インターブランド、世界のラグジュアリー・ブランドに関する初の調査
[08/12/18]
提供元:PRTIMES
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景況に関わらず、トップ・ラグジュアリー・ブランドは長期的な視点でブランド管理を行っている
2008 年12 月12 日、ニューヨーク
国際的なブランドコンサルティング会社であるインターブランドは、ラグジュアリー・ブランドに関する初の調査を行い、複雑な当該部門において各ブランドがどのようにブランド価値を築いているのか、研究を行った。
“最近まで、ラグジュアリー・ブランドは景気低迷期においても安定した経営状態を保っているように見えていた。しかしながら、世界的な景気後退が現実のものとなってきた昨今、景況の変化と無縁でいられる産業は一つもないということが明らかになった。”とインターブランドのグローバルCEO であるジェズ・フランプトンは述べている。
“近年までの好況期に市場拡大を進めてきたことが、結果として、ラグジュアリー・ブランド部門がかつての経済安定性を損なわせた背景にあると言えよう。しかしながら、一部のラグジュアリー・ブランドは、今もリスクを最小限に抑えることに成功し、長期的価値を創出しつづけている”
今回のインターブランドの調査は、経済的なブランドの価値評価によって、世界のラグジュアリー・ブランド上位15を明らかにし、これらのブランドが長い歳月を通し築き上げてきた成果を支える、ブランド・マネジメントのトレンドを探った。
■トップ・ラグジュアリー・ブランドにとって、ビジネスの中核をなすのはブランドである。
利益の最大化が短期的な意味での成功とみなされる他のセクターとは異なり、今回ランクインしたラグジュアリー・ブランドは、ビジネスの中心としてブランドが管理され、長期的な視点でブランドを育成している。第4 位のRolex(ブランド価値 4,956 百万US ドル)は、世代から世代へと受け継がれる中で、情緒的に、そして経済的にも価値が高まる“家宝”としても扱われるブランドである。
■ブランド拡張について、トップ・ラグジュアリー・ブランドは「Why not?(やってみよう)」ではなく、「Why?(なぜそうすべきか)」という視点で検討をしている。
ブランド管理には規律と的確さが要求される。保守的に過ぎるとブランドは注目されないし、拡張し過ぎるとブランド価値を希薄化させるリスクが生じる。第7 位のTiffany & Co(ブランド価値 4,208 百万US ドル)は、より多くの人々にとって手の届く“手ごろなラグジュアリー”としてのポジショニングを取っている。
■ラグジュアリーを象徴するブランドは単独型である。
サブ・ブランドによる新規カテゴリーへの拡張は、ビジネス戦略上、魅力のある選択肢ではあるが、トップ・ラグジュアリー・ブランドは、むやみにサブ・ブランドをつくってブランド体系を拡張したりしない。第1 位のLouis Vuitton(ブランド価値 21,602 百万US ドル)は、こうした妥協を許さないブランドの一つである。
■サプライ・チェーンのあらゆる要素がブランド構築につながる
ブランドの価値を守るために、トップ・ラグジュアリー・ブランドは徹底的にサプライ・チェーンの細部にこだわり、ときにはほぼ独裁に近いかたちで完全なコントロールをしている。第2 位のGucci(ブランド価値 8,254 百万US ドル)は完璧なブランド・エクスペリエンスを提供するために、ショーのステージ・デザインから、2008 年にニューヨークにオープンした世界最大かつ最も豪華な店舗のプロデュースまで、サプライ・チェーンにおけるブランド管理に細心の注意を払っている。
■トップ・ラグジュアリー・ブランドは、顧客の購買意欲を常に満たすのではなく、ときには焦らすことの必要性を知っている。
奇妙な関係ではあるが、いつ“NO”というべきかを知ること、すなわち誘惑される側ではなく誘惑する側でい続けるには、傲慢と紙一重の厳格さが必要である。たとえ世界有数の裕福な女性たちでも、第5 位のHermes(ブランド価値 4,575 百万US ドル)の有名なバーキン・バッグを手に入れるために順番待ちをしている。
■影響されずに、影響することが重要である。
近年のマーケティング手法には口コミを促すものがあるが、これはラグジュアリー・ブランドのブランド管理にとって大きな課題である。もしブランドの扱いを誤ったり、好ましくない連想につながるような行為をしたりすれば、顧客でさえもブランドのリスク要因となりうる。ブランドの最も熱狂的なファンが、実は最も危険な顧客という場合もある。
