簡単に非走査で2次元カメラが作り出す光干渉断層画像、高速画像化を実現
[08/07/24]
提供元:PRTIMES
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独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
山形大学大学院理工学研究科
簡単な光干渉計(反射光強度を測定する装置)と2次元カメラで走査を行わずに
神経活動や生体組織の光干渉断層画像(光を測定対象物にあてて
戻ってきた光の干渉を解析して得られる 2次元の断層画像)を撮影する技術
【新規発表事項】
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、山形大学の准教授、渡部裕輝氏は、1ms以下の時間分解能で計測できる高速OCT (Optical Coherence Tomography、光干渉断層画像)を開発しました。
これまでは脳や神経系などの肉眼では捉えられない動きの速い現象に対しては、わずかな光量の変化を検出できる高いSN比を持つ光学的計測法(高速/高感度イメージングシステム)により1ms単位で測定されていました。
今回の開発では、この従来の方法では得ることができなかった“深さ情報(一定の深さまでの断面方向の情報)”が得られるようになりました。
従来の走査型のOCT でも“深さ情報”は取得できましたが、2軸の機械走査を行って干渉信号を点検出で測定する為、画像は1秒に数枚程度しか得られず、脳や神経系などの1ms以下の動きの速い現象を捉えることができませんでした。そこで、超高速CMOS カメラ(フレームレート3000fps)やInGaAs カメラ(同60fps、シャッター時間1ms)を用いた新しい技術を開発し、神経活動のセンシングへの応用が可能となりました。
1.背景および研究概要
開発した高速非走査OCTシステムにおいては、測定範囲5.8×2.8×2.0mm3 (x×y×z)、画素数512×250×512 が1/6 秒で測定でき、空間分解能は、35μm(x軸)、42μm(y軸)、11μm(z軸)との結果を得ました。
また波長1.3μm 帯のOCT システムでは、長波長の光のほうが光散乱の影響が少ないため、生体に対して進達度が高いことはよく知られていますが、1.3μm の光は、超高速度CMOSカメラでは検出できないため、この波長に感度のあるInGaAs カメラを使用する必要がありました。このInGaAsカメラのフレームレートは、60fpsとあまり速くないため、1msの短いシャッター時間で測定しても、2 枚の干渉画像からOCT 画像を求める方法では、サンプルの動きの影響が出てしまいます。そこで1 枚の干渉画像からOCT 画像を抽出する画像処理法について検討しました。検討を進めていく過程で、十分な感度で生体計測を行うためには、干渉画像から非干渉(DC)画像を差し引くことが必要であると分かり、この方法は完全なシングルショットOCT とは言えないので、「擬似シングルショット(quasi single shot)OCT」 と呼ぶべきものです。
2.競合技術への強み
神経興奮などを計測する従来の手法は、吸収や蛍光の変化を察知する膜電位感受性色素を用いた外因性の光シグナルや、神経活動変化時の組織の代謝上昇に起因した内因性光シグナルをイメージングして行っていました。この光学的な計測法の特徴は、神経活動という高速な電気現象をトレースするために1 msの時間分解能と神経活動に伴うわずかな光量の変化を検出する高いSN 比を有することです。ですが、表面からの変化しか捉えることができず、どの深さで変化が起きているのかという情報は欠落していました。こうした問題を解決するため、表面から2〜3mm の範囲を数μm から数十μm の高分解能でイメージングを行うOCTの利用が提案されています。しかし、通常、利用されているOCT 技術は、横と深さ方向への走査を交互に行い、点検出器で光干渉信号を検出する方式であるため、断層画像化の速度は数フレーム/秒(fps)であり、上記の神経活動の光計測法に比べ格段に遅くなります。そこで本研究では、高い時間分解能を有するOCT の試作開発を目的とし、研究を進めてきた結果、撮影速度を1000フレーム/秒に維持した非走査型のOCTの開発に成功しました。
3.今後の展望
基礎研究レベルでは成功の感触を得ていますので、今後は開発したOCTシステムによって、ラット脳を用いた神経活動のセンシングを行い、その解明・分析をめざします。
