“劇団☆新感線”でも“いのうえ歌舞伎”でもない! まったく新しいシェイクスピア。古田新太が魅力的な悪役を演じる「リチャード三世」を放送
[09/05/21]
提供元:PRTIMES
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WOWOWでは、エンターテインメント性豊かなステージで人気を集める「劇団☆新感線」の演出家いのうえひでのりが、初めて本格的なシェイクスピア劇に取り組んだ『いのうえmeetsシェイクスピア「リチャード三世」古田新太×安田成美』を23日(土)にオンエア。いのうえはこれまで「天保十二年のシェイクスピア」「メタル マクベス」など、シェイクスピアをアレンジした作品を演出してきたが、今回、満を持して古典劇に挑むことになった。その理由をいのうえ自身はこう語る。
「せっかくシェイクスピアを演出するなら、一度は真正面からやってみたい。特徴である長セリフや比喩を駆使した言い回し、今までそういうものを斜めに見ながら芝居を作ってきたけれど、批判ばかりせず、とにかく一回通してやってみようと。そう思ったのがきっかけですね。だから、アレンジ版では長いセリフをカットしたけれど、今回は極力削らないで、逆にシェイクスピアのセリフらしいニュアンスを強調するようにしました」
いのうえが選んだ演目はピカレスク・ロマン「リチャード三世」。15世紀のイングランドでヨーク家の天下が続いていたころ、王の末弟であるリチャードが策略をめぐらして王座を奪おうとする、希代の悪役の物語だ。この作品を選んだのは、タイトルロールであるリチャード三世を「劇団☆新感線」の看板役者・古田新太に演じさせたかったからだとか。
「今回のステージは、まず古田新太のリチャード三世を見たい!というところからスタートしているんです。リチャード三世役者というのはやっぱりあって、誰もが演じられるわけではなく、みんなが古田ならピッタリだと思っていた。だけど、この役は難物ですね。稽古が始まってみると、どんな舞台でも余裕のある古田が、初めてアップアップになっていました。セリフの量が膨大だし、基本的にはハイテンションでしゃべりつつ、いろんな声色を使わなきゃいけない。いつも書き込みさえない古田の台本がボロボロになっちゃって、相当追い詰められている感じでした。僕にとってはそれが面白かったけど(笑)」
「劇団☆新感線」の舞台をはじめ、蜷川幸雄や野田秀樹の作品にも出演、TVドラマでも「木更津キャッツアイ」シリーズのオジー役などで知られる古田。圧倒的な個性でどんな役でも自分のものにしてきた“怪優”が、この「リチャード三世」で限界点を超えてみせた。その演技はファンならずとも必見だ。そして、リチャードの策略にはまるランカスター家のアンには11年ぶりの舞台出演となる安田成美が扮し、悲劇の王妃を熱演。ほか、榎木孝明、大森博史、三田和代、銀粉蝶ら、実力派の俳優が脇を固めた。
役者の話すセリフは古典の台本に忠実でありつつ、美術や衣装は近未来的なイメージで、オリジナルの世界観を作り上げた今回の舞台。スクリーンにSF風の映像が映し出され、役者の独白と同時に字幕が流れるなど、いのうえ流の斬新な仕掛けが満載だ。
「核戦争で地下に閉じ込められた人々がそこをイングランドと呼んでいるという設定で、衣装はその地下に残っていた60年代のロンドン・ファッション。日本人が昔の英国王室の話を演じるということに、どうしても照れみたいなものがあって、一回ウソの世界を作ったほうがいいと思ったんです。今回は、そんなふうに劇団☆新感線やいのうえ歌舞伎とは違ったことができて面白かったですね。シェイクスピアの言葉の価値が上がっていくような楽しさ、奥深さを改めて発見しました。これはハマるなぁと(笑)。今回は古田のリチャード三世を見せる舞台だったけど、次はジャポネスクに変換して、日本人に分かりやすいリチャード三世を作ってみたいですね」
いのうえとシェイクスピアのコラボレーションは、ここから本格的に始動したようだ。放送では、そのエネルギッシュなステージの模様を22台のカメラを駆使しライブ感にあふれた映像でお届けする。
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http://www.wowow.co.jp/pg/detail/075423001/index.php