日本のNGO12団体が共同要請文を河野外務大臣に提出「ガザでの抗議運動参加者に対する殺傷力のある武器使用中止の働きかけ、真相調査の調整に尽力してください」
[18/06/08]
提供元:PRTIMES
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国際法違反であるといわれるイスラエルの武力行使に対して、日本政府の働きかけを要請します
2018年3月30日からガザで続く抗議活動「帰還の大行進」において、医療従事者やジャーナリスト、子どもを含むパレスチナ人が、イスラエル当局の実弾を含む攻撃により死亡・負傷しています。5月末日時点で1万3,000人以上が負傷し、128人が死亡しており、抗議活動に対して殺傷力のある武器を使用することについて、国際社会の批判が高まっています。
この状況に関し、パレスチナに関わるNGO12団体は本日、共同で以下の要請文を河野太郎外務大臣に提出しました。非暴力の参加者に対する殺傷力のある武器の使用を中止し、また国際法違反として非難されている事件の独立調査が行われるよう、日本政府の働きかけを求めるものです。また要請文の内容を直接協議できるよう、外務大臣との面会を要望しています。
[画像: https://prtimes.jp/i/30680/16/resize/d30680-16-673190-0.jpg ]
<以下、要請文本文>
ガザでの抗議運動参加者に対する殺傷力のある武器使用中止の働きかけ、真相調査の調整に尽力してください
外務大臣
河野 太郎 殿
私たちはパレスチナにおいて、苦境の中に生きる人々への支援を続けてきた日本のNGOです。
現在、パレスチナでは、米国大使館のエルサレム移転が行われた5月14日を含む、2018年3月30日から続くガザでの抗議運動において、イスラエル当局の攻撃により128 人のパレスチナ人が死亡し、数百人の子どもを含む1万3,000人以上が負傷しています※注(1)。また同時期に211人の医療従事者が負傷し、25台の救急車が損傷しています※注(2)。この状況に対し、私たちは、日本国政府に対し以下のように要請します。なお本要請は、当地で活動する80以上の国際NGOによるネットワーク「AIDA」が5月15日に発表した声明"80+ INGOs Demand Accountability for Israel's Unlawful Killing of Demonstrators in the Gaza Strip※注(3)"に基づいており、同様の要請がNGOを通じて各国政府へと提出されています。またその結果はAIDAへ報告された上で、情報回覧および拡散されています。
1. 非武装の参加者に対する殺傷力のある武器の使用を中止するよう、イスラエル政府に働きかけてください。
2. また、国際法違反として非難されている本事件について、2018年5月18日に国連人権理事会で派遣が決定した独立調査※注(4)が滞りなく行われるよう、関係者の調整に尽力してください。
3. 非人道的なガザの封鎖を一刻も早く解除するよう、イスラエル政府に働きかけてください。
国際法に基づけば、殺傷力のある発砲は人命への切迫した危機にさらされる状況下以外では使用されるべきではない※注(5)とされています。また医療従事者への攻撃は、日本もその締約国である「国際裁判所に関するローマ規程※注(6)」において戦争犯罪と見なされます。人間の尊厳を守るため人類が多大な犠牲を払って積み上げたこれら国際法が容易に破られることは、いかなる政治的理由によっても肯定されることではありません。よって今回のイスラエル当局によるパレスチナ人の攻撃は、真相を解明する調査が必要不可欠です。
またパレスチナ、とりわけガザの人々は、改善するどころか戦争や封鎖の継続を経てますます悪化する状況に絶望しています。エルサレムのイスラエルへの帰属を認めた「米国主導の和平」についても、人々は期待を失うだけでなくその一方的なプロセスを非難しており、また国連総会では事実上の非難決議が出されるなど、米国によるイニシアチブは求心力を失っています。
日本が支持する当事者間交渉を伴う和平プロセスの再開には、パレスチナ側の信頼を勝ち得る主体の参加が欠かせません。昨年12月から外相・首相による当地訪問を重ねてきた日本国は、当地をめぐる現在の情勢を沈静化し、和平を進める主導力となり得る独自的立場にあるといえ、人々の尊厳を回復し得る行動が、当地の人々からも求められています。
2018年6月7日 特定非営利活動法人 アーユス仏教国際協力ネットワーク
特定非営利活動法人 APLA
サラーム・パレスチナ(日本聖公会 東京教区正義と平和協議会)
特定非営利活動法人 JADE-緊急開発支援機構
セーブ・ザ・オリーブ
公益社団法人 日本国際民間協力会(NICCO)
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
日本YWCA
合同会社 パレスチナ・オリーブ
特定非営利活動法人 パレスチナの子どもの里親運動(JCCP)
特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)
特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ
