スピリーバ(R) (チオトロピウム)、POET-COPD(R)試験の結果から、長時間作用型β刺激薬サルメテロールよりもCOPDの増悪リスク抑制に優れることが判明
[11/03/24]
提供元:PRTIMES
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COPDの増悪リスク抑制に関する直接比較試験において、スピリーバ(R)(チオトロピウム)がサルメテロールよりも有意に優れていることが示される
New England Journal of Medicine (NEJM) に掲載された1年間の Prevention Of Exacerbations with Tiotropium in COPD (チオトロピウムによるCOPDの増悪の予防、POET-COPD(R))試験の結果によると、スピリーバ(R) (チオトロピウム) は、慢性閉塞性肺疾患 (COPD)の増悪リスク抑制においてサルメテロールよりも優れていることが判明しました 。POET-COPD(R)試験は、中等度から重度のCOPDの増悪に対する長時間作用型抗コリン薬スピリーバ(R) と長時間作用型β刺激薬サルメテロールの作用を比較するために計画された大規模な1年間の直接比較試験です1。COPDの増悪は本疾患の進行と肺機能低下の主要な指標であり、その予防は重要な治療目標です2,3,4。
POET-COPD(R) 試験の結果
中等症から最重症のCOPD患者7376名を対象としたPOET-COPD(R)試験の結果によると、スピリーバ(R)はサルメテロールよりもCOPDの初回増悪までの期間を有意に遅らせ、そのリスクを17%抑制しました (p<0.001)。長時間作用型β刺激薬サルメテロールと比較した1年間の本試験で、スピリーバ(R)は中等度のCOPDの増悪リスクを14 % (p<0.001) 抑制し、入院を要する重度のCOPDの増悪リスクを28 % (p<0.001) 抑制しました1。またスピリーバ(R) は、COPD患者の1年間の増悪回数を11%抑制し(p=0.002)、全身性ステロイド薬、抗菌薬、またはその両方での治療が必要なCOPDの増悪リスクをそれぞれサルメテロールよりも23%、15%、24%抑制しました(p<0.001) 1。
POET-COPD(R) 試験結果についてのコメントとして、本治験責任医師であるドイツ・マールブルグ大学(University of Marburg)内科学呼吸器疾患部教授のクラウス・フォーゲルマイヤー(Claus Vogelmeier)博士は、「増悪は患者の生活の質、COPDの状態(呼吸機能)に甚大な影響を及ぼし、死亡率を高めます。COPDの増悪に関するこの大規模な試験によって、COPDの安定期治療の第1選択薬としてチオトロピウムを使用すると、早期からCOPDの増悪リスクを最小限に抑制することを助け、患者がより長く活動的な生活を送れるようになることが裏づけられました」と述べました。
本試験では2691名の患者に合計4411件のCOPDの増悪がみられ、増悪のあった患者の44%が中等症 (GOLD ではステージII) のCOPDでした1。初回増悪までの期間および患者あたりの年間増悪回数に関するスピリーバ(R)の影響は、年齢、性別、喫煙状況、COPDの重症度(GOLD ステージによる)、体格指数、ベースライン時の吸入コルチコステロイドの使用というあらかじめ決められたサブグループに分けた解析のすべてにわたって一貫していました。さらに、治療開始の1ヵ月以降から長時間作用型β刺激薬サルメテロールに対してスピリーバ(R)が示した有意な改善は、1年の試験期間を通じて維持されました1。
スピリーバ(R)とサルメテロールの安全性プロファイルは、これまでに科学文献で十分証明されていますが5,6,7,8、POET-COPD(R)試験の安全性解析によって、十分確立されてきたスピリーバ(R)のCOPD 治療での安全性プロファイルが改めて確認されました。安全性に関する新たな (予期しない) 知見はありませんでした。治療の中断につながる重篤な有害事象と致死的な有害事象の比率は2剤間で同様でした1。
COPDの増悪
COPDの増悪はCOPD症状の急激な悪化であり、患者の健康に深刻な影響を及ぼします。増悪の頻繁な発生はCOPDの悪化と進行を意味します2,3,4。これが原因で経年的な肺機能の低下がより急激に進み、最重症のCOPDでは死亡率が上昇します。また患者の健康面での生活の質を低下させます 2,3,4。経済的な分析によって、COPDの増悪による入院費用はCOPD患者に支出する全医療費の40〜70%を占めることが判明しています9,10,11,12。COPD患者の入院費用は、米国だけで61億ドルと推定されています12。このように入院がCOPDの管理費用において最大の割合を占めているので、重症度を問わず、入院を抑制するための介入がCOPDの治療費に非常に大きな影響を与えます9。
POET-COPD(R)試験は1年間のランダム化ダブルダミー法による二重盲検並行群間試験で、25ヵ国725施設から中等症から重症のCOPD患者7376名を対象としました1。本試験は、長時間作用型気管支拡張剤2剤の増悪に対する作用を比較することに特化して計画されたもので、この2剤はともに国際的なガイドラインでCOPDの安定期の治療剤として推奨され、広く利用されているものです13,14。