■トップ・ラグジュアリー・ブランドは“ビジネスプラン”だけでなく“哲学”を持っている。
何世紀にも渡ってビジネスの成功を維持させることはできても、顧客に卓越した価値を提供するために生まれたブランドが、その使命を果たし続けることは難しい。トップ・ラグジュアリー・ブランドの創始者は、腕のいい職人でありMBA 保有者ではない。
今回のラグジュアリー・ブランド研究からは、こうした有用なインサイトが得られた。今回ランクインしたラグジュアリー・ブランドは、現在のような不安定な経済環境下でも、他よりは上手く困難を切り抜けていくであろう。しかしながら市場は益々予測不可能な相を呈してきている。
“いまの経済的激動が社会にもたらす影響は、ラグジュアリー・ブランドの富裕層消費者の行動を永久に変えてしまうであろう。今回のラグジュアリー・ブランドの研究成果は、先行きが不透明な今の経済環境において、旧態依然としたビジネスのままでは不十分であることを示唆している。豊かな時代の余剰は尽き、いまは絶え間ない決断と信念、そして創造性が絶対的に求められる。”とインターブランドの欧州CEO でありラグジュアリー・ブランドの第一人者であるジャン・バプチスト・ダネは述べる。
【ラグジュアリーの定義】
ラグジュアリー・ブランドはB2C カテゴリーに属し、価格の影響をあまり受けない消費者層を顧客にもつブランドであることを前提条件としている。上位のラグジュアリー・ブランドでは、価格は購買意思決定において極めて限定的な役割であり、そしてブランドの次のような特性を表す: ブランド選択においてきわめて重要な要因である信頼性と卓越した品質; 代替品や類似品では得られない大きな魅力・渇望; 象徴的なステータス。今回の調査対象となったブランドは全て、収益の30%以上がブランドの起源国以外の市場であげられているグローバル・ブランドであり、米国、欧州およびアジアの主要市場で展開していることを条件に選ばれている。
【ランキング結果】
※順位/ブランド/2008年度ブランド価値(百万USドル)/2008年度ブランド価値(百万ユーロ)/ブランド起源国
1 LouisVuitton 21,602 16,718 France
2 Gucci 8,254 6,388 Italy
3 Chanel 6,355 4,918 France
4 Rolex 4,956 3,836 Switzerland
5 Hermes 4,575 3,541 France
6 Cartier 4,236 3,278 France
7 Tiffany&Co 4,208 3,257 United States
8 Prada 3,585 2,775 Italy
9 Ferrari 3,527 2,730 Italy
10 Bulgari 3,330 2,577 Italy
11 Burberry 3,285 2,542 United Kingdom
12 Dior 2,038 1,578 France
13 Patek Philippe 1,105 855 Switzerland
14 Zegna 818 633 Italy
15 Ferragamo 722 559 Italy
※出所: Interbrand、 2008 Leading Luxury Brands
※インターブランドのラグジュアリー・ブランドに関する調査レポートはwww.interbrand.com にてダウンロードが可能です。
【Interbrand について】
インターブランドは、1974 年に設立された世界的なブランドコンサルティング会社です。世界25 カ国・36 拠点のオフィスを通じ、世界的に展開している企業をはじめ、さまざまな組織・団体に対し、ブランディングに関する様々なサービスを提供しています。’Creating and Managing brand Value’のミッションのもと、戦略的な視点とクリエイティブの視点の両面から「ブランドを創り、その価値を高め、維持し、評価する」という一連のサービスを提供し、クライアントの最も価値ある資産であるブランドの価値向上をサポートしています。又、ブランドに関する一年間の調査結果として、“ The Best Global Brands ”の発表をし、ブランドについての論考が掲載されWebby-award で賞を獲得したbrandchannel.com を運営おります。インターブランドについてのさらに詳しい情報については、www.interbrand.comをご覧ください。