※注(1) UNOCHAウェブサイト参照、5月31日時点(https://www.ochaopt.org/content/overview-may-2018 )
※注(2) UNOCHAウェブサイト参照、6月6日時点(https://www.ochaopt.org/content/gaza-s-health-sector-struggles-cope-massive-influx-casualties-amid-pervasive-shortages )
※注(3) AIDAウェブサイト参照( http://www.aidajerusalem.org/80-ingos-demand-accountability-for-israels-unlawful-killing-of-demonstrators-in-the-gaza-strip/ )。日本語訳はJVCウェブサイトに掲載。( http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2018/05/20180522-aida.html )
※注(4) 国連人権理事会ウェブサイト参照。決議A/HRC/RES/S-28/1の主文5にて言及されている。( http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/SpecialSessions/Session28/Pages/28thSpecialSession.aspx)
※注(5) 国際連合人権高等弁務官事務所ウェブページ "Basic Principles on the Use of Force and Firearms by Law Enforcement Officials" (http://www.ohchr.org/EN/ProfessionalInterest/Pages/UseOfForceAndFirearms.aspx )主文9参照。1990年8月に開催された「第8回 犯罪防止・犯罪者の処遇に関する国連会議」にて可決され、同年12月の第69回国連総会でコンセンサスにて可決された決議A/RES/45/166にて歓迎された。(http://www.un.org/documents/ga/res/45/a45r166.htm )。
※注(6) 外務省ウェブサイト(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty166_1.html)
<この要請文に関する連絡先>
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F
TEL:03-3834-2388 / FAX:03-3835-0519 / E-mail:info@ngo-jvc.net
人道支援/平和構築グループ 今井、並木
2018年3月30日からガザで続く抗議活動「帰還の大行進」において、医療従事者やジャーナリスト、子どもを含むパレスチナ人が、イスラエル当局の実弾を含む攻撃により死亡・負傷しています。5月末日時点で1万3,000人以上が負傷し、128人が死亡しており、抗議活動に対して殺傷力のある武器を使用することについて、国際社会の批判が高まっています。
この状況に関し、パレスチナに関わるNGO12団体は本日、共同で以下の要請文を河野太郎外務大臣に提出しました。非暴力の参加者に対する殺傷力のある武器の使用を中止し、また国際法違反として非難されている事件の独立調査が行われるよう、日本政府の働きかけを求めるものです。また要請文の内容を直接協議できるよう、外務大臣との面会を要望しています。
[画像: https://prtimes.jp/i/30680/16/resize/d30680-16-673190-0.jpg ]
<以下、要請文本文>
ガザでの抗議運動参加者に対する殺傷力のある武器使用中止の働きかけ、真相調査の調整に尽力してください
外務大臣
河野 太郎 殿
私たちはパレスチナにおいて、苦境の中に生きる人々への支援を続けてきた日本のNGOです。
現在、パレスチナでは、米国大使館のエルサレム移転が行われた5月14日を含む、2018年3月30日から続くガザでの抗議運動において、イスラエル当局の攻撃により128 人のパレスチナ人が死亡し、数百人の子どもを含む1万3,000人以上が負傷しています※注(1)。また同時期に211人の医療従事者が負傷し、25台の救急車が損傷しています※注(2)。この状況に対し、私たちは、日本国政府に対し以下のように要請します。なお本要請は、当地で活動する80以上の国際NGOによるネットワーク「AIDA」が5月15日に発表した声明"80+ INGOs Demand Accountability for Israel's Unlawful Killing of Demonstrators in the Gaza Strip※注(3)"に基づいており、同様の要請がNGOを通じて各国政府へと提出されています。またその結果はAIDAへ報告された上で、情報回覧および拡散されています。
1. 非武装の参加者に対する殺傷力のある武器の使用を中止するよう、イスラエル政府に働きかけてください。
