株式会社日本香堂と東京大学、共同研究で「香り」が脳にもたらす作用を実証 特設サイトを2月1日より公開
[24/01/31]
提供元:PRTIMES
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〜レモン、サンダルウッド(白檀)の香りは、「記憶保持」を促す作用あり〜
株式会社日本香堂(本社:東京都中央区銀座、代表取締役社長:土屋義幸、以下「日本香堂」)は「香りの可能性」を広げるべく香りの研究を進めています。2月1日(木)にオープンする特設サイトでは、2020年から国立大学法人 東京大学(東京都文京区本郷:以下「東京大学」)と実施した共同研究の結果を公開します。
株式会社日本香堂と東京大学が「香り」の記憶に対する作用を研究
https://www.nipponkodo.co.jp/iyashi/research/
本研究は、精油の香りの吸引が記憶機能(ワーキングメモリー)に及ぼす作用や、その脳内メカニズムの解明をテーマに脳波計測手法を使って実施しました。
その結果、レモンの香り吸引後に、記憶課題の成績が有意に向上すること、サンダルウッド(白檀)の香りは、吸引時に記憶保持に関連する脳処理に寄与する可能性があることがわかりました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-977fb959d48e58097b49-4.jpg ]
〈実証実験 結果のまとめ〉
*レモンの香りは、記憶課題の成績が有意に向上し、正答率が上がる結果に。
*サンダルウッドはゆっくりとした活性化で、記憶保持に向く作用が判明。
〈実験方法〉
実験方法は、脳科学研究でよく用いられる2バック課題というワーキングメモリーを必要とする実験課題で行いました。レモン、サンダルウッド(白檀)、楠、香りなしを吸引した実験参加者に、2バック課題に取り組んでいただき、精油の香り吸引時の脳活動の30秒ごとの脳波の変化を調べました。
〈実験結果〉
◆精油の香り吸引前後に行った2バック課題テストの成績を比較すると、レモンの精油を吸引後に課題の成績が統計的に有意に向上していることが分かりました(図1)
図1 精油の香り吸引前後の2バック課題の成績(24名の平均.エラーバーは標準誤差)
[画像2: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-9d7df63864cb8d35ad33-1.png ]
◆レモンの精油吸引直後から、デルタ帯域やシータ帯域において、帯状回(感情処理に関与する脳領域)を含む前頭前野、海馬傍回(海馬に近い領域。記憶処理に関与する脳領域)の活性化が認められました(図2)。またこれらの活性化は吸引開始後60秒まで持続しています。
これは、レモン精油の吸入がワーキングメモリーを高める可能性があることを示唆しています。
図2 安静時状態と比較して、レモン精油吸入の活性化が著しく高い脳領域
[画像3: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-e51eda93de65a9895a65-1.png ]
◆サンダルウッド精油の吸入直後、帯状回を含む前頭前部領域の活性化は、ベータ帯域、ガンマ帯域において観察され、それぞれ120秒後、90秒後まで持続しました(図3)。
サンダルウッド精油の吸入時の前頭前野のベータおよびガンマ帯域活性の活性化は、記憶保持に寄与する可能性があることを示唆しています。
図3 安静時状態と比較して、サンダルウッド精油吸入の活性化が著しく高い脳領域
[画像4: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-2b2fbe518de9935d02cc-1.png ]
〈総括〉
ワーキングメモリーには多くの脳領域が関与していることが知られていますが、前頭葉や海馬傍回におけるデルタ帯域、シータ帯域の脳活動が増加することが報告されています。
ワーキングメモリーを使うテストを行っている際には、これらの脳領域において局所的に血流量が増加します。精油吸引前の2バック課題終了後も血流が持続しているとすれば、レモン精油吸引により血中に取り込まれた匂い分子は血流量の増加に伴いワーキングメモリー関連部位に輸送され、神経活動を高めることが考えられます。
この実験結果から、精油を吸引することで、匂い分子が直前に使っていた機能に関連する脳部位に能動的に輸送され、その結果、選択的な脳の活性化が起こり、その機能を向上させるという脳内メカニズムが起こっていると考えています。
〈研究者コメント〉
今回の実験で、レモンの香り・サンダルウッドの香りとワーキングメモリーに関わる脳内メカニズムが明らかになり、記憶課題の成績向上、記憶保持に向く作用が期待できることが判明しました。
このことは、レモンやサンダルウッドの香りをうまく活用することで、勉強はもちろん、ビジネス、スポーツ競技など幅広い場面でのパフォーマンス向上が期待できるということを示唆しています。
今後、香りと脳科学の関係についての研究が進むことで、他の機能(例えば、集中力、言語能力、創造性など)に及ぼす効果などが解明され、香りを使うことで、人々の生活がより一層豊かなものになることを期待いたします。
[画像5: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-c11e61d10b5e1f9ccc26-0.jpg ]
◆東京大学大学院工学系研究科 特任研究員 上田一貴
2004年広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程後期修了。2007年東京大学先端科学技術研究センター特任助教、2012年東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻特任講師を経て、2023年より現職。株式会社センタン研究員も務める。専門は認知神経科学。脳機能イメージング研究に従事。博士(学術)。
※詳しくは特設サイト https://www.nipponkodo.co.jp/iyashi/research/ をご参照ください。
※本共同研究結果を記した論文は、米国の学術論文サイト「Brain and Behavior」にも掲載されております。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/brb3.2889
株式会社 日本香堂
天正年間創業、宮中御用を務めた香の専門職「香十」より脈々と続く調香技術を受け継いで今に至る。
