知財で儲けられない理由は、機密情報を機密情報として扱っていないこと/「利益を出す知財・法務部のためのVDRテクノロジー」セミナーレポート
[19/08/30]
提供元:PRTIMES
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eディスカバリー、フォレンジック、VDR、及び司法インフラLegalSearch.jpを提供しているリーガルテック株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 佐々木 隆仁)は、2019年7月16日(火)、早稲田大 森教授をお招きし、《 xTECHとワイン「利益を出す知財・法務部のためのVDRテクノロジーとワイン」》セミナーを日比谷WeWorkにて開催しました。
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「利益を出す知財・法務部のためのVDRテクノロジーとワイン」と題され、日比谷WeWorkでは初めての開催となり、またテーマも「知財」についてという新鮮味溢れるセミナーとなった。
■レポート
早稲田大学創造理工学部 森康晃教授より「知財がもっとも効力を発揮するのは裁判などの場である」との指摘があった。日本では有形資産については、マネジメントも多種多様ある。しかし、知財のような無形資産の管理となると、世界的に見て日本は後発国であるとのこと。そこで、大学に戻り、知財についての知見を磨くことを決めたという
「特許を取れたら勲章だ、技術としてはスゴイということもあります。確かに技術としてはすばらしい点もあります。しかし、特許の取れ方によっては今度は大きなどんでん返しを食らって、損失を生み出してしまう可能性もあります。そこが特許の怖いところです」。と話す森教授に対して、AOSグループ代表佐々木 隆仁は以下のように答えた。
「知財は知財としてまずはすばらしい点が源泉になります。しかし、知財権という権利になると非常に泥臭くなります。いろいろな戦略が絡んできます。制度論、人間の利益、企業の戦略が絡んできて、データとしては特許庁の公開されているデータがあるんですけれども、それを事実として権利範囲をどのように取るのかが問題になります。無難に行くのか、それとも広げるのか?広げようとすると、既存の進歩性のある、新規性がある、先行技術、先行特許との兼ね合いで、本来の特許の非新規性が認められてしまいます。結果、後になって無効となり、分散してしまうこともあります。この欲をどう適度にコントロールしていくかも、人間の価値判断という要素が絡んできます」。
また、早稲田大学の知財の扱いや現状について、森教授によれば、早稲田大学は理工学部の学生を中心に、その中で企業との共同研究を行っている。しかし、どちらかというと企業にまかせてしまう部分があり、早稲田大学全体知財のライセンス収入が400万円という金額はちょっと信じられない数字であることも明かした。研究資金についても、国や民間企業の資金と比較すると、あまりにも少ない金額となっているとのこと。これは大学では研究者に発明者や研究者に利益を配分する仕組みがなく、ライセンスポリシーやNDAもできていないことも理由であった。
佐々木氏は「大学が知財で儲けられない理由は、機密情報を機密情報として扱っていないことが本質的な問題です。知的財産権をきちんと機密情報として先生方が意識しないので、知財で稼ぐことができない。さらに、最終的には個人のインセンティブがとても重要ですが、その仕組みもありません。リーガルテック社が提供するAOSデータルームは基本的に複数の人と合理的にデューデリができるように作られた仕組みです。値段を上げたいのなら、複数の人たちになるべく同じように開示して、その中で一番高く出してくれる人に売るのが合理的だと思います」。と述べ、インセンティブの必要性について森教授にも訪ねた。
「知的財産というくらいですから、やはり財産なんですよね。特許や知財が法律や制度で守られる、守られると思っていてもそれが21%くらいしかありません。そのあたりの質をどう高めるかということに尽きるのではないでしょうか。ある技術の特許にしても、顕示範囲のところも、技術プラスアルファですが、ただプラスアルファし過ぎちゃうとどっかから狙われて、無効にされる可能性があります。そのあたりのギャンブル性がありますね」。と答えた。
佐々木よりまとめとして、以下の話がありセミナーは終了いたしました。「アカデミックなことだけしていてもマネタイズはうまくいかない。だからといってあんまりお金、お金では駄目です。どちらにおいてもバランスがとても大事だと思います。私は、正しく査定を行うためには、リアルデータが必要だと思っています。いくらで知財が売れただとか、訴訟でいくら儲けたとか、いくらのロイヤリティを取っているかとか、こういうデータがないと、実はちゃんとした価値基準・判断できないのではないかと思います。大事なことは知的財産権が、ちゃんとお金に変わって、それが流通する世界をどうやって作っていくかが、我々が取り組むべきテーマではないかと思います」。
