KIBOW社会投資ファンド、日本初の児童精神科訪問看護ステーション「ナンナル」を運営するカケミチプロジェクトに出資 メンタルケアを必要とする子どもとその家族を支援
[23/10/31]
提供元:PRTIMES
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一般財団法人KIBOW(東京都千代田区、代表理事:堀義人、以下KIBOW)が運営する「KIBOW社会投資ファンド3号」は、児童精神科訪問看護ステーション「ナンナル」を運営する株式会社カケミチプロジェクト(東京都杉並区、代表取締役:岡琢哉氏、以下カケミチプロジェクト)に3,000万円を出資しました。KIBOWとして21社目の投資です。今回のラウンドは株式会社金子書房との共同出資となります。
■背景
メンタルケアを必要とする子どもが増加する一方、対応する児童精神科医は不足
令和4年度の文部科学省の調査*1によれば、不登校の状態にある小中学生の数はおよそ30万人となり、10年連続で増加し過去最多となりました。このほか、不登校の状態にある高校生も6万人を超えています。また、認知されたいじめの件数は約68万件、自殺者数も400人を超え、過去最多となっています。
さらに、発達障害の可能性がある子どもの数も増加しており、全国で80万人と推計されています。
メンタルケアを必要とする子どもは増加していますが、対応する児童精神科医は日本に500名程度しかおらず子どもへの支援が不足しているといわれています。その結果、病院での初診待期期間が3カ月以上、外来診察時間は1回あたり15分程度となっており、病院だけに頼らない新しい仕組みが求められています。
*1 参考:令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
■カケミチプロジェクトが生み出す社会的価値
日本初、児童精神科に特化した訪問看護ステーションを運営
カケミチプロジェクトは児童精神科医が立ち上げた日本初*2の児童精神科特化型訪問看護ステーション「ナンナル」を運営しています。カケミチプロジェクトでは、専門性を持つ看護師等がメンタルケアを必要とする子どもの自宅を訪問し、子どもの病気や障がいに応じた看護やサポートを行っています。「ナンナル」の訪問看護では子どもの状態に応じて、1回あたり30分以上、週1〜3回程度のペースで自宅に訪問するため手厚い支援を行うことが可能です。また、自宅を訪問することで、看護師等が家庭環境や生活環境を理解し、子どもの家族を含めた包括的な支援を行うことができます。また「ナンナル」経営者である岡氏は児童精神科医として高い専門性と経験を有し、利用者・病院・自治体から高い評判とノウハウの蓄積があります。
*2 2021年4月時点_カケミチプロジェクト調べ_同時点で国内で開業している精神科訪問看護ステーションの中から調査
メンタルケアを必要とする子ども10万人に最適な支援を提供する
カケミチプロジェクトは「メンタルケアを必要とする子ども10万人に最適な支援を提供する」ことを事業目標としています。そのために、訪問看護ステーション数を拡大させるとともに、これまで蓄積してきた児童精神科訪問看護に関する知見やノウハウを活用した看護師等の育成、教材や論文の作成、書籍や学会発表などを通じて医療、福祉、教育の支援ネットワークを形成するなどエビデンスに基づく最適な支援の在り方を提示していくことを目指しています。
今後は、子どものメンタルヘルス指標の改善だけでなく、その家族の感じる孤独の解消も含めた包括的なアウトカムを評価・マネジメントしていく予定です。そして、支援者側の価値観の押し付けではなく、子ども一人ひとりの希望や家族の意向に沿った支援を実現していきます。
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KIBOWは投資のデューディリジェンス*3の一環として、ナンナルがサポートする子どものサンプルデータ(n=25)における精神科訪問看護のGAF(Global Assessment of Functioning)尺度*4を確認しました。その結果、看護師が初回訪問した月の評価平均値50.2(標準偏差9.1)から2023年6月平均値54.5(標準偏差9.3)となっており社会への適応状態を示すGAFスコアが有意に向上していることがわかりました。今後はメンタルケアを必要とする子どもの困りごとと強みを評価し、最適な支援を提供するためのアセスメントツールとして、児童精神科領域の研究で使用されている質問紙SDQ(Strength and Difficulties Questionnaire:子どもの強さと困難さアンケート)*5も活用していく予定です。
*3 投資を行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査すること
