉大学
上井喜彦(学長)、加藤泰建(副学長)、山口宏樹(副学長)、伊藤博昭(教養学部長)、井上智勝、権 純哲、高橋克也、中村大介、永田雅啓、加藤 基、アクセル・カーペンシュタイン
●韓国
東国大学校 Hwang,, Soonil、Bayer, Achim、Heo, Namkyol
中央僧家大学 Ven. Chondduk、Ven. Mooyeon、Ven. Popjin、Ven. Wonje
学校法人除羅伐 Kim, Seongae
●アメリカ
ルーサー・カレッジ Kopf, Gereon
●ドイツ
ハンブルグ大学 Zimmermann, Michael
ミュンヘン大学 Doewll, Steffen
●イギリス
ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ Keown, Damien
カンブリア大学 Harris, Ian
●スリランカ
コロンボ大学 Asanga Tilakaratne