[画像2: https://prtimes.jp/i/42056/15/resize/d42056-15-727534-3.jpg ]
■登壇者情報
AOSグループ代表佐々木 隆仁(ささき たかまさ)
[画像3: https://prtimes.jp/i/42056/15/resize/d42056-15-227671-1.png ]
1989年早稲田大学理工学部卒業。大手PCメーカー入社、OS開発に従事、1995年にAOSテクノロジーズ社を設立、代表取締役就任。2012年にリーガルテック社を設立、代表取締役就任。2018年に日本初のAPI取引所となるAPIbankを設立。2019年にJAPAN MADE事務局を設立、代表取締役就任。2015年に第10回ニッポン新事業創出大賞で経済産業大臣賞受賞。著書に『APIエコノミー』(日経BP)、『レグテック』(日経BP)、『リーガルテック』(アスコム)などがある。
早稲田大学創造理工学部森康晃(もり やすあき)教授
[画像4: https://prtimes.jp/i/42056/15/resize/d42056-15-557518-2.jpg ]
早稲田大学政治経済学部卒業後、1977年に通産省(現・経産省)に入省。同省で、1985年、コンピュータプログラムの普及に伴い、著作権で保護すべきか特許権で保護すべきかの政策的論争において、日本として世界をリードすべきプログラム権法を提唱。その後、海外で日本産業界と欧米の紛争処理や新中国の誕生に伴い海賊版対策等日本企業の権利保護を担う。産総研では、研究者の発明貢献度に応じたシステムを考案し、低迷していた特許ライセンス収入の増大を果たす。
著書に『中国知的財産管理実務ハンドブック』(中央経済社)、『バイオ知財入門−技術の基礎から特許戦略まで』(三和書籍)、『日本商標法実務』(知識産権出版社)などがある。
詳細は以下のURLからご覧いただけます。
【レポート】知財テックセミナー – リーガルテック株式会社の公式ブログ
▼▼ https://blog.fss.jp/?p=5130 ▼▼
【リーガルテック株式会社について】
名 称:リーガルテック株式会社 代表者:佐々木 隆仁
設 立:2012年6月
所在地:東京都港区虎ノ門5-1-5 メトロシティ神谷町4F
資本金:5,100万円
URL: https://www.aos.com/
1995年創業のデータ復旧の老舗 AOSテクノロジーズ株式会社の100%子会社として2012年に設立。以来、データ復旧サービス、デジタル・フォレンジックサービス、リーガルテックツール販売、データ消去サービス、eディスカバリーサービスなどを手掛け、2015年には犯罪捜査や企業の不正検証の技術で国民生活の向上に著しく貢献するとして第10回ニッポン新事業創出大賞で「経済産業大臣賞」を受賞。
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「利益を出す知財・法務部のためのVDRテクノロジーとワイン」と題され、日比谷WeWorkでは初めての開催となり、またテーマも「知財」についてという新鮮味溢れるセミナーとなった。
■レポート
早稲田大学創造理工学部 森康晃教授より「知財がもっとも効力を発揮するのは裁判などの場である」との指摘があった。日本では有形資産については、マネジメントも多種多様ある。しかし、知財のような無形資産の管理となると、世界的に見て日本は後発国であるとのこと。そこで、大学に戻り、知財についての知見を磨くことを決めたという
「特許を取れたら勲章だ、技術としてはスゴイということもあります。確かに技術としてはすばらしい点もあります。しかし、特許の取れ方によっては今度は大きなどんでん返しを食らって、損失を生み出してしまう可能性もあります。そこが特許の怖いところです」。と話す森教授に対して、AOSグループ代表佐々木 隆仁は以下のように答えた。
「知財は知財としてまずはすばらしい点が源泉になります。しかし、知財権という権利になると非常に泥臭くなります。いろいろな戦略が絡んできます。制度論、人間の利益、企業の戦略が絡んできて、データとしては特許庁の公開されているデータがあるんですけれども、それを事実として権利範囲をどのように取るのかが問題になります。無難に行くのか、それとも広げるのか?広げようとすると、既存の進歩性のある、新規性がある、先行技術、先行特許との兼ね合いで、本来の特許の非新規性が認められてしまいます。結果、後になって無効となり、分散してしまうこともあります。この欲をどう適度にコントロールしていくかも、人間の価値判断という要素が絡んできます」。