*4 アメリカ精神医学会の作成した診断基準DSMで採用された 「社会心理的な適応状態」を評価するための尺度
*5 子どもの情緒や行動についての25の質問項目を親または学校教師が回答する形式の短いアンケート
今回の資金調達を通じて、カケミチプロジェクトは新たな看護ステーションを開設するとともに本社機能を強化していきます。また、社外取締役としてグロービス経営大学院教員の森暁郎が経営に参画する予定です。
近年メンタルケアを必要とする子どもが増加する一方、対応する児童精神科医は不足しており訪問看護に対するニーズは一層高まっています。今後カケミチプロジェクトが、これまでの実績やノウハウ、エビデンスを基礎として医療・福祉・教育の支え合いの輪を広げ、より多くの子どもとその家族にニーズに応じた最適な支援が提供されることを期待しています。
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■株式会社カケミチプロジェクトについて
設立日: 2020年12月28日
事業内容: 児童精神科訪問看護ステーション「ナンナル」の運営
代表者: 代表取締役 岡琢哉
所在地:東京都杉並区阿佐谷北3丁目2番10号
URL: https://nannaru-houkan.com/
◆代表取締役 CEO 岡琢哉氏
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岐阜大学医学部卒業、初期研修終了後に同大学附属病院精神神経科入職。同院助教を経て、東京都立小児総合医療センター児童思春期精神科に入職。同時期に国立精神・神経医療研究センターで学童期のメンタルヘルス研究に従事し、岐阜大学博士課程を修了。2020年に臨床と研究のギャップを埋める目的で株式会社カケミチプロジェクト設立、代表取締役就任。2021年、杉並区に「ナンナル」開設。現在、NPOカケルとミチル、医療法人社団あやなり理事を兼任している。
◆取締役 COO 塩見耕平氏
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札幌医科大学保健医療学部理学療法学科卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程修了。筑波記念病院・筑波大学附属病院において集中治療室から在宅ケアまで幅広くリハビリテーション臨床業務に従事する傍ら、筑波大学腎臓内科学研究室および社会医学系研究室で疾病の重症化予防に関する研究を実施。自身で起業した後、現在は一般社団法人予防医療普及協会事務局長を務めつつ、上場企業における複数の新規事業立ち上げプロジェクトに参画している。
◆社外取締役 森暁郎
[画像5: https://prtimes.jp/i/63884/21/resize/d63884-21-bca0c9005d88211f251f-4.jpg ]
三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。国内及びニューヨーク支店にて、シンジケートローン、買収ファイナンス等の営業及び審査業務に従事。MBA取得後は、General Electricに入社。営業・マーケティング分野のグローバルなリーダーシッププログラムに参画しながら、大型の買収案件等を担当。その後、事業会社のベネッセに転じ、新規事業開発室長として、教育・介護分野での買収や戦略出資を進めるとともに、全社横断の新規事業開発制度を構築、具体案件のインキュベーションを担当。 現在はグロービスの講師として、アカウンティング・ファイナンス領域を中心とした様々な経営課題に日英両言語で取り組んでいる 。慶應義塾大学経済学部卒業、コロンビア大学経営大学院修士課程修了。
KIBOWについて (http://kibowproject.jp)
東日本大震災の3日後に始動した救援・復興支援プロジェクト「Project KIBOW」は、「希望」と「Rainbow」から命名しました。長期的に被災地を支援していきたいという思いから、2012年2月に一般財団法人化し、以下の3つを軸に活動を展開しています。
1)「場」の提供(イベント)
被災地各地で、地域の復興を願う人たちが集まる「場」を作っています。地域の内外のリーダーたちが集まり、交流を生むイベントを定期的に開催しています。
2)寄付
これまで、約1400名以上の方々にご協力いただき集めた資金、約1億円を、被災地で活動しているNPOや各地のリーダー達に提供しています。
3)社会的インパクト投資(KIBOW社会投資)
被災地に限定せず、「社会を変える」志を持った社会起業家たちに投資し、事業の規模化を支援します。
■本リリースに関するお問い合わせ先
グロービス 広報室 土橋涼
E-mail: pr-info@globis.com