「COPDの増悪はCOPDの初期段階 (GOLDのステージII等) でも生じることがあります。そしてその増悪は疾患経過中に繰り返し起こるので、COPD患者にとって、かなりの個人的、医学的、社会的、経済的負担になります。そのためCOPDの増悪の予防は安定期の治療において重要な管理目標であり、COPD患者にとって、重大な関心事なのです」とドイツ、キール大学(University of Kiel)薬学部教授でグロースハンスドルフ病院(Grosshansdorf Hospital)のクラウス・ラーベ(Klaus Rabe)博士は述べています。「2つの長時間作用型気管支拡張剤を比較したPOET-COPD(R)試験の結果は、COPDの安定期治療の管理において診療や増悪の予防を導く助けとなるはずです」。
記者会見のウェブキャストの視聴や関連背景資料へのアクセスは、下記サイトをご覧ください。
http://boehringer-ingelheim-webcast.com/spiriva/
当プレスリリースについて
当資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)と米国のファイザー社(Pfizer Inc)が3月23日付でグローバルに配信したプレスリリースの日本語版であり日本国内の状況と異なる情報が含まれる場合があります。内容および解釈は、オリジナルである英文が優先します。下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.com/
www.pfizer.com
肺の生活習慣病COPD(慢性閉塞性肺疾患:慢性気管支炎・肺気腫)
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、喫煙習慣が主な原因となる肺の生活習慣病で、以前は肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていたものを包括したものです。進行性で、息切れから日常生活に支障を来し、更には酸素吸入や死に直結します。WHOの統計から、2005年現在で世界では2億1,000万人がCOPDに罹患しています。また、乳がんと糖尿病を合わせた死者数よりも多い、年間300万人がCOPDを原因として亡くなるとの実態が示されました。日本では疫学調査から、500万人以上がCOPDに罹患していると推計されていますが(NICEスタディ2001年)、実際に治療を受けているのはわずか約22万人に過ぎません(厚生労働省統計2005年)。また、進行したCOPD患者に起こる増悪は、呼吸機能の低下を加速させるといわれています。早期診断と適切な治療の継続が、患者の予後や生活の質を大きく好転させます。
POET-COPD (R)試験とは
POET (Prevention Of Exacerbations with Tiotropium)-COPD(R) 試験は1年間の多施設 (725 施設) 多国間 (25ヵ国) ランダム化ダブルダミー法による二重盲検並行群間試験で、男女7376名のCOPD患者を対象としました。本試験の主要評価項目は、COPDの増悪に対するハンディヘラー(R) 吸入器を使ったスピリーバ(R) (18 ?g) 吸入カプセルの作用と、HFA定量吸入器(MDI) を使ったサルメテロール (50 ?g) の作用を比較することでした1 。
本試験への組入れ基準は、40 歳以上で10 Pack・Year以上の喫煙歴があり、前年内に全身性ステロイドや抗菌薬、または入院による治療の必要な増悪が1回以上あった、中等症から最重症のCOPDと診断されている患者でした1。
スピリーバ(R)(一般名:チオトロピウム)について
スピリーバ(R)はベーリンガーインゲルハイムが発見・開発し、日本を含めグローバルでファイザー社とコ・プロモーションを展開する1日1回吸入の長時間作用型抗コリン性気管支拡張剤です。「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」を適応症として承認されています。COPDの臨床経過に好影響を与えるとともに、患者がCOPDと付き合いながら健やかな日々を送っていただくことに寄与します。スピリーバ(R)は長時間作用型気管支拡張剤のひとつとして、GOLDや日本呼吸器学会などによる主な治療ガイドラインで、COPDに継続的に使用する治療選択肢として推奨されています。スピリーバ(R)は2002年6月に欧州で新発売されました。日本でも2004年12月に発売され、現在では米国を含む計80カ国以上で販売されています。2010年5月10日には、従来の吸入用カプセル剤「スピリーバ(R)吸入用カプセル18μg」に加えて、新たなキット製剤「スピリーバ(R)2.5μgレスピマット(R)60吸入」を新発売しています。レスピマット(R)は、噴射ガスを使わずに粒子の細かい霧(ミスト)を噴出する新しいソフトミスト吸入器です。従来の吸入用カプセル剤(ハンディヘラー(R)を用いて吸入するもの)と臨床的に同等の治療効果が得られます。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界50ヵ国に142の関連会社を持つベーリンガーインゲルハイムグループは、世界で41,500名の従業員を有するトップ20の製薬企業のひとつです。1885年の設立以来、125年を超えてもなお株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、人々の健康および保健医療の向上に寄与すべく、ヒト用医薬品およびアニマルヘルス(動物薬)を中心にビジネスを展開しています。2009年度は127億ユーロの売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の約5分の1相当額を研究開発に投資しました。