お問い合わせ先
株式会社インターブランドジャパン
担当:中村
tel:03-3230-1075 fax:03-3230-8772
2008 年12 月12 日、ニューヨーク
国際的なブランドコンサルティング会社であるインターブランドは、ラグジュアリー・ブランドに関する初の調査を行い、複雑な当該部門において各ブランドがどのようにブランド価値を築いているのか、研究を行った。
“最近まで、ラグジュアリー・ブランドは景気低迷期においても安定した経営状態を保っているように見えていた。しかしながら、世界的な景気後退が現実のものとなってきた昨今、景況の変化と無縁でいられる産業は一つもないということが明らかになった。”とインターブランドのグローバルCEO であるジェズ・フランプトンは述べている。
“近年までの好況期に市場拡大を進めてきたことが、結果として、ラグジュアリー・ブランド部門がかつての経済安定性を損なわせた背景にあると言えよう。しかしながら、一部のラグジュアリー・ブランドは、今もリスクを最小限に抑えることに成功し、長期的価値を創出しつづけている”
今回のインターブランドの調査は、経済的なブランドの価値評価によって、世界のラグジュアリー・ブランド上位15を明らかにし、これらのブランドが長い歳月を通し築き上げてきた成果を支える、ブランド・マネジメントのトレンドを探った。
■トップ・ラグジュアリー・ブランドにとって、ビジネスの中核をなすのはブランドである。
利益の最大化が短期的な意味での成功とみなされる他のセクターとは異なり、今回ランクインしたラグジュアリー・ブランドは、ビジネスの中心としてブランドが管理され、長期的な視点でブランドを育成している。第4 位のRolex(ブランド価値 4,956 百万US ドル)は、世代から世代へと受け継がれる中で、情緒的に、そして経済的にも価値が高まる“家宝”としても扱われるブランドである。
■ブランド拡張について、トップ・ラグジュアリー・ブランドは「Why not?(やってみよう)」ではなく、「Why?(なぜそうすべきか)」という視点で検討をしている。
ブランド管理には規律と的確さが要求される。保守的に過ぎるとブランドは注目されないし、拡張し過ぎるとブランド価値を希薄化させるリスクが生じる。第7 位のTiffany & Co(ブランド価値 4,208 百万US ドル)は、より多くの人々にとって手の届く“手ごろなラグジュアリー”としてのポジショニングを取っている。
■ラグジュアリーを象徴するブランドは単独型である。
サブ・ブランドによる新規カテゴリーへの拡張は、ビジネス戦略上、魅力のある選択肢ではあるが、トップ・ラグジュアリー・ブランドは、むやみにサブ・ブランドをつくってブランド体系を拡張したりしない。第1 位のLouis Vuitton(ブランド価値 21,602 百万US ドル)は、こうした妥協を許さないブランドの一つである。
■サプライ・チェーンのあらゆる要素がブランド構築につながる
ブランドの価値を守るために、トップ・ラグジュアリー・ブランドは徹底的にサプライ・チェーンの細部にこだわり、ときにはほぼ独裁に近いかたちで完全なコントロールをしている。第2 位のGucci(ブランド価値 8,254 百万US ドル)は完璧なブランド・エクスペリエンスを提供するために、ショーのステージ・デザインから、2008 年にニューヨークにオープンした世界最大かつ最も豪華な店舗のプロデュースまで、サプライ・チェーンにおけるブランド管理に細心の注意を払っている。
■トップ・ラグジュアリー・ブランドは、顧客の購買意欲を常に満たすのではなく、ときには焦らすことの必要性を知っている。
奇妙な関係ではあるが、いつ“NO”というべきかを知ること、すなわち誘惑される側ではなく誘惑する側でい続けるには、傲慢と紙一重の厳格さが必要である。たとえ世界有数の裕福な女性たちでも、第5 位のHermes(ブランド価値 4,575 百万US ドル)の有名なバーキン・バッグを手に入れるために順番待ちをしている。
■影響されずに、影響することが重要である。
近年のマーケティング手法には口コミを促すものがあるが、これはラグジュアリー・ブランドのブランド管理にとって大きな課題である。もしブランドの扱いを誤ったり、好ましくない連想につながるような行為をしたりすれば、顧客でさえもブランドのリスク要因となりうる。ブランドの最も熱狂的なファンが、実は最も危険な顧客という場合もある。
■トップ・ラグジュアリー・ブランドは“ビジネスプラン”だけでなく“哲学”を持っている。