2. また、国際法違反として非難されている本事件について、2018年5月18日に国連人権理事会で派遣が決定した独立調査※注(4)が滞りなく行われるよう、関係者の調整に尽力してください。
3. 非人道的なガザの封鎖を一刻も早く解除するよう、イスラエル政府に働きかけてください。
国際法に基づけば、殺傷力のある発砲は人命への切迫した危機にさらされる状況下以外では使用されるべきではない※注(5)とされています。また医療従事者への攻撃は、日本もその締約国である「国際裁判所に関するローマ規程※注(6)」において戦争犯罪と見なされます。人間の尊厳を守るため人類が多大な犠牲を払って積み上げたこれら国際法が容易に破られることは、いかなる政治的理由によっても肯定されることではありません。よって今回のイスラエル当局によるパレスチナ人の攻撃は、真相を解明する調査が必要不可欠です。
またパレスチナ、とりわけガザの人々は、改善するどころか戦争や封鎖の継続を経てますます悪化する状況に絶望しています。エルサレムのイスラエルへの帰属を認めた「米国主導の和平」についても、人々は期待を失うだけでなくその一方的なプロセスを非難しており、また国連総会では事実上の非難決議が出されるなど、米国によるイニシアチブは求心力を失っています。
日本が支持する当事者間交渉を伴う和平プロセスの再開には、パレスチナ側の信頼を勝ち得る主体の参加が欠かせません。昨年12月から外相・首相による当地訪問を重ねてきた日本国は、当地をめぐる現在の情勢を沈静化し、和平を進める主導力となり得る独自的立場にあるといえ、人々の尊厳を回復し得る行動が、当地の人々からも求められています。
2018年6月7日 特定非営利活動法人 アーユス仏教国際協力ネットワーク
特定非営利活動法人 APLA
サラーム・パレスチナ(日本聖公会 東京教区正義と平和協議会)
特定非営利活動法人 JADE-緊急開発支援機構
セーブ・ザ・オリーブ
公益社団法人 日本国際民間協力会(NICCO)
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
日本YWCA
合同会社 パレスチナ・オリーブ
特定非営利活動法人 パレスチナの子どもの里親運動(JCCP)
特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)
特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ
※注(1) UNOCHAウェブサイト参照、5月31日時点(https://www.ochaopt.org/content/overview-may-2018 )
※注(2) UNOCHAウェブサイト参照、6月6日時点(https://www.ochaopt.org/content/gaza-s-health-sector-struggles-cope-massive-influx-casualties-amid-pervasive-shortages )
※注(3) AIDAウェブサイト参照( http://www.aidajerusalem.org/80-ingos-demand-accountability-for-israels-unlawful-killing-of-demonstrators-in-the-gaza-strip/ )。日本語訳はJVCウェブサイトに掲載。( http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2018/05/20180522-aida.html )
※注(4) 国連人権理事会ウェブサイト参照。決議A/HRC/RES/S-28/1の主文5にて言及されている。( http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/SpecialSessions/Session28/Pages/28thSpecialSession.aspx)
※注(5) 国際連合人権高等弁務官事務所ウェブページ "Basic Principles on the Use of Force and Firearms by Law Enforcement Officials" (http://www.ohchr.org/EN/ProfessionalInterest/Pages/UseOfForceAndFirearms.aspx )主文9参照。1990年8月に開催された「第8回 犯罪防止・犯罪者の処遇に関する国連会議」にて可決され、同年12月の第69回国連総会でコンセンサスにて可決された決議A/RES/45/166にて歓迎された。(http://www.un.org/documents/ga/res/45/a45r166.htm )。
※注(6) 外務省ウェブサイト(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty166_1.html)
<この要請文に関する連絡先>
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F
TEL:03-3834-2388 / FAX:03-3835-0519 / E-mail:info@ngo-jvc.net
人道支援/平和構築グループ 今井、並木