日本ベーリンガーインゲルハイムは同グループの一員として、日本で50年にわたる企業活動を展開してきました。グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所や、国内向けとして山形に生産拠点を擁し、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で有用な医薬品を提供しています。詳細は当社のホームページをご覧ください。
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp
References:
1 Vogelmeier C, Hederer B, Glaab T, et al. Tiotropium versus salmeterol for the prevention of exacerbations of COPD. N Engl J Med 2011;364(12)
2 Donaldson GC, Seemungal TAR, Bhowmik A, et al. Relationship between exacerbation frequency and lung function decline in chronic obstructive pulmonary disease. Thorax 2002;57:847-52.
3 Soler-Cataluña JJ, Martínez-García MÁ, Román Sánchez P, et al. Severe acute exacerbations and mortality in patients with chronic obstructive pulmonary disease. Thorax 2005;60:925-31.
4 Wedzicha JA, Seemungal TA. COPD exacerbations: defining their cause and prevention. Lancet 2007;370:786-96.
5 Celli B, Decramer M, Leimer I, et al. Cardiovascular safety of tiotropium in patients with COPD. Chest 2010;137:20-30.
6 Kesten S, Celli B, Decramer M, et al. Tiotropium HandiHaler(R) in the treatment of COPD: A safety review. Int J COPD 2009;4:397-409.
7 Ferguson GT, Funck-Brentano C, Fischer T, et al. Cardiovascular safety of salmeterol in COPD. Chest 2003;123:1817-24.
8 Rodrigo GJ, Moral VP, Marcos LG, et al. Safety of regular use of long-acting beta agonists as monotherapy or added to inhaled corticosteroids in asthma. A systematic review. Pulm Pharmacol Ther 2009;22:9-19.
9 Hilleman DE, Dewan N, Malesker M, et al. Pharmacoeconomic evaluation of COPD. Chest 2000;118(5)1278-1285.
10 Strassels SA, Smith DH, Sullivan SD, et al. The costs of treating COPD in the United States. Chest 2001;119(2):344-352.
10 Rodriguez-Roisin R. Impacting patient-centred outcomes in COPD: exacerbations and hospitalizations. Eur Respir Rev 2006; 15: 99, 47-50.
11 Chapman KR, Mannino DM, Soriano JB, et al. Epidemiology and costs of chronic obstructive pulmonary disease. Eur Respir J 2006;27:188-207.
12 Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. Global strategy for the diagnosis, management and prevention of chronic obstructive pulmonary disease. Updated 2009. http://www.goldcopd.com/Guidelineitem.asp?l1=2&l2=1&intId=2003. (Accessed 10 December 2010).