世界中の最高級な香原料を調達、独自の調香技術をベースに、一貫して人々の暮らしと共にある香りづくりに徹し、日本の香の伝統を時代に即したかたちで、未来へとつなげている。
https://www.nipponkodo.co.jp/
株式会社日本香堂(本社:東京都中央区銀座、代表取締役社長:土屋義幸、以下「日本香堂」)は「香りの可能性」を広げるべく香りの研究を進めています。2月1日(木)にオープンする特設サイトでは、2020年から国立大学法人 東京大学(東京都文京区本郷:以下「東京大学」)と実施した共同研究の結果を公開します。
株式会社日本香堂と東京大学が「香り」の記憶に対する作用を研究
https://www.nipponkodo.co.jp/iyashi/research/
本研究は、精油の香りの吸引が記憶機能(ワーキングメモリー)に及ぼす作用や、その脳内メカニズムの解明をテーマに脳波計測手法を使って実施しました。
その結果、レモンの香り吸引後に、記憶課題の成績が有意に向上すること、サンダルウッド(白檀)の香りは、吸引時に記憶保持に関連する脳処理に寄与する可能性があることがわかりました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-977fb959d48e58097b49-4.jpg ]
〈実証実験 結果のまとめ〉
*レモンの香りは、記憶課題の成績が有意に向上し、正答率が上がる結果に。
*サンダルウッドはゆっくりとした活性化で、記憶保持に向く作用が判明。
〈実験方法〉
実験方法は、脳科学研究でよく用いられる2バック課題というワーキングメモリーを必要とする実験課題で行いました。レモン、サンダルウッド(白檀)、楠、香りなしを吸引した実験参加者に、2バック課題に取り組んでいただき、精油の香り吸引時の脳活動の30秒ごとの脳波の変化を調べました。
〈実験結果〉
◆精油の香り吸引前後に行った2バック課題テストの成績を比較すると、レモンの精油を吸引後に課題の成績が統計的に有意に向上していることが分かりました(図1)
図1 精油の香り吸引前後の2バック課題の成績(24名の平均.エラーバーは標準誤差)
[画像2: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-9d7df63864cb8d35ad33-1.png ]
◆レモンの精油吸引直後から、デルタ帯域やシータ帯域において、帯状回(感情処理に関与する脳領域)を含む前頭前野、海馬傍回(海馬に近い領域。記憶処理に関与する脳領域)の活性化が認められました(図2)。またこれらの活性化は吸引開始後60秒まで持続しています。
これは、レモン精油の吸入がワーキングメモリーを高める可能性があることを示唆しています。
図2 安静時状態と比較して、レモン精油吸入の活性化が著しく高い脳領域
[画像3: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-e51eda93de65a9895a65-1.png ]
◆サンダルウッド精油の吸入直後、帯状回を含む前頭前部領域の活性化は、ベータ帯域、ガンマ帯域において観察され、それぞれ120秒後、90秒後まで持続しました(図3)。
サンダルウッド精油の吸入時の前頭前野のベータおよびガンマ帯域活性の活性化は、記憶保持に寄与する可能性があることを示唆しています。
図3 安静時状態と比較して、サンダルウッド精油吸入の活性化が著しく高い脳領域
[画像4: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-2b2fbe518de9935d02cc-1.png ]
〈総括〉
ワーキングメモリーには多くの脳領域が関与していることが知られていますが、前頭葉や海馬傍回におけるデルタ帯域、シータ帯域の脳活動が増加することが報告されています。
ワーキングメモリーを使うテストを行っている際には、これらの脳領域において局所的に血流量が増加します。精油吸引前の2バック課題終了後も血流が持続しているとすれば、レモン精油吸引により血中に取り込まれた匂い分子は血流量の増加に伴いワーキングメモリー関連部位に輸送され、神経活動を高めることが考えられます。
この実験結果から、精油を吸引することで、匂い分子が直前に使っていた機能に関連する脳部位に能動的に輸送され、その結果、選択的な脳の活性化が起こり、その機能を向上させるという脳内メカニズムが起こっていると考えています。
〈研究者コメント〉
今回の実験で、レモンの香り・サンダルウッドの香りとワーキングメモリーに関わる脳内メカニズムが明らかになり、記憶課題の成績向上、記憶保持に向く作用が期待できることが判明しました。
このことは、レモンやサンダルウッドの香りをうまく活用することで、勉強はもちろん、ビジネス、スポーツ競技など幅広い場面でのパフォーマンス向上が期待できるということを示唆しています。
今後、香りと脳科学の関係についての研究が進むことで、他の機能(例えば、集中力、言語能力、創造性など)に及ぼす効果などが解明され、香りを使うことで、人々の生活がより一層豊かなものになることを期待いたします。
[画像5: https://prtimes.jp/i/49915/35/resize/d49915-35-c11e61d10b5e1f9ccc26-0.jpg ]
◆東京大学大学院工学系研究科 特任研究員 上田一貴
2004年広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程後期修了。2007年東京大学先端科学技術研究センター特任助教、2012年東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻特任講師を経て、2023年より現職。株式会社センタン研究員も務める。専門は認知神経科学。脳機能イメージング研究に従事。博士(学術)。
※詳しくは特設サイト https://www.nipponkodo.co.jp/iyashi/research/ をご参照ください。
※本共同研究結果を記した論文は、米国の学術論文サイト「Brain and Behavior」にも掲載されております。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/brb3.2889
株式会社 日本香堂
天正年間創業、宮中御用を務めた香の専門職「香十」より脈々と続く調香技術を受け継いで今に至る。
世界中の最高級な香原料を調達、独自の調香技術をベースに、一貫して人々の暮らしと共にある香りづくりに徹し、日本の香の伝統を時代に即したかたちで、未来へとつなげている。
https://www.nipponkodo.co.jp/