また、早稲田大学の知財の扱いや現状について、森教授によれば、早稲田大学は理工学部の学生を中心に、その中で企業との共同研究を行っている。しかし、どちらかというと企業にまかせてしまう部分があり、早稲田大学全体知財のライセンス収入が400万円という金額はちょっと信じられない数字であることも明かした。研究資金についても、国や民間企業の資金と比較すると、あまりにも少ない金額となっているとのこと。これは大学では研究者に発明者や研究者に利益を配分する仕組みがなく、ライセンスポリシーやNDAもできていないことも理由であった。
佐々木氏は「大学が知財で儲けられない理由は、機密情報を機密情報として扱っていないことが本質的な問題です。知的財産権をきちんと機密情報として先生方が意識しないので、知財で稼ぐことができない。さらに、最終的には個人のインセンティブがとても重要ですが、その仕組みもありません。リーガルテック社が提供するAOSデータルームは基本的に複数の人と合理的にデューデリができるように作られた仕組みです。値段を上げたいのなら、複数の人たちになるべく同じように開示して、その中で一番高く出してくれる人に売るのが合理的だと思います」。と述べ、インセンティブの必要性について森教授にも訪ねた。
「知的財産というくらいですから、やはり財産なんですよね。特許や知財が法律や制度で守られる、守られると思っていてもそれが21%くらいしかありません。そのあたりの質をどう高めるかということに尽きるのではないでしょうか。ある技術の特許にしても、顕示範囲のところも、技術プラスアルファですが、ただプラスアルファし過ぎちゃうとどっかから狙われて、無効にされる可能性があります。そのあたりのギャンブル性がありますね」。と答えた。
佐々木よりまとめとして、以下の話がありセミナーは終了いたしました。「アカデミックなことだけしていてもマネタイズはうまくいかない。だからといってあんまりお金、お金では駄目です。どちらにおいてもバランスがとても大事だと思います。私は、正しく査定を行うためには、リアルデータが必要だと思っています。いくらで知財が売れただとか、訴訟でいくら儲けたとか、いくらのロイヤリティを取っているかとか、こういうデータがないと、実はちゃんとした価値基準・判断できないのではないかと思います。大事なことは知的財産権が、ちゃんとお金に変わって、それが流通する世界をどうやって作っていくかが、我々が取り組むべきテーマではないかと思います」。
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■登壇者情報
AOSグループ代表佐々木 隆仁(ささき たかまさ)
[画像3: https://prtimes.jp/i/42056/15/resize/d42056-15-227671-1.png ]
1989年早稲田大学理工学部卒業。大手PCメーカー入社、OS開発に従事、1995年にAOSテクノロジーズ社を設立、代表取締役就任。2012年にリーガルテック社を設立、代表取締役就任。2018年に日本初のAPI取引所となるAPIbankを設立。2019年にJAPAN MADE事務局を設立、代表取締役就任。2015年に第10回ニッポン新事業創出大賞で経済産業大臣賞受賞。著書に『APIエコノミー』(日経BP)、『レグテック』(日経BP)、『リーガルテック』(アスコム)などがある。
早稲田大学創造理工学部森康晃(もり やすあき)教授
[画像4: https://prtimes.jp/i/42056/15/resize/d42056-15-557518-2.jpg ]
早稲田大学政治経済学部卒業後、1977年に通産省(現・経産省)に入省。同省で、1985年、コンピュータプログラムの普及に伴い、著作権で保護すべきか特許権で保護すべきかの政策的論争において、日本として世界をリードすべきプログラム権法を提唱。その後、海外で日本産業界と欧米の紛争処理や新中国の誕生に伴い海賊版対策等日本企業の権利保護を担う。産総研では、研究者の発明貢献度に応じたシステムを考案し、低迷していた特許ライセンス収入の増大を果たす。
著書に『中国知的財産管理実務ハンドブック』(中央経済社)、『バイオ知財入門−技術の基礎から特許戦略まで』(三和書籍)、『日本商標法実務』(知識産権出版社)などがある。
詳細は以下のURLからご覧いただけます。
【レポート】知財テックセミナー – リーガルテック株式会社の公式ブログ
▼▼ https://blog.fss.jp/?p=5130 ▼▼
【リーガルテック株式会社について】
名 称:リーガルテック株式会社 代表者:佐々木 隆仁
設 立:2012年6月
所在地:東京都港区虎ノ門5-1-5 メトロシティ神谷町4F
資本金:5,100万円
URL: https://www.aos.com/
1995年創業のデータ復旧の老舗 AOSテクノロジーズ株式会社の100%子会社として2012年に設立。以来、データ復旧サービス、デジタル・フォレンジックサービス、リーガルテックツール販売、データ消去サービス、eディスカバリーサービスなどを手掛け、2015年には犯罪捜査や企業の不正検証の技術で国民生活の向上に著しく貢献するとして第10回ニッポン新事業創出大賞で「経済産業大臣賞」を受賞。