13 American Thoracic Society and European Respiratory Society. Standards for the Diagnosis and Management of Patients with COPD. 2004. http://www.copd-ats-ers.org/copddoc.pdf. (Accessed: 10 December 2010).
New England Journal of Medicine (NEJM) に掲載された1年間の Prevention Of Exacerbations with Tiotropium in COPD (チオトロピウムによるCOPDの増悪の予防、POET-COPD(R))試験の結果によると、スピリーバ(R) (チオトロピウム) は、慢性閉塞性肺疾患 (COPD)の増悪リスク抑制においてサルメテロールよりも優れていることが判明しました 。POET-COPD(R)試験は、中等度から重度のCOPDの増悪に対する長時間作用型抗コリン薬スピリーバ(R) と長時間作用型β刺激薬サルメテロールの作用を比較するために計画された大規模な1年間の直接比較試験です1。COPDの増悪は本疾患の進行と肺機能低下の主要な指標であり、その予防は重要な治療目標です2,3,4。
POET-COPD(R) 試験の結果
中等症から最重症のCOPD患者7376名を対象としたPOET-COPD(R)試験の結果によると、スピリーバ(R)はサルメテロールよりもCOPDの初回増悪までの期間を有意に遅らせ、そのリスクを17%抑制しました (p<0.001)。長時間作用型β刺激薬サルメテロールと比較した1年間の本試験で、スピリーバ(R)は中等度のCOPDの増悪リスクを14 % (p<0.001) 抑制し、入院を要する重度のCOPDの増悪リスクを28 % (p<0.001) 抑制しました1。またスピリーバ(R) は、COPD患者の1年間の増悪回数を11%抑制し(p=0.002)、全身性ステロイド薬、抗菌薬、またはその両方での治療が必要なCOPDの増悪リスクをそれぞれサルメテロールよりも23%、15%、24%抑制しました(p<0.001) 1。
POET-COPD(R) 試験結果についてのコメントとして、本治験責任医師であるドイツ・マールブルグ大学(University of Marburg)内科学呼吸器疾患部教授のクラウス・フォーゲルマイヤー(Claus Vogelmeier)博士は、「増悪は患者の生活の質、COPDの状態(呼吸機能)に甚大な影響を及ぼし、死亡率を高めます。COPDの増悪に関するこの大規模な試験によって、COPDの安定期治療の第1選択薬としてチオトロピウムを使用すると、早期からCOPDの増悪リスクを最小限に抑制することを助け、患者がより長く活動的な生活を送れるようになることが裏づけられました」と述べました。
本試験では2691名の患者に合計4411件のCOPDの増悪がみられ、増悪のあった患者の44%が中等症 (GOLD ではステージII) のCOPDでした1。初回増悪までの期間および患者あたりの年間増悪回数に関するスピリーバ(R)の影響は、年齢、性別、喫煙状況、COPDの重症度(GOLD ステージによる)、体格指数、ベースライン時の吸入コルチコステロイドの使用というあらかじめ決められたサブグループに分けた解析のすべてにわたって一貫していました。さらに、治療開始の1ヵ月以降から長時間作用型β刺激薬サルメテロールに対してスピリーバ(R)が示した有意な改善は、1年の試験期間を通じて維持されました1。
スピリーバ(R)とサルメテロールの安全性プロファイルは、これまでに科学文献で十分証明されていますが5,6,7,8、POET-COPD(R)試験の安全性解析によって、十分確立されてきたスピリーバ(R)のCOPD 治療での安全性プロファイルが改めて確認されました。安全性に関する新たな (予期しない) 知見はありませんでした。治療の中断につながる重篤な有害事象と致死的な有害事象の比率は2剤間で同様でした1。
COPDの増悪
COPDの増悪はCOPD症状の急激な悪化であり、患者の健康に深刻な影響を及ぼします。増悪の頻繁な発生はCOPDの悪化と進行を意味します2,3,4。これが原因で経年的な肺機能の低下がより急激に進み、最重症のCOPDでは死亡率が上昇します。また患者の健康面での生活の質を低下させます 2,3,4。経済的な分析によって、COPDの増悪による入院費用はCOPD患者に支出する全医療費の40〜70%を占めることが判明しています9,10,11,12。COPD患者の入院費用は、米国だけで61億ドルと推定されています12。このように入院がCOPDの管理費用において最大の割合を占めているので、重症度を問わず、入院を抑制するための介入がCOPDの治療費に非常に大きな影響を与えます9。
POET-COPD(R)試験は1年間のランダム化ダブルダミー法による二重盲検並行群間試験で、25ヵ国725施設から中等症から重症のCOPD患者7376名を対象としました1。本試験は、長時間作用型気管支拡張剤2剤の増悪に対する作用を比較することに特化して計画されたもので、この2剤はともに国際的なガイドラインでCOPDの安定期の治療剤として推奨され、広く利用されているものです13,14。