また、神経機能分析用として研究開発を進めてきましたが、非走査OCTは生体の断層画像の計測だけでなく、工業製品の表面形状計測においても有効と考えられますので、今後は産業分野における連携先も探し、さらなる実用化・事業化への展開を目指したいと思います。
山形大学大学院理工学研究科
簡単な光干渉計(反射光強度を測定する装置)と2次元カメラで走査を行わずに
神経活動や生体組織の光干渉断層画像(光を測定対象物にあてて
戻ってきた光の干渉を解析して得られる 2次元の断層画像)を撮影する技術
【新規発表事項】
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、山形大学の准教授、渡部裕輝氏は、1ms以下の時間分解能で計測できる高速OCT (Optical Coherence Tomography、光干渉断層画像)を開発しました。
これまでは脳や神経系などの肉眼では捉えられない動きの速い現象に対しては、わずかな光量の変化を検出できる高いSN比を持つ光学的計測法(高速/高感度イメージングシステム)により1ms単位で測定されていました。
今回の開発では、この従来の方法では得ることができなかった“深さ情報(一定の深さまでの断面方向の情報)”が得られるようになりました。
従来の走査型のOCT でも“深さ情報”は取得できましたが、2軸の機械走査を行って干渉信号を点検出で測定する為、画像は1秒に数枚程度しか得られず、脳や神経系などの1ms以下の動きの速い現象を捉えることができませんでした。そこで、超高速CMOS カメラ(フレームレート3000fps)やInGaAs カメラ(同60fps、シャッター時間1ms)を用いた新しい技術を開発し、神経活動のセンシングへの応用が可能となりました。
1.背景および研究概要
開発した高速非走査OCTシステムにおいては、測定範囲5.8×2.8×2.0mm3 (x×y×z)、画素数512×250×512 が1/6 秒で測定でき、空間分解能は、35μm(x軸)、42μm(y軸)、11μm(z軸)との結果を得ました。
また波長1.3μm 帯のOCT システムでは、長波長の光のほうが光散乱の影響が少ないため、生体に対して進達度が高いことはよく知られていますが、1.3μm の光は、超高速度CMOSカメラでは検出できないため、この波長に感度のあるInGaAs カメラを使用する必要がありました。このInGaAsカメラのフレームレートは、60fpsとあまり速くないため、1msの短いシャッター時間で測定しても、2 枚の干渉画像からOCT 画像を求める方法では、サンプルの動きの影響が出てしまいます。そこで1 枚の干渉画像からOCT 画像を抽出する画像処理法について検討しました。検討を進めていく過程で、十分な感度で生体計測を行うためには、干渉画像から非干渉(DC)画像を差し引くことが必要であると分かり、この方法は完全なシングルショットOCT とは言えないので、「擬似シングルショット(quasi single shot)OCT」 と呼ぶべきものです。
2.競合技術への強み
神経興奮などを計測する従来の手法は、吸収や蛍光の変化を察知する膜電位感受性色素を用いた外因性の光シグナルや、神経活動変化時の組織の代謝上昇に起因した内因性光シグナルをイメージングして行っていました。この光学的な計測法の特徴は、神経活動という高速な電気現象をトレースするために1 msの時間分解能と神経活動に伴うわずかな光量の変化を検出する高いSN 比を有することです。ですが、表面からの変化しか捉えることができず、どの深さで変化が起きているのかという情報は欠落していました。こうした問題を解決するため、表面から2〜3mm の範囲を数μm から数十μm の高分解能でイメージングを行うOCTの利用が提案されています。しかし、通常、利用されているOCT 技術は、横と深さ方向への走査を交互に行い、点検出器で光干渉信号を検出する方式であるため、断層画像化の速度は数フレーム/秒(fps)であり、上記の神経活動の光計測法に比べ格段に遅くなります。そこで本研究では、高い時間分解能を有するOCT の試作開発を目的とし、研究を進めてきた結果、撮影速度を1000フレーム/秒に維持した非走査型のOCTの開発に成功しました。
3.今後の展望
基礎研究レベルでは成功の感触を得ていますので、今後は開発したOCTシステムによって、ラット脳を用いた神経活動のセンシングを行い、その解明・分析をめざします。
また、神経機能分析用として研究開発を進めてきましたが、非走査OCTは生体の断層画像の計測だけでなく、工業製品の表面形状計測においても有効と考えられますので、今後は産業分野における連携先も探し、さらなる実用化・事業化への展開を目指したいと思います。