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現役復帰から丸1年経ったクルム伊達公子を直撃!復帰した理由、目指すゴールとは?




5月24日から熱戦が繰り広げられている全仏オープンテニス(-6月7日まで)。1995年の同大会で、日本人選手として初のベスト4に進出したのが、昨年に現役復帰を果たしたクルム伊達公子だ。そんな彼女に直撃インタビュー。全仏の見どころや6月22日から開催されるウィンブルドンテニス、気になる日本人プレーヤーなどについて聞いてみた。


--現在、全仏オープンが開催されています。ご自身、1995年にベスト4まで進出された思い出深い大会だと思いますが、全仏の魅力についてお聞かせ下さい。

クルム伊達:「何よりも華やかさが魅力だと思います。レッドクレーコートの上で戦う選手達のタフな精神力、フィジカル、技術力は本当に素晴らしいです。さらに、周りにいる観客の皆さんがとても華やかなので、そこにも目を向けるとヨーロッパの素晴らしさが垣間見えると思いますよ」


--6月22日から開催されるウィンブルドンについてはいかがですか?

クルム伊達:「ウィンブルドンの魅力は、なんと言っても伝統。会場に来ている方たちもネクタイをしてジャケットを着用している方が多いですし、大会の歴史が持つ重みが凄く感じられます。そして今年からは、新しく屋根がつけられたセンターコートが使われます。昨年までは、雨が降るとウィンブルドンは中断をするというイメージが強かったですが、今年からセンターコートに限っては雨が降っても試合が続行できます。その変化についても注目して下さい」


--ウィンブルドンの本戦では、クルム伊達選手の勇姿を是非見たいのですが。

クルム伊達:「私も行きたいです!ウィンブルドンは、唯一本戦会場と予選会場が違うんですよ。予選で負けると会場にも入れない。パスのセキュリティーチェックも厳しくて、あのボリス・ベッカーですらパスを忘れ「オレはベッカーだ」と言っても会場内に入れてもらえなかったという有名な話があるくらいですから」


--クルム伊達選手にとって、世界挑戦の意味をお聞かせ下さい。

クルム伊達:「引退前は世界のトップを夢みて走り続けていました。今も基本的なスタンスは昔と変わらないんですけど、とはいえトップ10を目指しているわけではありません。一度テニスを離れたことで、テニスの魅力を私自身が再認識したんです。日本中でテニスの競技人口は多いけれど、ポピュラーなスポーツになり切れていない。だから今は『テニスという競技の魅力を、もっと多くの人に知ってもらいたい』という気持ちでテニスを続けています。世界の子供達にテニスの楽しさを知ってもらうイベント『キッズテニス』を引退後に始めたのも、その気持ちからでした。そして今は、自分自身がコートに立つことによってテニスの魅力を伝えていきたいと思っています。自分への挑戦という部分では、38歳という年齢や13年ものブランクを理由にして自分自身で限界を作ったりせず、これからも可能性を広げていきたいと思っています。以前は試合に負けたり自分が納得できないプレーをすると、『この世の終わりが来た』みたいに落胆しました。当然今も負けることは嫌いだし、楽しくはないですけど、すぐに切り替えられるようになった。自分の状況を上手く整理して、すぐに前向きになれる。苦しんでいる事すらも楽しいと思えるようになりましたよ」


--現在、日本のテニス界を牽引している杉山愛選手や錦織圭選手についてはいかがですか?

クルム伊達:「杉山さんはトップ100とかトップ80とかではなく、トップ30をキープして長いキャリアを重ねているのは本当に凄いこと。彼女の精神的なタフさと、怪我をしない強いフィジカルを持っているからこそですね。勝ったり負けたりの連続で、毎週ランキングに追われるテニスの世界に身をおいて、トップ30をキープすることは大変なことです。彼女も一時期勝てなくて辛い時期があったにも関わらず、再びトップ20に戻った。その精神力は、並大抵のものではありません。錦織選手については、日本男子選手の中から大きな可能性のある選手が出てきたことは日本のテニス界にとって凄く大きなことです。彼は技術的なことだけではなくて華のある選手。人を惹きつける物を持っている選手だということは、何よりも大きいと思いますね」


--杉山選手は『クルム伊達選手の精神力は私には計り知れない』とおっしゃっていましたが?

クルム伊達:「いやいやいや(笑)。杉山さんの方がタフですよ!一時期はシングルス・ダブルス・ミックスダブルスの3種目を戦っていましたからね」


--錦織選手がこれからランキングを上げていくために何が必要だと思いますか?

クルム伊達:「サービス力じゃないですかね。長身の選手が多い中で彼はそれほど大きくない。サーブを工夫して、自分のサービスのキープ力をあげる事。私も人の事をいえる立場ではないんですけど、特に男子の世界では、トップ20、トップ10を目指して行くためには、サービスのキープ力が求められてくると思います」


--最後に、クルム伊達選手に共感している同世代の方々へメッセージをお願いします。

クルム伊達:「いつも応援していただき、ありがとうございます。私が再チャレンジを初めてから1年が経ちました。自分の中ではとにかく限界を作らず、出来ることをやろうと日々努力しています。そして、皆さんにとっても日々の中でチャレンジできることはたくさんあると思います。私のプレーを通じて、チャレンジ出来る楽しさを実感してもらって自分の世界を広げてもらえればと思います。これからも応援を宜しくお願いします」

▼グランドスラム4大大会に関する詳しい情報はこちら!
http://www.wowow.co.jp/tennis/index.html
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