「COPDの増悪はCOPDの初期段階 (GOLDのステージII等) でも生じることがあります。そしてその増悪は疾患経過中に繰り返し起こるので、COPD患者にとって、かなりの個人的、医学的、社会的、経済的負担になります。そのためCOPDの増悪の予防は安定期の治療において重要な管理目標であり、COPD患者にとって、重大な関心事なのです」とドイツ、キール大学(University of Kiel)薬学部教授でグロースハンスドルフ病院(Grosshansdorf Hospital)のクラウス・ラーベ(Klaus Rabe)博士は述べています。「2つの長時間作用型気管支拡張剤を比較したPOET-COPD(R)試験の結果は、COPDの安定期治療の管理において診療や増悪の予防を導く助けとなるはずです」。
記者会見のウェブキャストの視聴や関連背景資料へのアクセスは、下記サイトをご覧ください。
http://boehringer-ingelheim-webcast.com/spiriva/
当プレスリリースについて
当資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)と米国のファイザー社(Pfizer Inc)が3月23日付でグローバルに配信したプレスリリースの日本語版であり日本国内の状況と異なる情報が含まれる場合があります。内容および解釈は、オリジナルである英文が優先します。下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.com/
www.pfizer.com
肺の生活習慣病COPD(慢性閉塞性肺疾患:慢性気管支炎・肺気腫)
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、喫煙習慣が主な原因となる肺の生活習慣病で、以前は肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていたものを包括したものです。進行性で、息切れから日常生活に支障を来し、更には酸素吸入や死に直結します。WHOの統計から、2005年現在で世界では2億1,000万人がCOPDに罹患しています。また、乳がんと糖尿病を合わせた死者数よりも多い、年間300万人がCOPDを原因として亡くなるとの実態が示されました。日本では疫学調査から、500万人以上がCOPDに罹患していると推計されていますが(NICEスタディ2001年)、実際に治療を受けているのはわずか約22万人に過ぎません(厚生労働省統計2005年)。また、進行したCOPD患者に起こる増悪は、呼吸機能の低下を加速させるといわれています。早期診断と適切な治療の継続が、患者の予後や生活の質を大きく好転させます。
POET-COPD (R)試験とは
POET (Prevention Of Exacerbations with Tiotropium)-COPD(R) 試験は1年間の多施設 (725 施設) 多国間 (25ヵ国) ランダム化ダブルダミー法による二重盲検並行群間試験で、男女7376名のCOPD患者を対象としました。本試験の主要評価項目は、COPDの増悪に対するハンディヘラー(R) 吸入器を使ったスピリーバ(R) (18 ?g) 吸入カプセルの作用と、HFA定量吸入器(MDI) を使ったサルメテロール (50 ?g) の作用を比較することでした1 。
本試験への組入れ基準は、40 歳以上で10 Pack・Year以上の喫煙歴があり、前年内に全身性ステロイドや抗菌薬、または入院による治療の必要な増悪が1回以上あった、中等症から最重症のCOPDと診断されている患者でした1。
スピリーバ(R)(一般名:チオトロピウム)について
スピリーバ(R)はベーリンガーインゲルハイムが発見・開発し、日本を含めグローバルでファイザー社とコ・プロモーションを展開する1日1回吸入の長時間作用型抗コリン性気管支拡張剤です。「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」を適応症として承認されています。COPDの臨床経過に好影響を与えるとともに、患者がCOPDと付き合いながら健やかな日々を送っていただくことに寄与します。スピリーバ(R)は長時間作用型気管支拡張剤のひとつとして、GOLDや日本呼吸器学会などによる主な治療ガイドラインで、COPDに継続的に使用する治療選択肢として推奨されています。スピリーバ(R)は2002年6月に欧州で新発売されました。日本でも2004年12月に発売され、現在では米国を含む計80カ国以上で販売されています。2010年5月10日には、従来の吸入用カプセル剤「スピリーバ(R)吸入用カプセル18μg」に加えて、新たなキット製剤「スピリーバ(R)2.5μgレスピマット(R)60吸入」を新発売しています。レスピマット(R)は、噴射ガスを使わずに粒子の細かい霧(ミスト)を噴出する新しいソフトミスト吸入器です。従来の吸入用カプセル剤(ハンディヘラー(R)を用いて吸入するもの)と臨床的に同等の治療効果が得られます。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界50ヵ国に142の関連会社を持つベーリンガーインゲルハイムグループは、世界で41,500名の従業員を有するトップ20の製薬企業のひとつです。1885年の設立以来、125年を超えてもなお株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、人々の健康および保健医療の向上に寄与すべく、ヒト用医薬品およびアニマルヘルス(動物薬)を中心にビジネスを展開しています。2009年度は127億ユーロの売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の約5分の1相当額を研究開発に投資しました。