何世紀にも渡ってビジネスの成功を維持させることはできても、顧客に卓越した価値を提供するために生まれたブランドが、その使命を果たし続けることは難しい。トップ・ラグジュアリー・ブランドの創始者は、腕のいい職人でありMBA 保有者ではない。
今回のラグジュアリー・ブランド研究からは、こうした有用なインサイトが得られた。今回ランクインしたラグジュアリー・ブランドは、現在のような不安定な経済環境下でも、他よりは上手く困難を切り抜けていくであろう。しかしながら市場は益々予測不可能な相を呈してきている。
“いまの経済的激動が社会にもたらす影響は、ラグジュアリー・ブランドの富裕層消費者の行動を永久に変えてしまうであろう。今回のラグジュアリー・ブランドの研究成果は、先行きが不透明な今の経済環境において、旧態依然としたビジネスのままでは不十分であることを示唆している。豊かな時代の余剰は尽き、いまは絶え間ない決断と信念、そして創造性が絶対的に求められる。”とインターブランドの欧州CEO でありラグジュアリー・ブランドの第一人者であるジャン・バプチスト・ダネは述べる。
【ラグジュアリーの定義】
ラグジュアリー・ブランドはB2C カテゴリーに属し、価格の影響をあまり受けない消費者層を顧客にもつブランドであることを前提条件としている。上位のラグジュアリー・ブランドでは、価格は購買意思決定において極めて限定的な役割であり、そしてブランドの次のような特性を表す: ブランド選択においてきわめて重要な要因である信頼性と卓越した品質; 代替品や類似品では得られない大きな魅力・渇望; 象徴的なステータス。今回の調査対象となったブランドは全て、収益の30%以上がブランドの起源国以外の市場であげられているグローバル・ブランドであり、米国、欧州およびアジアの主要市場で展開していることを条件に選ばれている。
【ランキング結果】
※順位/ブランド/2008年度ブランド価値(百万USドル)/2008年度ブランド価値(百万ユーロ)/ブランド起源国
1 LouisVuitton 21,602 16,718 France
2 Gucci 8,254 6,388 Italy
3 Chanel 6,355 4,918 France
4 Rolex 4,956 3,836 Switzerland
5 Hermes 4,575 3,541 France
6 Cartier 4,236 3,278 France
7 Tiffany&Co 4,208 3,257 United States
8 Prada 3,585 2,775 Italy
9 Ferrari 3,527 2,730 Italy
10 Bulgari 3,330 2,577 Italy
11 Burberry 3,285 2,542 United Kingdom
12 Dior 2,038 1,578 France
13 Patek Philippe 1,105 855 Switzerland
14 Zegna 818 633 Italy
15 Ferragamo 722 559 Italy
※出所: Interbrand、 2008 Leading Luxury Brands
※インターブランドのラグジュアリー・ブランドに関する調査レポートはwww.interbrand.com にてダウンロードが可能です。
【Interbrand について】
インターブランドは、1974 年に設立された世界的なブランドコンサルティング会社です。世界25 カ国・36 拠点のオフィスを通じ、世界的に展開している企業をはじめ、さまざまな組織・団体に対し、ブランディングに関する様々なサービスを提供しています。’Creating and Managing brand Value’のミッションのもと、戦略的な視点とクリエイティブの視点の両面から「ブランドを創り、その価値を高め、維持し、評価する」という一連のサービスを提供し、クライアントの最も価値ある資産であるブランドの価値向上をサポートしています。又、ブランドに関する一年間の調査結果として、“ The Best Global Brands ”の発表をし、ブランドについての論考が掲載されWebby-award で賞を獲得したbrandchannel.com を運営おります。インターブランドについてのさらに詳しい情報については、www.interbrand.comをご覧ください。
お問い合わせ先
株式会社インターブランドジャパン
担当:中村
tel:03-3230-1075 fax:03-3230-8772