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東電社員殺害事件―刑事司法の抜本的改革を進めよ【アムネスティ】

本日、いわゆる「東電社員殺害事件」についての、東京高等裁判所における再審公判が即日結審した。マイナリさんの無罪が確実となったことを受け、アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府に対して、捜査取調べの改革をはじめとする刑事司法制度の全面的な見直しを行うよう、改めて要請する。

本件では、別件逮捕、代用監獄制度に基づく取調べと自白の強要など、当初より警察による捜査過程での問題が存在した。また、無期懲役刑が確定した裁判の公判過程においても、検察による無罪につながる有力な証拠の不開示という、真実発見を妨げ、被告人の人権を著しく侵害する不正義があった。

日本政府および捜査当局は、2008年の国連自由権規約委員会の勧告にある「刑事捜査における警察の役割は、真実を確定することではなく、裁判のために証拠を収集することである」との指摘を、改めて銘記しなければならない。そして、日本政府は、こうした事態の再発防止のために、独立した第三者機関による徹底的な真相究明を行い、被害者への謝罪と賠償、そして責任の所在を明らかにするべきである。

さらに、日本政府は、このような深刻な人権侵害を繰り返さないよう、刑事司法制度の改革に一層努めるべきである。この改革には、代用監獄制度の廃止、被疑者取調べの時間制限、取調べの全過程の録音・録画(可視化)や弁護人の立会いの保障、警察官に対する国際人権基準の研修、証拠の全面開示などが含まれる。また、立法府は、こうした制度改善のために必要な立法措置を速やかに実施しなければならない。これ以上、人権侵害の温床となっている刑事司法制度の諸問題を放置してはならない。

アムネスティ日本は、日本政府当局に対し、取調べの可視化と代用監獄制度の廃止をはじめとする、刑事司法制度の抜本的改革を進めるよう求めるものである。

2012年10月29日
公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本

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