日本ベーリンガーインゲルハイムは同グループの一員として、日本で50年にわたる企業活動を展開してきました。グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所や、国内向けとして山形に生産拠点を擁し、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で有用な医薬品を提供しています。詳細は当社のホームページをご覧ください。
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp
References:
1 Vogelmeier C, Hederer B, Glaab T, et al. Tiotropium versus salmeterol for the prevention of exacerbations of COPD. N Engl J Med 2011;364(12)
2 Donaldson GC, Seemungal TAR, Bhowmik A, et al. Relationship between exacerbation frequency and lung function decline in chronic obstructive pulmonary disease. Thorax 2002;57:847-52.
3 Soler-Cataluña JJ, Martínez-García MÁ, Román Sánchez P, et al. Severe acute exacerbations and mortality in patients with chronic obstructive pulmonary disease. Thorax 2005;60:925-31.
4 Wedzicha JA, Seemungal TA. COPD exacerbations: defining their cause and prevention. Lancet 2007;370:786-96.
5 Celli B, Decramer M, Leimer I, et al. Cardiovascular safety of tiotropium in patients with COPD. Chest 2010;137:20-30.
6 Kesten S, Celli B, Decramer M, et al. Tiotropium HandiHaler(R) in the treatment of COPD: A safety review. Int J COPD 2009;4:397-409.
7 Ferguson GT, Funck-Brentano C, Fischer T, et al. Cardiovascular safety of salmeterol in COPD. Chest 2003;123:1817-24.
8 Rodrigo GJ, Moral VP, Marcos LG, et al. Safety of regular use of long-acting beta agonists as monotherapy or added to inhaled corticosteroids in asthma. A systematic review. Pulm Pharmacol Ther 2009;22:9-19.
9 Hilleman DE, Dewan N, Malesker M, et al. Pharmacoeconomic evaluation of COPD. Chest 2000;118(5)1278-1285.
10 Strassels SA, Smith DH, Sullivan SD, et al. The costs of treating COPD in the United States. Chest 2001;119(2):344-352.
10 Rodriguez-Roisin R. Impacting patient-centred outcomes in COPD: exacerbations and hospitalizations. Eur Respir Rev 2006; 15: 99, 47-50.
11 Chapman KR, Mannino DM, Soriano JB, et al. Epidemiology and costs of chronic obstructive pulmonary disease. Eur Respir J 2006;27:188-207.
12 Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. Global strategy for the diagnosis, management and prevention of chronic obstructive pulmonary disease. Updated 2009. http://www.goldcopd.com/Guidelineitem.asp?l1=2&l2=1&intId=2003. (Accessed 10 December 2010).
13 American Thoracic Society and European Respiratory Society. Standards for the Diagnosis and Management of Patients with COPD. 2004. http://www.copd-ats-ers.org/copddoc.pdf. (Accessed: 10 December 2010).